2、とある朝の話
ある日。時間は午前6時ちょうど。人々は異変を感じた。何か違和感があるのだ。言葉では説明できないような違和感。よく分からない力が身体に流れている。そして、教えられてもいないのに、自分たちがどうすればこの力を使えるのかが分かった。呼吸をするやり方を疑問に思わないように。人類は魔法の使い方を疑問にも思わない。前日まではなかったことは認識しているし、何で急に、ということも考えているが、それでも使い方は理解している。
すぐにいろんな人が魔法を試してみた。魔法というものは感じ取ることができているし、使い方が分かるが、どのような現象でどうやって発生しているかなどはまだ誰にもわからない。魔法の研究をしようと決めた人もいる。まだ何も解明されていない未知の力にみんな浮かれていた。最初は。
しかし、すぐにみんな気がついた。
今までの常識が通用しなくなる可能性があるということを。
例えば、最近では水や火を簡単に使うことができる。蛇口をひねると水が出てくるし、ガスコンロはボタン一つで火がつく。それは魔法というものによってどうなるのだろう。魔法で火や水を出せるとなれば、水道事業、電気会社、ガス会社などの今までは必需品とされてきた事業の価値が一気に下がってしまう。そうすると、人員は削減されることになるだろう。すると、今まで働いてきた人たちはどうなる?
この世界で使えるようになった魔法は、人によって違う色を持っている。赤、青、黄、緑、紫…。様々な人が存在している。そして、その色によって、使える魔法が異なるのだ。
魔法が使えるようになって、人々が最初に分かった情報はここまで。その後の世界がどうなるか、何が発見されるかは誰にも分からない。
急に世界が変わったとき、人は何を思うのだろうか。