二十話 感謝に関して
なんて魚を焼く、などと言ってしまったわけだが、今それ以前の問題で苦戦している
「・・・魚、捕まえられねえ・・・」
そう、焼く以前の問題で捕まえる事ができていないという前代未聞の事態に今陥っている、う~ん、まずい、このままだと夜ご飯が食えなくなるし、アメリアには何か食べてもらわないとかなりやばい、なにがやばいかって、食べないと体力付かないし、力付かねえだろ
「・・・よし!」
俺はふと思った事をやる事にした、手で掴むのではなくアメリアが持っていたナイフで刺して見ることにした、あの殺傷性にかなり優れているナイフなら刺さるだろ思い、そして俺はアメリアの上着の服を調べナイフを取り出した、そのナイフは見た目に対しかなり軽かった、殺傷性に優れ、それでいてかなり軽い、とかなり優れた機能性を持ったナイフだった
「・・・うん、扱うのがこえぇな・・・」
なんて俺は言いながら泳いでいる小魚にゆっくり、ゆっくり近づき上から放った、ちなみにだが俺は今勿論川の中に入ってやっている、入らないでやるとか難易度高すぎるわ
「っくっそ、すばしっこいやつらめ・・・!!」
何回振っても刺さる事のない魚にいい加減腹がたち、足元に落ちていたでかい石を思いっきり無差別に投げた、するとどうだろう途端に水の色が変わった、赤黒い血の色だ
「!!ここだ!」
そしてその赤黒い血の上に丁度魚が浮いてきた、そこで俺は逃さんばかりに思いっきり両手でわしずかみにするように掴んだ、そして捕まえたはいいがぬるぬるとしていて落としそうになる、地面に放りなげてもいいが魚に石やら土がついてしまうと思い仕方なく汚いが葉っぱの上に置くことにした
「よし!一匹目!残り六匹!」
俺はそう自分に言い聞かせ魚を六匹取る事にした、だがやはりそんな簡単にいくわけではなく約三時間ぐらいかかった
「・・・はぁ~、疲れた・・・」
そして俺は捕まえた魚計七匹を木の棒に突き刺し今焼いている、串の様なものがなかったため、ただの棒で突き刺さるのか心配したが案外刺さった事に驚いた、と同時に達成感を味わい今危険が良い、が同時に疲労感もありとてもじゃないが動く気になれない
「・・・あ、そうだ、そろそろ起こすか」
俺はそこでアメリアの事を思い出し、アメリアの元によりアメリアを起こそうと肩を揺すった、・・・うん、今更だがエロい体してんな、って俺はエロ爺か!
「・・・んぅ…?クウゲン…?」
「おう、俺だ、体調の方はどうだ?」
俺はアメリアを起こしてやろうと思い背中に手を回し起こす事にした
「・・・うん、大丈夫みたい、だいぶさっきより楽になったよ、ありがとうクウゲン」
アメリアはそう言いながら微笑んできた、とそんな純粋な微笑みに対し俺が思った事、それは、険しいような怖いようなそんな顔も良いけどこの顔もまたいいな、などと少し汚れたような事を思った、だがこれは健全な男子高校生の証としては当然のこと、と正当化した、なんて口に出しては絶対言えるわけがない
「ん、そっか、よかった、んじゃ寝起きって事で」
「ん?」
俺はそう言い先ほどの天然の水らしき所を指さした、もしかしたら湧き水かもしれないが、まぁ問題ないだろと思った
「そこの水飲みな、多分天然の水だから腹は壊さねえよ、さっきも俺飲んだしな、ちなみにこっそりお前にも飲ませたが」
「・・・あ、そういえば、さっき私なにか飲んだような」
「あぁ、多分それがあの水だ、アメリアは俺と違ってこの世界に対して菌の耐性とか持ってるから平気だろ、内臓も耐性とかできてるだろうし」
俺はそう言い魚の焼けてない部分を焼こうとひっくり返した、うん、すっげえいい匂い、内臓とか、えっと糞が溜まってる部分とか取れてるかどうかは素人だからわからねえけど
「!その魚、クウゲンが取ったの?」
「!あぁ、すごいだろ?さっき初めてやったんだけど、すっげえ難しいな魚取るの」
こっちに歩み寄ってきたアメリアに魚を見せ言った、多分生きてきた人生の中で一番自慢できた事だと思った、うん、完璧
「そっか、すごいねクウゲン」
「!あ、あぁって頭撫でんな!」
微笑みながら俺の頭を撫でてきた事に恥ずかしく思い顔を背けた、と言っても別に嫌というわけではない
「ふふふ、ん?これって私の分、って事なの?」
「ん、あぁこの四匹はお前の分だ、で、こっちの三匹が俺の分だ」
何故アメリアが四匹か、それにはちゃんと理由がある、先程言った通り元気になってもらう為には十分な睡眠、十分な栄養、と言っても腹八分目が良いらしいが必要だからだ、ん?魚だけで栄養ってとれるのか??
「え、でもクウゲン三匹じゃ」
「俺はいいんだよ、お前は病人だからちゃんと食べないといけないんだよ」
俺はそう言いとやかく何かを言われる前に魚をアメリアの口に突っ込んだ
「っもがっ!?」
「それにこんな小さい魚、三匹も四匹も大して変わらねぇよ、できればもっと取りたかったけどな」
取れなかった理由としては暗すぎて見えない、そして危険、この二つだけの理由
「っもぐもぐ、そうなんだ・・・」
「あぁ、だから食ってくれ」
食ってくれよ、という前に後ろからいきなり抱きしめられた事に驚き体が硬直した、え、なんでいきなり抱き着いてくんの
「ありがとう、クウゲン、助けてくれてありがとう、すっごく嬉しいよ・・・」
耳元でそう言われ、ぞわぞわっと、鳥肌のようなものが立った、ハスキー声に近い声なのかわからないがすごくおっとりとしていて、眠くなるような、そんな声
「っい、いや俺は当然の事をしたまでだ、後近い・・・」
「!あはは、クウゲン顔真っ赤!」
っちょ、おいおい顔、顔近すぎ!って俺さっき人工呼吸したんだった・・・、・・・そうだ、人工呼吸、つまり俺キスしたんだった・・・あ、やべえすっげえ恥ずかしくなってきた
「おっ、さっきより顔赤くなった!」
「人工呼吸・・・」
「え?」
「なんでもない」
うっかり口に出していた事に気づき慌てて口を塞ぐようにした、あぶねえー・・・