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境界のカタストロフィー  作者: 最有機
3/4

第一話

「行け!干瓢マン!!暴君ユウガオパンチ!」

猛烈勢いのユウガオの実が迫ってきた。

「ぐはっ!」

「ふははは、怖かろう。」

物凄く楽しそうな中年オヤジは、容赦なく攻め立ててきた。

「お次は、鉄砲巻きソードだ、さらに魔王ミネラルキックのコンボだ!」

「がふっ。」

俺の意識は途絶えた。





「おい。起きろ。」

声をかけられて、意識が覚醒し始めた。

「あぁ。」

俺、マーティンは返事をしながら徐々に目を開く。

すると、一人の男性が座りながら見ていた。

ボサボサの髪に眼鏡をかけて、どこか眠そうな顔。

シャツの上に白衣を着込んだ、30歳くらいに見える男性。

ロッキードだ。

「まだまだだな。」


彼はマーティンの父で、プラナの研究や使用方法の解明をしてきた。

そして父は謎の人造ロボット干瓢マンを完成させ、

俺はこのロボットで日々稽古を積んでいた。

今もその途中で、干瓢マンにやられた後だった。



というのも、あの時唐突に目覚めた力『プラナ』。

この力は結局よくわからなかった。

だが、なんとなくこの力が必要になる気がして、あの出来事と力の感覚を父に相談した。


女性の容姿を話したとき、父は僅かに反応したがその後は、神妙な顔をして考え込んだ後、

「とりあえず、その力を探ってみよう。」

と意気揚々と俺の手を引き様々実験に付き合わされた。


そのかいあってか、遂にプラナの使い方がわかってきた。

プラナを運用するすべを魂霊術と名付けた。


魂霊術は、ナイフや飛び道具などの武器、

はたまた人形から岩と生物以外の魂のない物なら何でもプラナを流せた。

プラナを流すとそれは自分のよう認識できる。自分が増える感覚に近い。

そしてプラナを通じて自在に動かせた。基本的にはつながっていれば一つとして扱えた。

同時にプラナを展開出来る数の限界はまだ試していないが、自分次第で今のところ20までは出来た。

プラナ的には余裕があるが、自分が増える感覚があるのでどこまで正気を保てるかで数が決まっていた。


そして今対峙している謎の人造ロボット干瓢マンは、父が魂霊術により駆使している。

格関節にユウガオの実があり、その間を何十にも編んだ干瓢でつないだふざけた作りをしていて、

特に拳と足先にある実は大きく、凄まじい凶器だ。


さらにこいつはプラナで運用しているせいでスタミナなど関係なく動く、

また人間には出来ない駆動をするので強い。

父曰く、想像通りに稼働するので面白い、プラナを一度供給することで解除するまで動かせるから燃費もいい。


奥が深い。


ちなみに父はこのように人形のような物を創りそれを稼働させる魂霊術を駆使しているが、

動かせるようになるまでのプラナ供給時間は割と長い。その為実戦的ではない。

なので俺は時間がかからない、剣や刃物、飛び道具などの武器を多彩に操る魂霊術で戦闘する。

物の大きさによって、プラナを提供する時間が減るので小さい方が便利だ。

また、ずっとプラナを展開しながらどれくらいの時間が持つか試したが、

精神的に疲労してきて睡魔に襲われる。

こちらも自分次第といったところだ。


何故戦闘訓練を積んでいるのかというと、

俺がプラナを発現してから約3年後に海が枯れその底に新たな大陸が出現した。

その3年後に今度は青い空が割れその上にまた新たな大陸が出現した。

下の階層の大陸をムー大陸、上の階層の大陸がアトランティス大陸とされ、その間にある我らが大陸がレムリア大陸という。


ムーからの侵攻はなく、3年の間互いに様子を探っているようだった。

たまに好奇心が旺盛な輩が侵入を試みたが、

みな失敗していた。何でもかなりの文明が垣間見れるらしく、

大陸全体が結界のようなバリアで守られていて、

唯一の出入り口らしい部分には門番がいて、その門番が強いらしい。

一人は肉体の一部が硬化したり圧倒的な膂力があるらしい。

もう一人は肉体が変化し狼男になったり、蜥蜴みたいになったりと色々変態するらしい。

以前、向こうからの接触はなく沈黙を保っていた。


だが、アトランティスが出現してから変わった。

こちらはかなり好戦的で、上に位置するという優位点を活かし侵攻してきた。

アトランティスの人間は光の翼を生やし飛行できた。

またそれだけでなく、様々な光の武器を駆使してきた。

それが強力で、中には光の獣を出現させて攻撃してくる者達もわずかながらいた。


三つ巴の戦いが始まって、当然戦場になるのは、二つの世界の間にあるレムリア大陸であった。

この最初の戦闘でレムリア軍は二つの軍にまるで歯が立たなかった。

そのため、レムリアは後退を余儀なくされた。

二つの軍勢の力は拮抗しており、結局未だ決着はつかず、領土を広げようとすると

片方がとめるので、壊滅的な侵略や戦争は止まって膠着状態に陥っていた。


その隙にレムリアは力を蓄えるべく、新たな兵器開発と魂霊術を体得しようとしていた。

その為、父のもとには日夜新兵器の試作品や魂霊術のお弟子さんが出入りしていたが、

魂霊術については問題があった。俺と父は何の影響もなく行使できていたのだが、

レムリアの軍人の人が使ったところ発動しなかった。

父は何となく予想していたようで、こちらも父の研究の一環となっていた。

中には何人か使える人が出てきたが、使っているうちに感覚に耐え切れず、

発狂する人や死んでしまう人もいた。

結局危険なので、いまは兵器開発に勤しんでいる。


俺は魂霊術のおかげで、レムリアではかなり上位の戦士に値する。

また単独でなら、敵地からの離脱も一番成功確率が高いと判断された。

そのため敵大陸に乗り込み情報調査と威力偵察を父経由で依頼された。

間もなくミッションスタートなので、最後の調整に戦闘訓練をしているというわけだ。


「しかし、親父よ。干瓢マンも倒せないで、敵地に乗り込んで生き残れるかね?」

少し考えてから、父は言った。

「ま、運がよければな。」

「・・・、あとレムリアの守りは大丈夫かよ。」

「問題ない。まっ、二つの大陸が手を組まない限り大丈夫だ。安心して行ってくれ。」

そういう問題ではないと思いながら、出発の時を淡々とまった。





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