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        1 スタンビード

 スタンビードが発生した。男爵は自領を守るためにマリエールに助力を頼んだ。レッドドラゴン、ワイバーン、オーガ、キングベアーと大物が現れた。

           1  スタンビード


 スタンビードが発生したと言う連絡が来た。発生源はダンジョンのある街らしい。間もなく魔獣の群れがこの領地にも襲いかかって来るようだ。マリエールは父の男爵から、

「マリエール、お前だけが頼りだ。スタンビードからこの領地を守って欲しい。」

と言われた。マリエールは、 

「お任せ下さい。」

と答えた。マリエールはアンドロイドを目一杯出してスタンビードに備えた。マリエールは上空に舞い上がってスタンビードの様子を見た。もうほどない所まで魔獣は迫っている。ダンジョンでスタンビードが起こる原因は強力な変種の魔獣が突然発生して上層に向かう事から起こる。今回スタンビードを起こした魔獣はかなり下層から上がって来たのだろう。強い魔獣が沢山いる。見た所数万はいるようだ。

「とにかく強い魔獣から倒してね。強い魔獣は逃しては駄目よ。」

オーガ、ワイバーン、キングベアー、レッドドラゴンまでいる。アンドロイドでも手こずるだろう。マリエールはアンドロイドに攻撃を命じた。フライして魔法を放って収納することの連続だ。ワイバーンやレッドドラゴンとは空中戦だ。ブレスで飛ばされるアンドロイドもいる。マリエールは貫通魔法でレッドドラゴンをしとめて収納した。

「レッドドラゴンには貫通魔法が有効なようよ。絶対に領地に入れないで。」

空中を飛ぶレッドドラゴンとワイバーンは速い。アンドロイド達の攻撃を掻い潜るように領地に接近する物もいる。

「アイシクルランス」

マリエールの攻撃がワイバーンを串刺しにする。

男爵領側では男爵が村人を先導して柵を作ってマリエール達が討ち漏らした魔獣を討伐している。領地内に突入した魔獣はいないようだ。マリエール達の空中戦は終わったようだ。後はオーガとビックベアーだ。空中からの攻撃は有効的だがとどめを刺すには至らない。マリエールは、

「剣で攻撃しましょう。」

マリエールはフライで突進してオーガの心臓を貫いた。

「フライで突進する方法は有効だわ。」

ビックベアーは体長10mもある狂暴な強敵だ。オーガと同じ方法で倒せる気がしない。取り敢えず魔法で攻撃する事にした。右目に貫通魔法を放った。怒ったビックベアーはめちゃくちゃに暴れた。隙間をついて左目にも貫通魔法。怒り狂ったビックベアーは暴れた。マリエールはフライで突進して心臓を貫いた。遂に6時間の激戦の末スタンビードは収まった。

 討伐に当たった者同士声をかけ合った。男爵は皆を慰労した。

「皆、ありがとう。お陰で領は護られた。」

マリエールは疑問を述べた。

「スタンビードはダンジョンのある街で起こったのですよね。つまりダンジョンが発生源と言うわけですね。もしかしてまだ収まっていない可能性はありませんか。」

男爵はこう述べた。

「このダンジョンは数十年おきにスタンビードを起こしている。再度スタンビードを起こした例はない。」

変種の魔獣はダンジョンの外には出ていないだろう。スタンビードは根本的には解決されていない。しかし、数十年おきにスタンビードを起こす領地を守るなんて罰ゲームみたいだとマリエールは思った。

 柵は残して見張りのアンドロイド数体を残して皆領地に戻った。話しはそれだけでは終わらなかった。国から男爵をダンジョンのある街及びその周辺地域の救済を命じられたのだ。そのついでに男爵をその街やその周辺地域の領主として子爵に任ずると言う命令書もあった。正式には復興支援が終わった後王宮で行うそうだ。マリエールは、

「お父様、子爵への昇爵おめでとうございます。見事に領地を守ったお陰ですね。」

父親は少し気恥ずかしそうであった。

「数十年毎にスタンビードを起こすダンジョンのある街の領主とは気が重いもんだ。スタンビードが起こる度に領主が変わっている。今度は俺の番だと思うと気が滅入る。」

 取り敢えずダンジョンのある街に向かうことになった。医薬品や衣食住に必要な支援物資を詰め込んだ。先ずはアンドロイドに向かわせた。死屍累々なる惨状ならこれを片付けなければならない。子爵とマリエールが到着するとスタンビードの影響で破損した建物と被災者達がいた。マリエールはアンドロイド達に破損した建物の片付けと、被災者の救済、仮設住宅の設置を指示した。子爵は冒険者ギルドに向かった。マリエールは旧子爵屋敷があまり被害がなかったのでここを拠点として復興支援に当たった。先ず被災者の救済だ。支援物資を渡し仮設住宅に入居させる。治療が必要な者は旧子爵屋敷で治療する。マリエールは水魔法で傷口を洗浄して回復魔法で治療する。患者達は口々に感謝を述べる。

