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なみだの決戦日  作者: 成城諄亮
第1章
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第三章 第6話

 なんか騒がしいな。俺、もしかして人気者にでもなったか? いやぁ、参ったな・・・。いや、これは歓声じゃない。どちらかと言えば悲鳴混じりというか、何となくザワザワしている。落ち着きのない感じが声から伝わってくる。近くですごい馴染みのある人から名前を呼ばれているのに、それに応えることができない。どんなに力を入れようとも目が開かない。身体を動かそうと指令を送るも、ぴくともしない。お日様を浴びた芝生の匂いも、口の中が切れているのに血の味もしない。確か俺は暴行を受けたし、脇腹の辺りを刺されたのに、それらもまったく痛まない。それなのに聴覚だけが生きている。とても不思議だ。無敵な身体を手に入れてしまったのかもしれない。


 だとすると面白いな。もう一生このままでいいや。わざわざ元の身体に戻る必要もないよな。どうせ俺はNATUralezaを脱退した身だから・・・。誰も俺のことを必要としていないだろう。家族も、元メンバーも、仕事仲間も。世間からだって求められていない。俺が生きている意味ってあるのかな。いや、意味ないよな。つい昨日だって実家に帰ったけれど、やっぱり居心地は悪かった。父は俺のことを悪く思ってないようだが、今でも母は俺の芸能活動を認めてくれていない。帰省するんじゃなかった。まっすぐ現場から自宅へ帰っていれば、こんなことに巻き込まれずに済んだだろうに。


 どうせなら生まれ変わって、誰かの中で、別の人生を歩んでみたいな。だったら男としてじゃなくて、凉樹との恋が認められる女性に。


「誰か、俺の臓器を使ってくれる人はいますか?」


使ってもらえるのならそれ以上に嬉しいことはないが。まぁいいや。このまま芝生の上で眠らせてもらおう。

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