異世界転移といえば、チート能力だけど
今回の話は説明ばかりでつまらないので、読まなくても把握できるように努力します。
主人公の名前は桐谷光輝です。
俺は言われた通り椅子に座る。神様は椅子を無から生み出し、俺と向かい合えるように置いて座る。
「早速チート能力について話し合おうか」
「それはそうなのですが、俺の行く世界の概要も教えてもらえると助かります」
「そうだね。しっかりと説明しよう」
本当なら神様について詳しく聞きたいが、やめておこう。無駄な詮索になるだろうし。
「そういえば、自己紹介がまだだったね。君の名前を教えてほしいな」
「あれ。てっきり知っているものかと思っておりましたが、違うのですか?」
「煽りしか聞いていなくてね、残念ながらわからないんだ」
「そうなんですか。俺は[桐谷光輝]と申します」
「そうか、なら桐谷くんと呼ばせてもらっても良いかな?」
俺は静かに頷く。こういうのは名前呼びだと思っていたが、どうやら違うらしい。
ラノベ基準で考えていると痛い目を見そうだ、用心しておこう。
「まず、桐谷くんの行く世界について説明しよう。詳しくか、要点だけか、どっちが良い?」
「詳しく聞きたいです」
「では、詳しく説明しよう」
神様は、チート能力に絡めながら俺の行く世界について詳しく説明してくれる。
どうやら、その世界では魔王がとても残虐らしい。人間だけでなく、他の動物の住処を奪っているそう。さらに、自身で魔物を生み出し勢力を拡大させているらしい。
魔物は魔力が食料の代わりらしい。
「チート能力に制限は設けない予定だよ」
「何故ですか?」
「ラノベのように幅広くないからね。魔力を吸い取るチートは本当に魔力しか吸い取らない。だから魔物に取っては驚異でもその他には驚異とはなりえない」
「なるほど」
「ただ、持ち過ぎても困るだろうから、そこは要相談だね」
どうやら、魔物以外は魔力が枯渇してもしばらくして回復するようだ。個人差があるようだが、魔力を保持する事もできるらしい。
魔力は血球とともに生み出され、血液中を流れているらしい。
「魔力無限チートとかはありますか?」
「ないよ。でも、魔力効率上昇チートならあるよ」
「どういう物ですか?」
「簡単に言えば、魔力の消費量を軽減するチートだね」
「魔力回復速度増加チートみたいなのは……?」
「血球生成速度増加スキルならはあるよ。使うと高血圧になるけど魔力回復も早まる」
世の中はそんなにうまくいかない。魔力生成も生理現象の一部であり、魔力のみ生成速度を大きくするとバランスが崩れて命の危険が起きるようだ。
他に、この世界はステータスという概念がある。ただし、それは曖昧で、自身の能力をわかりやすいように数値化しているだけのようだ。
「スキルとかチートは文字がそのまま表示されるけど、身体能力や魔力保有量などはあまり過信しない方が良いよ。それと、HPが0になったら死ぬのと、状態異常は詳しい欄が出てくるからね」
「チート能力ってそのままチートと表示されますか?」
「いや、スキルとして表示されるよ」
チート能力は強力なスキルという認識で良いと神様は言う。
俺は、ラノベとのギャップに押し潰されそうになっていた。ファンタジーなのに、現実が中途半端に混ざっていて、例えるならジャングルの中なのに地面がコンクリートと言った所だ、あまりうまい例ではないが。
「一応魔法系スキルと物理系スキルの境界線が引いてあるよ。これも曖昧だけどね。例えば、炎は燃やす物が必要なら物理、必要ないなら魔法と言った感じだ。でも、これは気にしなくて良いよ」
「あれ?てっきり魔力を消費しなさそうな剣技などが物理系スキルなのだと思いましたが、違うのですね」
「そこら辺は文字として表示されないからスキルとしてカウントされていないよ」
どうやら、文字がステータス上に表示されているものをスキルとして定義しているらしい。
他の説明は異世界に行ってから順に説明してくれるらしい。チートである[天界との交信]が強制的に授けられるスキルで会話できるようだ。
正直これはありがたい。俺は実践で覚えていくタイプだったから、いつでも質問できるのが嬉しい。
「という事で、どういう能力がほしいのか自由に言ってほしい。できるだけ具体的に」
「わかりました。とりあえず魔物に最も有効な魔力を吸い取るスキルがほしいです」
「他には?」
「……考えさせてください」
できれば自力で入手困難なチートスキルが優先的にほしい。スキル自体は自力で入手できるらしいので、簡単なものは避けたい。
「じっくり考えてくれ。僕も提案くらいはしてあげるから」
「ありがとうございます」
俺は神様の話を聞きながら、じっくりと考えてチート能力を選んでいった。
次回は異世界に行きます。