十九話 初の心肺蘇生法
あれからどれぐらい時間が、日数がたったかわからない、いや、もしかしたら時間も日数もあまり経っていないのかもしれない、ただ一言言える事はここが今、暗いということだけだ
「・・・ん…」
意識を取り戻したと言えば、夕焼けの眩しい光、全身の怠さ、べた付くような気持ちが悪い不愉快な感触、蒸し暑さが一瞬にしてすべてやってきた、なんともまぁ寝起き、にしては生きてきた中で最も一番最低最悪で一番不愉快な目覚め、そう俺は思った
「・・・ぁ、そうか・・・俺、川に流されたんだっけ・・・」
まだ完全に覚醒していない意識を覚醒させようと俺は辺りを見渡す、そんな時、ふと手に柔らかいような、冷たいような感触が手に伝わってきた、そしてその伝わってくる方に顔を向けた、そこにはアメリアがぐったりと横になり気絶しているのがわかった
「・・・っ!!あ、アメリア!!」
アメリアを見た途端、覚醒していない意識がやっと覚醒し考えることができるようになった、それと同時に目も冴えた、そこで俺はとりあえずアメリアをなんとかして起こそうとした
「おい!!アメリア!!大丈夫か!?アメリア!!」
ただ寝ている可能性もあると思い俺は思いっきり全身を揺すった、だが起きる気配もなし、そこで俺はよく刑事ドラマやら何やらで腕の脈拍、呼吸を確かめたりするあれを思い出しアメリアの手首付近に手を当て脈拍を図った
「!!やべえ、脈が弱まってる!!おい!!アメリア!!」
俺は混乱し大声で呼びながら首、手首と脈を図った、だがかなり弱まっている、かなり危険な状態、確か昏睡状態だとかそんな事が聞いた事があった気がした、そこで俺は意を決してやる事にした
「アメリア、悪い!!」
こんな緊急事態だ、仕方がねえだろと俺は判断し人口呼吸と心臓マッサージをする事にした、やった事もないが仕方がないと思い学校で習った基礎知識通りにやる事にした、胸に手を当て思いっきり押しながら水を吐かせようとした、そして同時に人工呼吸も
「っはぁはぁ!!アメリア!!起きろ!!アメリア!!起きろーー!!!」
肋骨の骨が折れて肺に突き刺さったりしないか心配になったがそんな事を心配している暇じゃねえだろと自分に言い聞かせながらやった、かなり疲れる為途中で貧血気味になったりもした、約15分間休まずやっていた、そしてもうダメかと諦めそうになったところで
「っ!!がはっ!!ごほっごほっ!!」
「!!アメリア!!」
大量の水を思いっきり吐き出したアメリアに俺は急いで抱き起した、服全体に水がかかったがそんな事は別にどうでもいい、そう俺は思いながらアメリアに必死に呼びかけた
「っ・・・クウ、ゲン・・・?」
「!!あぁ!!俺だ!!クウゲンだ!!アメリア!!」
俺はなるべく体を冷やさないようにとアメリアが着ている服を全て脱がした、他人から見たら異常だろうがそんな事はどうでもいいと思いながらパンツ一丁にし、日の当たる所に運んだ
「クウゲン…」
「待ってろよ!今暖めるから!」
俺は使えそうもないアメリアのライターで一生懸命そこら中に落ちている木を燃やそうと思った、だがそんな簡単につくわけでもない、そこで葉っぱやらなにやら持ってきて何回も燃やそうとライターを使った、そして何十回もやっているうちにやっと少し葉っぱが燃えた
「!!よし!!ここだ!!」
もっと燃やそうと俺は葉っぱを掻き集めてきては放り込み燃やした、数分後にはかなりでかい火の塊ができた、そしてそのできる限り火傷しない位置にアメリアを寝かせた
「アメリア!どっか体調悪いとこないか!?」
「・・・うん、ありがとうクウゲン大丈夫・・・」
アメリアはそう言いながら弱弱しく言った、とは言っても先ほどのように顔色が悪かったわけではなく今は普通の色に戻ってきていた
「!そっか、あ、そうだこれ着とけ」
「・・・うん、ありがとう」
俺は来ていた服がいつの間に乾いてる事がわかり被せた、これで大丈夫だろ思ったところでアメリアは目を閉じた
「・・・え、アメリア?」
こういう状態の時に目を瞑られてしまうと寝ているのか気絶しているのかわからないからやめてほしいと俺は思いながら確認した
「スゥ~…スゥ~…」
「!!はぁ~・・・よかった・・・」
寝息を聞き俺は安心し尻餅付いた、そして一気に体全体に疲労が来たのか眠気がやってきた、だがここで寝てしまってはいつ何が起きても対処できないと思い起きている事にした、そしてその時ちょうどちゃぽ、と水の音が聞こえ聞こえた方を見た、そこには天然の水らしきものが湧き出ていた、俺はそこに近寄り手に為飲んだ、そしてその時にふと思いついた事があった、アメリアは今脱水症状が起きている場合もあるのではないか?と思い俺は手の平に貯めた水を急いでアメリアの元により口の中にそっと入れた、勿論口移しではない、少し口を開かせ入れただけだ
「・・・ゴク…」
「!よし!」
飲んだ事に気づき俺は数分間アメリアに水を補給させようと何回も同じ事を繰り返した、そしてそんな事をしていた時に丁度運が良かったのか魚が泳いでいるのを見つけた
「・・・ふぅ、よしやってみるか」
動画でしか見た事がなかったがやってみる価値はあるだろと思いながらやる事にした、やる事とは勿論魚を焼くことだ