外交官
「ばかやろう…」
「ばかやろう!」
「ぶわかやろうっ…」
朝からぶつぶつと小さな声で馬鹿野郎を練習する琴美。
総理大臣が8月に退陣すると、一部のニュースが報せた。
「辞めるのかしら」
そんなことを考えながら馬鹿野郎を繰り返す。
白州次郎が好きで調べるうちに繋がった吉田茂。
外交官として多くを中国大陸ですごし、その後イタリア大使、イギリス大使となる。
その後紆余曲折を経て、1946年、内閣総理大臣に就任する。
1953年2月、衆議院予算委員会で質問者に対し、ぼそっと「バカヤロー」と発言したことが問題となり内閣不信任案を可決させ、吉田は衆議院解散。
世に言う「ばかやろう解散」である。
別に吉田茂が好きなわけではないので、ばかやろう解散と、白州次郎しか興味はない。
しかし今回、祖父が吉田茂の麻生太郎氏が絡んでいることもあり、ばかやろう解散を夢みた琴美であったが、夕方のニュースで総理大臣が「自身の進退について一切話は出ていない」と言っていると知る。
「今日の私のばかやろう練習はなんだったったんだ!私のばかやろう!」
ぶあいそうな顔して言ってみる。
いい具合に自分に「ばかやろう」が使えたことにご満悦の琴美であった。
★白州次郎のお家は「武相荘」というのです。
こちらは『木山花名美』さまに頂いたお題になります。
木山サマのルフナ小説大賞作品
『後妻になった死体です。~一年後には棺へ戻るのでお気遣いなく~』N4869IP
お時間ありましたら遊びに行ってみてくださいね。