8話 現実と非現実
投稿が遅くなってしまいました。
戦闘描写って難しい……
やがて、視界から光が消えた。見慣れた景色を懐かしみながら辺りを見回すと、彼女の姿を見つけた。
「咲!」
全力で叫ぶが、まったく反応がない。するとナビ――サラディンから受け取った端末から頭の中へ声が伝わってくる。
「今の状態の君は、その場所にいるが実体はない状態だ。」
「どうしたらいいんですか! 急がないと咲が危険だ!」
言われてみれば、体が透き通っている。近くの電柱に触れようとしたが、触ることは出来なかった。
今はイーターは姿を現していないみたいだが、嫌な感じが離れない。早く戦える状態にならなくてはならない。
「落ち着くんだ優斗君。イーターとの戦闘のやり方を今から教えるから、指示通りに動いてくれ」
「わかりました」
「まず、こっちの世界では君の実体は存在しているが存在していない。いわゆる幽霊なんだ。だからこそ、この世界で行動できるようにしなければならないんだ。頭の中で実体化するように念じてみてくれ」
言われた通りに念じてみる。するとからだが光始め、透き通っていた体が通常の状態に戻った。だが、優斗の姿はこの世界の人たちには見えていないようだ。
「うん、その調子。次は戦闘モードに移行しよう。ストラグルモードと唱えるんだ」
「ストラグルモード!」
唱えると同時に、体に力が入ってくるのがわかる。コンバットスーツから力が供給されているのだろう。
「優斗君、あとは戦いに備えるんだ。イーターたちがすぐ近くにまで来ている」
慌てて咲をかばうように辺りを警戒する。どうやら実体化しても一般人には見えないらしく、コンバットスーツを着た優斗に目を向ける人間は居ない。
イーターを警戒していると、咲からは苦痛に満ちた声が漏れてきた。
「優斗、なんで死んじゃったの? 私が寄り道したいなんて言ったから、事故にあっちゃったんだよね? 私のせいで優斗は……」
咲から絶望が伝わってくる。これほど大きな絶望に囚われてしまっては、そう簡単には立ち直れないだろう。そして、そのせいで命が狙われる。
「優とは覚えてないかもしれないけど、私は覚えてるんだよ? まだ小学生のときだったけど、私のことをお嫁さんにしてくれるって言ってたのを。昔のことだけど、ずっと期待していた。なのに……」
俺はそんなことを言っていたのか。咲がいつも俺と一緒にいようとしていたのも、それがあったからなんだろうな。
「優斗君、後ろからイーターが来ている。大丈夫だとは思うけど、気をつけて」
サラディンに言われて後ろを振り向くと、すぐにイーターを認識できた。中に浮く50センチ程の球体には、大きな口が1つある。かなり固そうだが、金属とはまた違う質感はよりいっそう不気味さを引き立たせる。
相手も優斗を認識したのか、キバを剥き出しにしてを開けてその場に止まる。数は5体おり、隊列はバラバラだが迂闊には近づけないだろう。
先に動いたのは優斗だった。体に雷を宿すと、目にも止まらぬ速さで敵のど真ん中に入り込み、拳を振るう。近くにいた2体を潰し、一度距離を置く。安全第一のヒット&アウェイ戦法である。
敵が戸惑っているのを機にもう一度それを行い、再び2体潰す。だが、その直後に新たなイーターが現れる。今度は計10体もいる。
キリがないと感じつつ、再び斬り込む。しかし、さすがに感付かれたのかうまく避けられてしまう。
避けられると同時に、イーターは攻勢に出る。優斗を包囲するように円形に囲み、全てのイーターがが同時に赤いレーザーを放つ。もはや逃げ場はないだろう。
しかし、優斗はこんな状況だというのにニヤリと笑っていた。なぜなら、長年のイメージトレーニングで鍛えた優斗に予測できない動きはなかったからだ。
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