3話 幼馴染
短めですが一応投稿
長文を書くのって難しいですね……
急に背筋に寒気が走る。教室にはクーラーがついているが、また違った寒さだ。
その不快な寒気はすぐに去ったが、嫌な感覚が頭の中に残る。何かが書き換えられたかのような感覚に期待が高まるが、それと同時に不安にかられる。
教室内はいつもどおりの平穏に包まれている。気のせいかと思い、頭を振る。特に何も変化がなかったため、気にすることはないだろう。
再び空想の世界に入り込んでいく。
気がついたときには、すでに授業は終わっていた。号令がかかっているのに気がつくと、慌てて立ち上がり挨拶をする。
休み時間になり、再び浩介と理想談義をしはじめる。
今回の会話はいつも以上に熱くなり、寒気のことはすでに忘れてしまっていた。
今回は浩介の理想を聞いてみた。 彼の理想は遠距離からの狙撃であり、近接戦闘を好む優斗とはだいぶ異なる。近くで戦うからこそスリルがあって面白いのだと優斗は考える。
しかし、だからこそ面白いのだ。自分とは違う理想を持つ人の話は新鮮で、たまに自分の理想に取り入れたくなることもある。戦い方から世界観まですべてが異なる人からは、取り入れられることが多いのだ。
「確かに遠距離攻撃も必要かもな。俺の場合、相手が近くに来ない限り当たらないしな」
「俺も優斗みたいに近接戦闘のイメージトレーニングをしないとな。間合いを詰められたとき辛いからな」
互いの理想を語ることで、空想の世界での戦いを熱くする。
「優斗、今日はお前どうする? 暇ならゲーセン行こうぜ」
「悪い、今日は咲と帰るから行けないや」
「まったく、幼馴染みが居るってのもいいな〜。俺も優斗みたいにフラグが欲しいや」
「そうか? 確かに端から見たらいいかもしれないけど、あんまりいいもんじゃないぞ。フラグの欠片もないしな」
「それが意外とあるんだよな〜。お前鈍すぎだろ」
そんなにフラグがあるだろうか。今までのことを思い出してみたが、まったくフラグが立っていないと優斗は思った。
「優斗〜」
放課後になって校門で待っていると、咲が手を振りながら走ってきた。
「ごめん、日直の仕事で遅くなっちゃった」
「いや、俺も今来たばかりだから大丈夫だよ」
よく小説やらなにやらである台詞だが、優斗本人は気付いていない。長いオタク生活の中で、主人公の口調や行動に影響されていたのだ。
咲はそのような口調を好意的に捉え、笑顔を見せる。
「じゃあ、帰ろっか」
歩き出す咲に肩を並べ、優斗は歩き出した。