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十五話 田舎の川って綺麗だし美味しいな


・・・ゲン


耳元で何かを呼ぶ声が聞こえる、ん~、やめてくれよ~・・・まだ、明朝じゃねぇか・・・誰だよ・・・


クウゲン!!


「!!っは!」


「ふぅ、やっと起きた」


俺の名前を呼ばれている事がわかり俺は目を覚ました、そして目の前に広がっている光景を見るとだんだんと昨日何が起きたのか、それを思い出してきた、また不思議と自分の体、顔、頭と至るところを触りこれが現実かどうか確かめた、そして確かめてからため息がでた


「・・・はぁ、昨日のは現実だったんだな・・・」


「残念ながら昨日クウゲンがこっちの世界に来てしまったのは現実です」


あ、そうと口に出そうと思った時鼻に何か焦げたような、でもいい匂いのする何かが入ってきた、昨晩なにも食べていなかったせいで勝手にそっちに顔が向いた、そこには魚があった


「・・・え、さ、魚?」


「うん、今焼いてるからね、ちょっと待ってね」


・・・ん?なんで魚があるんだ、こんなところの近くに海、川なんてあったか・・・?


「な、なぁここら辺に川、海なんてあったか?」


「あ、そういえばクウゲンには言ってなかったね、ここから約一キロくらい離れた所に川があるんだよ、昨日は流石に暗すぎるしなにか動物に襲われたら大変だから行けなかったけど」


アメリアはそう言いながら魚を棒のような物で突き刺しクルクルと回しながら焼いている、いい匂いだ、じゃねえよ!


「な、なぁアメリア昨日俺、アメリアが寝た後にそこの木の傍でよくわからねぇ動物、みたいな怪物みたいなもの見たんだけど、なんなんだ、あれ」


聞いてはいけない気がした、だがあの得体に知れない動物がどうしても気になり俺は聞いた、するとアメリアは俺が予想していた顔とは違く、きょろっとした顔で


「あ~、クウゲンは見たことないかもしれないけど、その動物って顔が鹿みたいな羊みたいな動物のこと、だよね?」


「!!そ、そうなんだよ!なんなんだあれ!?」


動物の要素を何も言っていないのに見事当てたアメリアに俺は驚きと同時にすっげえ、と思った、別にすごいところなんて得になかった気がするが


「ん~っとね、私もつい三か月くらい前に初めて見た動物で名前とか素性とか全然わかってないんだけど、私達に危害を加えてくる事はないから大丈夫だよ~って事しか言えないんだけど・・・ね」


アメリアもよくわかっていないらしく苦笑いしながらそう言ってきた、おいおい名前も素性もわからないってかなり心配なんだが


「・・・ん?って事は他にもあんな得体の知れない動物がいるって事か?」


一匹いた場合他にもよくいる、そう聞いた事がある気がするそう俺は思った、何かの間違いかもしれないが


「うん、いるよ、って言ってもその動物と同じく名前とか素性とか、全然わからないんだけどね、調べようと思ってもいつも逃げちゃって逃げちゃって」


・・・つまり俺達には無害、ってことでいいのか??、う~ん・・・


「う~ん・・・」


「まぁ、とりあえず心配かもしれないけど、クウゲン、顔洗ってきたら?すごい事になってるよ?」


アメリアはそう言いながらクスクスと笑っている、すごい事になってるってどういうことだ、まぁいいかとりあえず洗うか


「ん、そうだな、えっとそれじゃあその川って場所教えてもらいたいんだが」


「えっとね、ここの道をまっすぐ行ったところにあるよ、一キロぐらいだからすぐ着くよ」


アメリアはそう言い魚を何匹も焼いている、そんなに捕まえられるほどいるのか・・・、まぁ今はそれより顔がひどい事になってるらしいし早く顔を洗いに行こう


「ん、わかった、じゃあ行ってくる」


「うん、いってらっしゃい、魚焼いて待ってるからね~」


俺はそれを聞き歩いてその一キロ先の川の元へ向かうことにした



「それにしても田舎の空気って本当おいしいな・・・都会と全然違うな」


俺はその川に向かう途中田舎独特の匂いを嗅いだ、体全体に行き渡るように精一杯思いっきり吸い込んだ、新鮮な匂いの為いくら吸っても大丈夫、などと回りの木を見ながら移動している内に川の麓についた


「おぉ!!すっげえ!川がめっちゃ綺麗だ!」


川の中が見えるぐらい透明な色に感動し俺は急いで川の元へ近づいた、誰もいない為好き放題、大きな声をだしても大丈夫、なんという自由だ


「ごくごく、っはぁ・・・うまい、すっげえ冷たいけど凄くおいしいってあ、顔も同時に洗われたか」


俺は顔を洗う事を忘れ水を飲みたいと思い顔を思いっきり川に付けた、ものすごく冷たく、でもすごくおいしくて、そして顔も同時に洗われて一石二鳥、また今は季節的にもちょうど夏頃


「服、濡れちまったけどちょうどいいな」


こんな綺麗な川はめったに見れねえな、そう俺は思いアメリアからもらった靴下を脱ぎ、地面においては川の中に両足ぶち込んだ、そして子供の頃に戻ったように思いっきり一人で水を中に投げたりと遊んでいたところで


クウゲン~!!何してるの~!!魚冷めちゃうよ~!!


「・・・わかった~!!ちょっと待っててくれ~!」


うん!わかった~!!


冷たい川の中に入っていた筈が足から頭まで一気に熱くなった、そこでその暑さを覚まそうと服を全部脱ぎ川の中に飛び込んだ、勿論パンツも脱いでだ、体も丁度現れ一石二鳥だろ、そう思った、が




「く、クウゲン、なにが、あったの?」


「・・・体、洗ってた」


「そ、そうなんだ」


顔を洗いに行った筈なのに全身ずぶ濡れで帰ってきた俺にアメリアは引いたような、でも笑うのを耐えてるようなそんな顔をしている、いまの俺ならはっきり言える、恥ずかしい事もはっきりと


「・・・お前、かわいいな」


「っへ?」


俺からの突然の言葉にアメリアは変な声を出したと共に手に持っていた魚をぽろっと落とした




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