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8to11

認知し許容することとは、自らのものとして消化すること。

世界観なんて、自分の見える主観の中にしかない。

だから、世界を受けいれるなんて、実は簡単なんだと彼女言った。




栄養が回っていないと、やっぱり脳みそが動かない。だから、こんな中学二年生みたいなことを思い出したりするんだろう。



昼飯、食いそこねた。しかも貫徹でゲームしてたから、眠い。


オレンジ色の生徒会室で、腕を組んでウトウトしていたら、彼女がまた、やってきた。


いつもよりもかなり遅い。しかも私服だった。






8.Just for you.


「おはよう、肴菜君。今日はなんだかアンニュイな顔をしているね。お昼でも食べそこねたのかな? ゲームで寝不足かな?」


もう放課後です、小梅さん。というか、大人なモードですね。


「なぜ知っている、みたいな顔をしているね」


心を読めるのか、自他称魔女(コウメ・ル・フェイ) め。


「肴菜君を観察しているんだから、それくらいわかるさ」


このストーカー……いや、魔女め……


「それで、どうするの?」


「さっさと帰って、ごはんを食べることにします」


家では一人ですけどね。


「一人で?」


それはまあ、両親共働きの鍵っ子ですから。チンして出来合いの物をご飯と一緒に。


「寂しいね?」


まあ、それはね……ていうか、言わないでください。もう慣れてきたんですから。


「それでね、君が一人で寂しいと思って……あの、その、こ、これをね、急いで作ってきたんだけど……一緒にどうかな?」


白地に黒ウサギ柄の、少し派手な布。少し大きめの包み。


そんな、お弁当だった。








9.instant.


「……ものすごく、手が込んでますね」


「そ、そうかな?」


さすが魔女。二段になったお弁当箱の中身は、どれも自分がいつも食べているようなものとは全く違った。

とても手の込んでいるようで、とても美味しそうで。

つまり、生鮮食品。

コンビニ弁当や冷凍食品、栄養ドリンク、携帯食品、惣菜パンで生活している俺には馴染みの薄いものだった。


さすがにこれは


「……ありがとうございます」


「え、えへへ」


終業から一時間しかたってないのに、本当に。

よく作れたな。


「で、でもね、半分以上は前作って冷凍してたものを解凍したやつなんだよ?」


「……Whats?」


まあ流石に魔女であっても、短時間でこんなお弁当、一からは作れないか。

でも美味しそうだから良いか。



「あ、愛情こもってるかりゃ!」


そんなに赤くなるなら言わないでください。というか噛むなっての。








10.Delicious?


「とにかく、はい、あ、あーん」


そう言って彼女は俺の近くにやってくる。

差し出された箸の先には、いい匂いの唐揚げが。

……これをこのまま食べたら、負けの気がする。


「自分で食べられます」


「嫌かい?」


そこで大人モードですか。切り替えのスイッチは何処にあるんですか、全く。


「嫌です」


「そっか、いやか……」


そういった彼女は、口を軽く開けて俺の方を向いていた。


「あ、あーん」


目をつぶって、ホンノリ頬を赤らめて。


「いただきます」


だから俺はそれを無視して食べ始めた。

すごく、美味しかった。








11.Bon apetit.


もう夜の帳も降りかけてている。風も、涼しい。


「ご馳走様でした」


「あ、お、お粗末さまでした」


量も質も、いつもの食事よりずっと美味しかった。

何気に、魔法瓶に味噌汁まで入れてきてくれていた。これは、出汁からきちんと作っていたそうで。

……正直、おふくろのより美味かった。


「えと美味しかった?」

ニッコリと笑う。


「はい、とても」


「あ、え、ありがとう


「どういたしまして」


彼女は、なにか納得いかない用で。

ふむ。事実美味しかったし満腹感の気持いい余韻を味わえている。ううむ。

俺は非常に満足なのに。


「えと、珍しく素直だね、肴菜君」


素直なのは珍しく無いでしょうが。

俺は嘘はつきませんよ、少なくとも意識的には。



「一言余計です」


「あう」


ずびし。チョップをした。





その日、寝たのはまた深夜だった。

それでも、夜食を食べなかったのは久しぶりだ。

彼女の弁当は何時もの食事と違って腹持ちがよく。夜まで気持ちが良かった。


また食べたいと思ってしまって、少し顔が赤くなった。


Why?


とにかく、お礼ということで。

俺は彼女に缶コーヒーを買っていった。

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