赤と青のアイツ
大きな本屋と併設された文房具コーナーをウロウロしていた時。
「えーっ!懐かしい!!」
懐かしの赤と青のアイツが目に入った。
赤と青が合体した鉛筆である。
この赤青鉛筆は大正3年(1914年)には既にあったそう。
「ただの黒い鉛筆で一番古いのは家康さんの遺品にあるのよね…鉛筆が遺品って可愛いわ」
琴美が小学五年生の頃、おじいちゃん先生だった八木先生が持つ鉛筆はこれであった。これしか持っていなかった。
丸をつける赤と、間違いを正す時に使われる青。
テストや宿題など間違いがある時、青色で「落ち着いて考えてみよう!」とか「慌てないでゆっくり考えて!」とかの注意書きをされた。
注意書きが多いからか八木先生の赤青鉛筆は青の方が早く減っていて、最終的に小さな赤鉛筆が残っていた。
小さくなった赤鉛筆には銀色の鉛筆カバー??
それを使うと鉛筆が長くなって最後まで使えるようになるものがつけられていた。
八木先生の胸ポケットには、カバーが付いた赤鉛筆が2本と赤青鉛筆が1本入っていて、赤青鉛筆の「1本で2本を兼ね備える」という良さがなくなっていた。
「もういっそ青鉛筆を持てば良かったのに…」
子どもの頃言えなかった思いは大人になった今なら言える。
「めぇ、めぇ、めぇ」
これも八木先生に言えなかった思いである。
こちらは『小池ともか』様から頂いたお題になります。
小池サマの作品「仮面」N4698KR
お時間ありましたら遊びに行ってみてくださいね♡
『椎名琴美と一緒にコロンを鍛えよう』企画はこれで終了です。
お付き合いくださり本当にありがとうございました♡