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<第四話:トント覚醒!(ガチ)>


右手消毒から2年の月日が経ち、トントは6才になっていた。



魔素を取り込む訓練をやり始めると、なぜか自分は相当魔素の吸収率が高いことになんとなく気が付いた。

毎日のように独自の「修行」を続けることでメキメキと力をつけ、トントは6才にして魔法として魔素のエネルギーを放出するまであと少し と言うところまできていた。


総じて人類が魔法を使えるようになる年齢が18才頃なのに対して、である。


ただ、トントはこの類稀なる才能(高い魔素の吸収率)で、、、おそらく厄介ごとしか引き起こさないのであった。


神様、なぜトントにこんな才能を与えたのか…

(もしかしたら、トントにはヒャッハー神とか、胡散臭い神の加護がついているのかもしれない)



また、トントの努力の方向性は「火の怖さは分かってくれたかな?」と一応は安心をしていたシデラードの認識を完全に裏切り、火魔法に激しく傾倒していた。



ゴリラ族の村は知らず知らずのうちにとんでもない爆弾トントを抱えているのだった。



消毒発動まで残りあと少し...




……………

…………………………

………………………………………




・トントの日常(シデラード視点)



「ヒャッハー!マミィーー しゅぎょうしてくるじぇー!」


「はーい、トント。これお水ね。あとおやつの時間までには戻るのよ。危ないことはしちゃだめよ。あと、熱帯雨林に入ってもいいけど、境界線は超えないようにね。」



ちょっと変わっているが、元気な我が子を見送る。


昼ごはんを食べたあと、トントはシデラードから水の入った水筒を受け取り、おやつの時間まで近くの熱帯雨林に出かけるのが日課になっていた。


トントのこの行動はゴリラ族の子供としても一般的であったし、シデラードとしても毎日トントが帰ってから、怪我をしていないか、何をして過ごしたかをしっかり聞くようにしていた。


遊びを『修行』と呼ぶのも父親の子供時代を思い出すな、と考えながら、体は汚れつつ、今日も怪我をせずにちゃんとおやつの時間に帰ってくるトントを見て「トントも成長して危ないことはしなくなってきたのかな」と安心する。


なんで今日は全身びしょ濡れなのかしら、川で服のまま泳いできたのかしら。と若干気になる点はあるものの、この程度はもはや気にはしない。



おやつのバナナパンケーキ(トントは3食これでもいい!と言うくらい大好物みたい)を食べ終わったトントは、その後窓から外の様子をじーーっと見つめて過ごしている。



大人しく窓の外を見ている姿に感動をしつつ、順調に息子が成長をする姿を見守りながら、その日もシデラードは晩御飯の準備に取り掛かるのだった。




……………

…………………………

………………………………………




・トントの日常(トント視点)



「ヒャッハー!マミィーー しゅぎょうしてくるじぇー!」


「はーい、トント。これお水ね。あとおやつの時間までには戻るのよ。危ないことはしちゃだめよ。あと、熱帯雨林に入ってもいいけど、境界線は超えないようにね。」



マミィに水筒をもらい「ひゃはー!わかったじぇー!」と目を見てしっかりと返事をする。


そして一直線に熱帯雨林を目指し、境界線と呼ばれるゴリラ族のナワバリ範囲を躊躇なく超えていき、お目当ての場所に着いてから水筒に入れてもらったお水で一服。


「(ぷはぁ、水がうまいぜぇ ヒャッハー!今日もやっちまうぜぇ!)」


そうして一服した後、ヒャッハー!!!と叫ぶとそこらに生えている太い木に頭突きをしだした。




うおおおお!!!

ズン!ズン!ズン!




一心不乱に頭突きを繰り返す。

その衝撃音はもはや子供の出せる音ではない。



物凄い威力なのだが…魔法の修行でなぜ頭突き?と思うが、それは誰にもわからない。


トント、これ以上頭突きをするのをやめるんだ!!もっと馬鹿になったらどうするんだ!!!




ズドーン!ズドーン!

ズドーン!ズドーン! ズズズン...!




小一時間頭突きを繰り返し、木がひしゃげて倒壊したところでトントは一息入れ直す。


「(ふぅ〜〜〜今日も絶好調だぜ〜〜〜)」


木を頭突きで薙ぎ倒す6才児。

バケモノすぎる。。。



なぜ、こんなに頭突きの威力が強いのか?

