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境界のカタストロフィー  作者: 最有機
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昔話

主神は疲れ果てた。

変わることのない、人形を飼育する世界。

いったいどれほどの月日が過ぎただろう。

愚か者たちは今日も世界にただ存在するだけ。


そして自害した。神が散った。

その遺体の場所に原初の樹が育ち、神の力を得ることができる木の実がなった。


神が不在の世界は続いた。

そしてようやく変化してきた。

二体の人形が遂にとある蛇にそそのかされ、実を食べ始めた。

二体の人形は人間になった。

最初に食べた実の違いによって、男と女と違いが生まれた。

そうして二人はいつの間にか、最初の実と最後に残った二の実以外は同じだけ食べた。


これまで食べた実により、触覚、視覚、嗅覚、味覚、聴覚などを理解してきた。

だが、最後の二つに差し掛かる前に異変に気が付いてきた。

知識がないためはっきりとはしないが、確かに感じる五感を通して気づく変化。


今までは何もないただの人形が様々感覚を得てきたのだ。

それだけの変化をもたらしてきた木の実。

中には二人の理解していないが効果を得ている実もあった。

もっと何かが得られるのか、それとも何も起きないのか。

しかし知識のない人間二人は戸惑いにより食べられないでいた。

だが蛇にそそのかされ、遂に残りに手を出そうとしていた。


残り一つが知恵の実、もう一つが生命の実だった。


ある時、女は耐え切れず、実を食べてしまった。

そして、男にも勧めた。

実を食べた二人は自分達が裸であることに気付き、それを恥じて葉で腰を覆った。

また言葉や感情が芽生え、二人は互いに名をつけあった。

男がアダン・リリス、女がエバ・リリン。

二人が食べたのは知識の木の実だった。


木の実の知識によって、この世界の秘密や最後の木の実の力も知った。


だから、エバはアダンに言った。最後の木の実を食べ永遠の命を手にして共に神になろうと、

そう言って最後の木の実を収穫してしまった。


それがどんな結果につながるとも知らずに。エバは迷わず食べた。

しかし、アダンは食べようとはしなかった。

エバは理解できなかった。永遠に共に居られるのにと、エバは永遠の素晴らしさを語った。

アダンは、なぜ前の神が自害したのか、今までがどんなに悲惨だったか、終わりがあるから生が輝き価値が生まれる。

そう語り、永遠の寂しさを言って聞かせた。


木の実がなくなった事により樹が枯れ、神の選定が終わり世界の境界が作られる。


葉と枝の部分が上の階層の大地を創り、幹もまたその下の階層の大地を、さらにその下にあった根も大地を創った。

三つの階層の世界の真ん中の世界にエバとアダンは居た。


しばらく二人は生活していたが、遂に一人は終わりを迎えた。

エバは死にゆくアダムに無理やり残りの木の実を食べさせたが時すでに遅くアダムは死に至った。


しかし、エバはアダンを諦めきれず、実によって得た知識から蘇生を試みた。

わずかながらでも、与えることに成功していた生命の木の実の力で肉体は蘇った。


だが、精神は離れ別の上の階層の人形に定着し、魂は輪廻転生の輪に捕らわれてしまっていた。

肉体と精神の所在はわかってたので、魂が転生し現れると信じて待つことにする。


復活した肉体は、精神と魂を仮に入れておかなければ朽ちてしまうので、樹の根の方で適当な魂と精神を入れ保管した。

その際にアダンの肉体は、子孫を創って営んだ。


精神は、定着した人形を人間に進化させ、世界の上の方で生活した。こちらも子孫を創って繁栄していった。


だが長い月日により、エバの哀しみの涙で、海ができ下の世界と上の世界を隔離した。


大地と海の世界にエバの心の空虚な悲しみが空を創り、上の世界は隔離された。


空と海を持つ世界で、人々が生まれ、栄えていった。

この世界では知恵の象徴である科学が発展した。

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