お祭りとお別れ 0
悩んで、迷って。正解のない自問自答を繰り返して。
どうしたいのか。何が欲しいのか。はるかはようやく自分なりの答えを見つけた。
――昴と恋人同士になりたい。
正直に言えば、そこへ行きついたのは自分でも意外だった。
単にどんな答えが出ても意外と思ったのかもしれないし、あるいは四月の。
『あたしのこと嫌い?』
『じゃあ、好き?』
あの出来事が強く胸に残っていたために、そう思ったのかもしれない。
『間宮さんに恋、してるの?』
あの時、はるかは飛鳥の問いに「してないと思う」と答えた。もちろん嘘をついたつもりもない。しかし、はるかはあの時、飛鳥自身への気持ちは言葉にできなかった。
――この違いはなんだったんだろう。
ある時、ふと頭をよぎったのはそんな疑問だった。
(昴は、私にとって女の子として初めての友達だった)
だから、昴に対しては恋愛を意識していなかった。
(飛鳥ちゃんは、私にとってパートナーだった)
はるかの正体を知ったうえで女の子同士として接してくれた相手。だから安心できた。友情も恋愛も、同性も異性も関係なく大切な相手だったから、どういう気持ちなのか答えられなかったのだ。
――じゃあ『本当の小鳥遊はるか』は昴のことをどう思う?
今まで考えないようにしてきたその答えを、あらためて探してみて気づいた。
(初めて昴を見た時、思ったんだ。綺麗だって)
美しい容姿と仕草に目を奪われ、教室でも彼女を気にして。学食で初めて話をした時も、つい彼女を引き留めていた。昴が敷島に告白された時だって、心のどこかには昴への独占欲があった。
本当は一目惚れだったのに、ずっと気づいていなかったのだ。
飛鳥への『好き』と昴への『好き』。それらは似ているようで大きく違った。優劣はないが、ただ昴への『好き』はどうしても捨てられなかった。
昴をひとりじめにしたい。
一度気づいてしまった想いは止められず、また抑えきれなかった。
だから、はるかは昴に告白した。
そして、二人は恋人同士になった。