<第五話:トント覚醒!(ガチ2)>
体が冷てぇぜぇ。
誰かに水を掛けられたみてえだ。。。
体が重てぇが、徐々に感覚が戻ってきてる気がするぜぇ。
それに、なんだ?魔素を前よりもハッキリと感じる。。。気がする。
そうして徐々に意識が覚醒し、トントはうっすらと目を開ける。
…
……
………
目の前には、バケツを持って、心配と気まずさと「ワンチャン揉み消せないか?」という卑劣さをないまぜにしたような表情で、、、
前村長がこちらを覗き込んでいた。
どうやら村長に水を掛けられてトントは意識を取り戻したらしい。
トントが目を覚ますと、『え?マジで?!』と驚愕しバケツを手からおとす。
もう取り繕いが不可能なタイミングなのに、意味ありげな雰囲気を出し「フォッフォッフォ、どうやら<開いた>ようじゃの。」などとブツブツ言っている。
むっくり起き上がったトントの体をあちこち調べ、問題ないことを確認した後、前村長はそっとトントの手にバナナを握らせて、「今日のことは内緒じゃぞ?パチン☆(ウインク)」と言い残し、そそくさと村に帰っていった。
「ヒャハー?生きてる...?」
トントは周りを見回し、自分の体をみる。
魔物はトントが死んだと思い森に引き返したようだが、それだというのに自分の体には傷一つついていなかった。
この状況は、、、
…
……
………
トントには理解できなかった。
そのため、修行に疲れて寝てしまい、魔物の夢を見たんだ、と思い直す事にした。
「ヒャハー!きょうもぜっこうちょーだぜ!かえってまみーのおやつたべるじぇー!」
そうして何事もなかったかのように帰宅するのだった。
実際は物凄いことが起こっていた。
命の危険により、トントの魔素を扱う能力が急激に引き上がった。
また「魔物」の魔力を込めた頭突きを直接受けることで本能的に魔素への理解が深まった。
その結果、なんと、攻撃を受けた瞬間に魔物の魔素を吸収したのだ!
魔物の魔素を吸収したため、魔素を込めた頭突きはただの頭突きとなり(それでも相当の威力だけど...)、奪った魔素と自身の魔素で無意識に壊れた体を治癒していたのだった!
まさに、トントは覚醒したのだった。
そして、、、魔物から奪った魔素により、ついにトントは魔素の体外への放出、「魔法」を使える体になっていた。
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「ヒャハー!まみーー かえったじぇー!(ヒャッハー!マミィ〜 帰ったぜぇ〜?)」
家に着くと、シデラードに怪我をしていないか、何をして過ごしたかを聞かれる。
正直に、怪我をしていないことと、昼寝をしてしまったことを伝えると、おやつのバナナパンケーキを出してくれた。
「まぐっまぐっ モリモリ(ヒャッハー!こりゃーーうめぇ!!いくらでも食えるぜぇ!!)」
おやつを貪り尽くし、一息ついた後はいつもの日課ーーー。
窓の外から人を眺め、『誰を火魔法で燃やすか』を考える。
トントは、兼ねてから目星をつけていた2人組ーーゴリラ族の子供、カカとポコをジッと観察するのだった。
「(ぐふふ、なんだかもう火魔法が使えるきがするんだよなぁ〜、はやく『消毒』したいぜぇ〜〜〜)」
不穏な視線を感じ取ったのか、ゴリラ族の子供、カカとポコはいそいそとトントの視線に入らない場所へ走って行った。
そんなことをトントが考えているなんてつゆ知らず、トントの後ろ姿をシデラードは優しい目で眺めているのだった。