恋愛フラグが『立たない』話
「前に勧められたネット小説、一応最後まで読んできたよ」
「えっ、数年前に更新停止しているって先に教えたろ?それなのに読んだのか」
「何となくでな。感想としては、面白くなる展開とかを詰め込もうとし過ぎて、情報が多く読んでいても苦痛だった。何故勇者兼魔王になることになったのか分かりづらいし、もっと設定を減らせば更新しやすかっただろうに。」
「更新されていた当初は、毎回新たな要素が加わったり、個性的なキャラが加わるとかで続きが気にる作品だったのだが…それじゃあ、次の作品なんだけど」
「あぁ、ちょっと待った。お前に勧められた二つの小説を読んでいて、気になることがあったのだが…」
「おっ、お前から質問が来るとは。どんなことだ?」
「どちらも現実世界では影が薄い主人公が新たな世界では色々な女性と偶然の出逢いで知り合い、大抵一目惚れとかではなく冒険している内にモテるようになって、終盤ではヒロイン同士で主人公を奪い合う展開があった。
そして恋愛を主体とした作品でも、中学では地味だったのが高校でメインヒロインと出逢い、それを期に新たな異性からもモテるようになるってパターンはよくある。だが、現実ではどうなのだろうか。
特に見た目が変わった訳でも無い、性格も変わっていない。そして中学まで全然目立たない状態だった奴が、高校生になったある日を境にモテ始めハーレム結成と言う話、現実では聞いたことが無いのだが。中学まで全然目立たない存在だった、これは最初からモテる主人公が別の場所でもハーレム作成したら余程性格が良いやつじゃないと読者に人気でないからと凄く遠慮をしただけの表現であり、実際はそこそこモテていたけど本人が気付いていなかっただけで、それが高校になってから表面化したのが」
「待て待て!あのー、お前が言いたいのは要するに・・・ハーレムを作れるような奴は非リア充の体験を詐称していると?」
「詐称とまでは言わない。だが…精々、生涯を掛けて二人くらい行けば非リア充にとっては良い方だと思うんだ。それが今までモテなかったのに短期間で数名からモテた。そんなやつ、最初からリア充だろ。」
「うっ、うーん…?それに関しては何とも言えん…
でも、ドラマや漫画とかで主人公の女子が人気者の男子から『今、この告白をすれば絶対OK貰える』と言わんばかりの告白されることあるだろ。
終盤辺りでドラマ的に絶対OKを出すシーン。そんな時に女子が真顔で『ゴメン、私他に好きな人がいるから』と振られて、今まで一回も映像に出てこなかった男子に告白するシーンとかは見てみたいと思う。」
「お前…イケメンに対して僻むのは止めろよな。」
「お前もそうだろ!何で自分は関係無いみたいなスタンス取ってるんだよ」
「いや、俺は非リア充で回りのリア充を僻むような奴が短期間で急激にモテるのが納得出来ないんだよ。
お前の言う、イケメンで性格良い奴なのに振られるのが見たい訳では無いから」
「いやいや、性格悪い不良とかいるだろ。それがちょっとのギャップとかで一気に高評価になり、告白してOKはそれこそ出来すぎだろ。」
「でも、性格良くて告白されまくっているイケメンが初めての自分からの告白をして真顔で振られた瞬間の顔って見たくないか?」
「…まぁ、そうだな」
「やっぱりお前は最低じゃないか!」
「うるせぇ!今のは明らかに誘導されたし、お互い非リア充なんだからお互い最低だろ!」
「…おい、それは言うなよ」
「…俺も若干後悔している。でも、見た目が変われば印象も変わるってパターンは実際でもあるよな。」
「眼鏡をした女子が眼鏡を外すとモテるとかか?
現実では外してもそこまで変わらないし、逆に普段掛けていない人が眼鏡をした場合の方が重要視されている気はする。」
「確かにな。…そう言えば昔、恋愛漫画の世界に行きたい。そこで漫画に登場するヒロインと同じ学校に通い、同じクラスになって、最後は主人公に変わってそのヒロインと付き合いたいってお前に言った事があったよな」
「そういや、あったな。『名前も顔すら貰えないモブになるから止めとけ』って言ったんだよな」
「今ならその言葉の意味が良く理解できる…」