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なみだの決戦日  作者: 成城諄亮
第1章
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第二章 第21話

 頬を伝う涙。近くで聞こえる乱れた吐息。早くなる心拍数。伝わる熱-


ふと我に返った瞬間に、肩から乾いた音が鳴った。


「あ、ごめん。つい」

「あ、いや。べつに」


気まずい空気が流れ出す。そんな二人の近くを、制服姿の男子三人組が、自転車で細かな水しぶきをあげながら走り去っていく。


「あのさ、裏切ったってどういうこと?」

「・・・」

「俺は凉樹に揶揄われたくない。本当のこと言って」

「・・・・・・、ごめん」

「何が?」

「・・・」


俺がとった態度は、反抗期で素直に謝ることが子供のようだった。それに対し、咲佑は深い息を吐く。


「だから、何が?」

「ごめん」

「ごめん、ごめん・・・って。凉樹、しつこいよ」

「・・・」


 何をどう言えばいいのか分からなくなった自分のことが惨めだ。


「凉樹、謝るだけじゃ分からない。あぁ、もう! こんなところで怒りたくないけどさ、我慢できない。なぁ、俺のこと裏切ったって何なんだよ! どういうことか説明してくれよ!」

「・・・」

「黙ってんじゃねぇよ。ちゃんと目見て言えよ」

「・・・、ここじゃ説明できない」

「じゃあどこで―」

「俺ん家、じゃダメか?」


 仕方ないという感じで頷いた咲佑。実際、自宅に連れていくつもりはなかった。本当はどこか公園にでも行って、二人で面と向かって話し合いをするつもりだった。連れて行きたくない理由は二つあった。一つは、咲佑が家に遊びに来ていた頃よりも散らかっているから。二つ目は、奏からのプレゼントも片付けられていないから。


でも、逆に家に招き入れることは、いい機会かもしれないとも思った。俺と奏さんの関係を知れば、きっと咲佑は俺との恋を諦めてくれるはず・・・。


 咲佑は目の前にある浅そうな水たまりをわざと踏む。小さな水しぶきが無数に飛び散り、路面に落ちていく。それをどこか寂し気な目で見る咲佑。そして、歩道にできた大きな水たまりに映る自分に別れを告げていた。

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