それは、、、実は頭突きがちゃんとした修行になっていたからだった。


魔素で体の治癒力を引き上げ、傷つけては治し を繰り返す事で体内での魔素の流れは促進され、それに伴い魔素吸収率も向上していく。

(もちろん本人はそこまで考えていない。たまたまやってる事が噛み合っただけ。)


その結果、超回復を繰り返すこととなり、トントは『鋼のおでこ』を手に入れていたのだった。



つまり、頭突きの威力は、、、トントの鋼のおでこと筋力の力なのだ!(身体強化の魔法かと思ったか!違うのだ!)

魔法の修行をして、物理が強くなる。さすが脳筋である。



トントは今日の修行の成果に満足しつつ、ぐぅ〜となったお腹をさする。



「(いつもより早いけどそろそろ帰るかぁ おやつの時間までに帰るってマミィ〜との約束は守らなくちゃなぁ〜〜〜。そういえば、マミィが良く言う『境界線』ってなんのことだぁ?今日もわからずじまいだなぁ〜〜〜)」


……


トントが『境界線』を理解できていなかったと言う事実をシデラードはまだ知らない。


『境界線』の外には魔素を吸収し、動物と隔絶する力を持つ生き物、「魔物」がいるのだ。


そして、『境界線』の意味を理解する前にトントは魔物の脅威を知ることになる。




ドドドドドド



境界線の外側から、トントに向かって凄まじい勢いで何者かが迫っていた。




ーーーーーーーーーーー




ドドドドドド




凄まじい足音とともに、地面が揺れる。

「ヒャハー?!(な、なんだぁ〜〜〜 この凄まじい音はぁ?!)」


頭のネジが外れてるトントですら感じる恐怖。

背中に冷や汗が伝う。




ドドドドド

バキィ メキメキ ドズゥーーーン




足音はもう側まで近づいていた。


何かが来る、大木をものともせずに薙ぎ倒しすすんで来るものが。


トントは覚悟を決める。


「ヒャ、ヒャハー!!(くッ、くるなら来やがれー!!)」


そして、トントの目の前に飛び出したのはーーー。







公式クソジジイ・前村長だった。


対峙をする2人。


前村長は『えっ!?』と驚きの表情をし一瞬立ち止まる。


だが、すぐに『へ、へへへ、すまんのぉ〜… 本当に申し訳ない』と、白々しい申し訳なさそうな表情をした後、脱兎の如く村に向かって駆け出した。



「ヒャ??!(な、なんだ??!)」



虚をつかれて立ち尽くした次の瞬間ーーー。







目の前の木が爆散した。


そして、トントの前に現れたのは、、、圧倒的な力を持つ魔の化身 「魔物」 と呼ばれ、このジャングルの主とも呼ばれるイノシシ型の化け物だった。




ーーーーーーーーーーー




ジジイに虚をつかれた後の、圧倒的強者による衝撃。


トントは立ち尽くす事しかできなかった。



しかし、相手はそうではない。


追っていたジジイのゴリラ族から子供のゴリラ族に入れ替わった事に多少驚き足を止めたものの、すぐさまタントに頭突きをかます。




ゴッキィーーーーー




「ひっ!ひぐぽぉ!!」


嫌な音と共にトントの腕と肋骨がへし折れる。

血と共に、一気に朝ごはんが口から吐き出される。


「ひゃ、、、、げポォ」


前世の死に方もなかなかに凄く、その痛みの経験によってなんとか意識は手放さない。

だが、ダメージが大きすぎ、逃げることなどできないことは誰の目からも明らかな状態だった。


「(し、死んだ。こ。これはもう助からねぇ。。。ち、ちくしょう!!!)」


そんな瀕死の状態のトントを見て、魔物も息の根を止めに入る。


トントに向かって真っ直ぐ頭突きをしてくる。


「ま、まみーー...ごひゅ」


無駄だと知りつつも、トントは魔物に向かって頭突きを合わせる。




ゴワシャッ




鈍い音と共に、トントの頭蓋骨は砕け、トントはその場に崩れ落ちた。


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