発表
やりたい事ができた
やってみたいと思った
初めての事だった
学生最後の年
何かを残したいと思った
自分の思いを文にして
発表する会があった
これだと思った
先生に伝えたら喜ばれた
でも生徒は違った
学校で一人ずつしか
出られないらしい
それを知ったのは
私に決まった後だった
もう後戻りはできない
精一杯やろうと決めた
何度も書き直しては
先生に見てもらって
また直しての繰り返し
先生に言われた言葉では
違う気がして
また一から書き直す
終わらない作業に思えた
お互いに納得するまで
付き合ってくれた先生
本当にありがとう
ようやく出来上がって
今度は発表の練習をした
舞台にあがって
先生に見てもらったり
暗記して発表できるまで
とにかく練習をした
当日他の学校の先生から
数校から選ばれた代表だと
プレッシャーを与えられた
その時は無に近かった
発表の本番の前に
観客がいない状態で
リハーサルをした
練習通りにできた喜びで
発表しながら感極まった
いざ本番が始まる時
先生が一応原稿を持てと
言ってきた
私は大丈夫と断った
先生の言う事を
聞くべきだった
何人かの発表が終わり
私の番が来た
マイクの前に立った時は
リハーサル通りだった
視界に観客の顔が
はっきり見えた瞬間
一気に頭の中が
真っ白になった
制限時間もある
次の言葉を出さなきゃ
何処まで言ったんだろう
今まで練習してきた事
さっきのプレッシャー
頭が回らない
その瞬間観客席から女の人の
頑張ってって声が聞こえた
はっと我に返った私は
その声のした方にお礼を言って
最初から始める事にした
やっぱり全然だめで
標準語で書いた文のはずが
方言で話す形になった
途中で制限時間の音がした
終わった
でも言いたい事は言おう
結局何を言ったかわからないまま
発表会は幕を閉じた
終わってトイレに行くと
嗚咽が出る程泣いた
あんなに頑張ったのに
先生にも皆にも
申し訳がなかった
少し落ち着いた所で
トイレから出ると
女の人が声をかけてきた
一番良かったです
その優しくかけられた言葉は
傷口にそっと塗られた
薬の様に効き目があった
少しだけ癒えた気がした
でも先生の顔を見た瞬間
胸が痛くなった
頑張ったからと先生が
焼肉を御馳走してくれた
味は覚えていない
先生には申し訳ないけど
食べてすぐトイレで吐いた
皆にも合わす顔がない
皆にどうだったか聞かれた時
何を言ったんだっけ
卒業した後聞いた話では
あの発表会は録画されていて
皆でそれを見たらしい
私がいない所でだ
不愉快だった
でもそうやって
バカにされたのは
私が最後までちゃんと
やりきれなかったせいで
もっとちゃんと出来れば
先生の言う事を聞いていれば
違う結果になっていた
かもしれない
今でもあの時の惨めな姿が
浮かんでは苦しくなる
今では何を書いたかも
思い出せないあの言葉を
伝えられなかった悔しさが
またこうして
改めて言葉になる