「前の子爵様はスタンビードが起こると家族を連れて逃げ出してしまうし、誰も助けてくれないので途方にくれていたのですよ。こんな可愛い天使のような方が助けに来てくれたので、遂にあの世からお迎えに来たのかと思いましたよ。」

冗談が言えるくらい元気になったなら良かった。重症患者も何人かいる。手や足が欠損した者も何人かいる。

「このざまじゃもう冒険者も終わりだ。生きている甲斐もない。」

欠損は冒険者にとって致命的な障害だ。マリエールには欠損を癒やすすでがない。慰める程度なら出来るけど。おそらくそれは望まないだろう。

「治癒魔法師の中には欠損を治す者がいると聞きますが、生憎私は欠損を治せません。何時か私が欠損を治せるようになればあなたの欠損を治しましょう。」

欠損を除けば何時も通りの治療をした。他の重症患者も欠損はないにせよ冒険者を続ける事が難しいくらいの障害を負った者が多い。

「マリエール様、私はまともに歩けません。こんな事では冒険者に戻れません。死んだ方がましです。」

そんな人々に優しく声をかける。

「始めは歩き難いですよ。でもだんだん上手く歩けるようになります。やがて昔のように歩けるようになります。信じて下さい。神はあなたを見捨てない事を。」

やがて重症患者も退院して行った。

 ダンジョンが再開した。スタンビード後の確認も行っていない。見切り発車だ。冒険者は何時も自己責任だ。自分の事は自分で責任を取れと言うスタンスだ。案の定、初級冒険者に大きな被害が有った。浅い階層にも強い魔獣がいた。なにも不思議な事ではない。スタンビードの後はこんな物だと割り切って考えられる者がどれほどいるだろうか。それが証拠に上級冒険者でさえ10階層で取り止めた。この街を去る冒険者が続出してそれに伴い冒険者相手の仕事をしてきた一般人達も減っていった。

 新しく手に入れたダンジョンがどうであろうが子爵やマリエールにとってはあまり関心はないが冒険者ギルドにとってはかなり深刻な問題なのだようだ。子爵の所へ冒険者ギルド長が訪れた。偶々マリエールも子爵の所に来ていた。マリエールが退席しようとすると子爵は同席するように言う。不承不承マリエールは承知した。冒険者ギルド長は単刀直入に要件を切り出した。

「子爵の領地だけが無傷でスタンビードを乗り切りました。よほど強い軍団をお持ちなのだとお察しします。その軍団にダンジョンに潜って頂きたいのです。ここのダンジョンのダンジョンコアは非常に不安定です。この魔道具にダンジョンコアを封印してダンジョンマスターに渡して欲しいのです。」

ダンジョンコア、ダンジョンマスター、聞き慣れない2つの言葉に子爵もマリエールも声も出ない。察したギルド長は話しを続けた。

「ダンジョンコアはダンジョンの要、不動で所定の位置にある物です。ところがこのダンジョンのダンジョンコアは所定の位置から抜け落ち転がっているようです。そのダンジョンコアをこの魔道具に入れれば、ダンジョンマスターが気が付いてダンジョンコアを受け取り来るはずです。」

子爵もマリエールも呆れた。子爵は、

「その軍団は、このマリエールだが、マリエールがこのダンジョンの最下層まで潜ればダンジョンコアが見つかるのか。ダンジョンコアをこの魔道具に入れればダンジョンマスターが現れるのか。」

ギルド長は自信満々に、

「ダンジョンコアのあるのは最下層の最奥の間です。この魔道具をお持ち頂ければ必ず見つかります。ダンジョンコアをこの魔道具に入れれば必ずダンジョンマスターが現れます。」

子爵とマリエールは一応納得した。マリエールは、

「私は12歳なの。ダンジョンに潜るのは確か15歳からよね。私が潜るのは規約に合わないわよね。違反して潜るのは気が進まないわ。」

ギルド長、反論する。

「原則15歳からですが必要に応じて10歳から認めています。心配無用です。あなたは正式にダンジョンに潜れます。」

マリエールは冒険者登録する事になった。

 国からダンジョンのある街とその周辺の救援を求められた。この地域の子爵に任じられた。復興支援に尽力した。

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