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狂乱少女が魔法等に溺れる  作者: 偽新34
狂乱少女編
3/4

最終目標(2)

先生の拘束プレイ(授業)が終わる頃にはすでに夕方になっていた。



登坂はすっかり詐欺られたことに対しての怒りが時間が経つにつれて薄くなり、もはや登坂の中ではどうでもよいことになっていた。



そんな彼はただいま帰宅途中であり、自炊派であるので両手にスーパーの袋を両手に引き下げて大通りを歩いていた。



「ふっふっふー、今日は久し振りにマグロが安かったな、迷わず夜は刺身一色といったところだろうな」



と、そこで、



「いや、それでは健康バランスが非常に悪いな、炭水化物をとれぃ!」



後ろから中学生ぐらいの少女が声をかけてくる。



「さあ寿司だ!今すぐ飯を炊けぇ!」



「いや、お前に食わせる飯など存在しない!沙弥、お前に存在していいのはただ1つ!スルメあげる♪」



「むむっ、このスルメを噛み続けることでだんだん脳内に満腹感が増加していくだとぉ…!?このままではじきにお腹がいっぱいになってしまう、このスルメ、恐れ多い存在!…ってばかやろうっ!わたしは今!寿司が食べたいんじゃぁぁぁ!」



「ノリツッコミ乙です!」



「…まぁ、今回はたまたまうまく決まっただけだ、でもこのことは忘れろ!お前にとっては少々退屈であったかも知れないからな、…………でもまた見たいって思ったらまたしてやっても構わないからな?」



「照れるな、それに褒めてない、顔赤くすんな」



「それじゃあ寿司食わせて?」



「直球的に言うと無理だ」



登坂はため息を1つついて少し落ち着かせてから話を続けた。



「そもそも今月の食費は俺一人だけでもけっこうギリギリなんだよ、なのにお前は昨日も一昨日も俺んちでごちそうになったじゃねぇか」



「だから何が言いたいのさ?」



「だから今日ぐらいはなんか奢ってください!」



それを聞いた沙弥は数歩後退りしながら言う。



「うわー、中学生相手に奢らすとか高校生にもなって恥ずかしいわぁー、ちょっとばかりでもないほどにひくわぁー」



「お願いします!今月はほんとーにヤバイんです!もうあのインスタント地獄には戻りたくないんです!」



「いやいやいやいや、敬語とか土下座とか普通街中でやるものじゃないって、どう見てもわたしが変な人に見られちゃうじゃん」



沙弥は少し悩んだ上でため息をついて、



「…わかった」



「え?なんて?」



「わかったからごはん奢ってやるって言ってんの!」



沙弥がそのことを言った瞬間登坂は土下座の姿勢からゆっくりと上体を起こす。



「ふっ、どうやら言ってしまったみたいだな、この俺にメシを奢らせることを後悔するんだなぁ!」



登坂はそのまま180度ぐるりと回転し、勢いよく家に向かって走り出した。



それに反応して沙弥は口早々に場所を指定する。



「じゃあ1時間後に第二区画の駅前に待ち合わせってことで」



しばらくしてから「わかったー」と言う声が小さくなりながら聞こえるのを確認して沙弥も一度家に帰ろうと歩き始めた。



「あいつはほんとうにわたしより年上なんだろうか…」



ただその一言しか出なかった。









登坂の家は第四区画に存在する。学校のある第三区画までそれなりの距離になるが、バスを使えばたった15分で家の前まで到着するという交通力が高いところだった。



登坂がバスに乗ると珍しいことに乗客は一人もいなかった。



普段はあまり使われていないバスであるのだが通勤時間帯にはそれなりに混んでいる時がある。



「珍しいこともあるもんだな~」



軽く呟いて登坂は一番後ろの端に座った。



しばらくしていると登坂はいつもと通っている道ではないことに気付いた。



「おーい、運転士さんなんだか道が逸れていっているんですけど」



しかし、運転士の反応がまったくない。



それどころかバスはさらに別の方向へ進んでいき、だんだん人気のない道へ行っていた。



たまらず登坂は運転士のところまで行く。



「ちょいと俺の話聞いてるんですかって…ぁん?」



運転席には制服を着た人形が置かれていた。



ハンドルが勝手に動いており自動操縦されており、登坂がハンドルを動かそうにもまったく言うことを聞かない。



人形を投げ出して運転席に登坂が座る。



「確か右下辺りに自動操縦解除のスイッチがあったような気がするんだが、これか?」



右下のほうに見つけたスイッチに手を伸ばすが登坂には違和感を感じていた。



(自動操縦なのになんで人形まで用意する必要があるんだ?)



祈伝島のバスのほとんどは無人運転であることが多い。



なので人形を使う意味はほとんどなかった。



確実に変なことに巻き込まれていることに気づいている登坂はスイッチを押すのをやめた。



理由としては、まずこのバスは本当に自動操縦なのか、自動操縦でなければこのスイッチを押したらどうなるのか。



「めんどくさいけど、乗っかったほうが身の為みたいだな。」



登坂はさっき座っていた席に戻り寝たフリをしてバスの最終目的地まで待つことにした。










およそにして30分経ち外はもう暗くなっていた。



バスはぐにゃぐにゃと道を曲がりながらとうとうある建物の前で停車した。



登坂は建物に近付いて行くごとにサイレンの音があちこち飛びかかっているのを聞いていた。



建物には『衛星総合管理センター』と書かれていたが、すでにその建物は廃墟当然の有り様だった。



登坂は薄目で周りの景色を見ていたがドアから複数の人が入ってきたのでとっさに目を閉じた。



どうやら男組が二人いるようで話声が聞こえてきた。



「結局ばらまいたバスの内1台しか戻ってこなかったようだな、ほかは全部爆発しちまったみてえだな」



「ふん、運のいい奴のようだな、寝ているから運転席のことは気付いてなかったようだ」



「気付いてたら今頃スイッチを押してあの世行きだったのにな~!…それで?この男はどうする、いっそここで殺しておくか!?」



そう言った男のほうから金属音が聞こえてくる。



(もしかして銃器とかじゃあねえよな?)



登坂は必死に冷や汗をかくのを我慢する。



「やめておけ、こいつはこいつで人質扱いできる、ぎりぎりまで生かしておいてやろう、異論はねえな?」



「いや、あるな」



「なんだ?」



「人質とるなら女がよかった」



「よし、さっさと運び出すぞ、騒がれるのも面倒だしな」



男は登坂のポケットから携帯を取り出し踏みつけて壊した。



登坂はもう一人の男に手足を縛られた後、背おられて建物の中に運ばれていった。

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