神様を煽りまくった結果、天罰を食らう
初作品です。
ふと興味本位で、神様を煽り散らかしたいと思った。
「神様って太ってそうだな。ただ人間を上から観察してるだけで、運動とかしてなさそうだし。なんなら健康に悪い生活してそう」
これはただの興味本位だ。本気で言っているわけではない。そもそもこんな事を気にする神様はいないだろう。
いたらただのアホだ。
急に、何か変な感触に襲われる。
「もしかして気にしちゃったのかな〜?器がちっちゃいでちゅね〜」
何故か赤ちゃんに向けた言葉遣いみたいになる。その理由は一度言ってみたかっただからだが。
どこか殴られたような感じがする。
まさか、神様が聞いているわけがないし、聞いてても本気にしないだろうから、この感触は気の所為だと考える。
「器の小さい神などもはや俺の敵ではない。所詮は雑魚だな。天使とかに舐められてそうだし、悪魔に情けをかけられてそう」
痛みが俺を襲う。これは本当に聞かれてるかもしれない。
流石に思い上がりだろう、気にせずに煽る。俺は何故か無性に神様を煽りたい。
「だいたい神様と言ったって別に何かしてるの?愛してますとか、天国に行けますとか、ただの依怙贔屓だろ。所詮は人間の偶像だし、都合の良いように解釈する愚行を表してるな。人間の負の遺産だろ」
今話している事は全て本心ではない。俺は散々神頼みをするし、神様について深く考えた事もない。人間は俺を含めて愚かであるとは思うが。
しかし、俺は波に乗ってるかもしれないくらい、煽りたいらしい。別に神様に恨みはないのに、まだまだ出てくる。
「もしかしたら神様は人間の風呂の様子とか興味本位で覗いてるんじゃないか?変態だ――」
言っている途中で、俺は何かが胸を貫くのを感じた。喋る事ができないくらい痛い。
下を見ると、何か鋭利な物があった。
どうやら神様は煽りを聞いていて、激怒してしまったようだ。
「あれ、俺、死ぬ?」
俺は力を振り絞って、なんにもならない事を呟く。もっと他にあっただろうに。
意識が遠のいていく。神様はこんなに器が小さいのか、失敗したな。
消えゆく意識の中で、俺はとりあえずこの世に別れを告げた。
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「……やっべ、殺しちゃった。怒られちゃうな、どうしよう」
目が覚めて、いきなりそんな言葉を聞く。これは、多分謝った方がいいな。
「えー、この度は不快になるような言葉を言い、大変申し訳ございませんでした」
「本当だよ!!まあ本気にした僕も悪いけど。誰も聞いてないからって、悪口を言っていいという事はないからね?」
「反省します」
まさか、神様の前に喚ばれるなんて思わなかった。
今のやりとりがあったのに実は神様じゃないとか言われたらキレるが。
「まあいいや。僕も今日は苛ついてたし、腹いせにたまたま君の事を見てたからね。僕にも反省すべき点はある」
「ありがたいお言葉、感謝いたします」
「うん。あと、殺してごめんなさい」
「……本当に、俺は死んだのですか?」
神様は頷く。その瞬間俺の血の気が引いた。
「僕が殺したから君は僕の所に来たんだよね。そして、生き返る事は不可能だよ」
その言葉を聞き、俺はどうしようのない絶望感を覚えた。
まだやりたい事がたくさんあったのに。恋人だって作ってないし、せっかく難関大学に受かって入学金も払ったのに。
死への恐怖、自身の行動に対しての後悔、そして悲しさによる涙が自然と流れる。
「最悪だ。俺の軽薄な行動のせいで人生がめちゃくちゃに……」
「いや、君は運が悪かっただけだよ!僕がしっかり落ち着いてたら注意するだけで済んだのに……」
「神様って、優しいのですね。本当に愚かなのは俺でした」
「否定はしないけど、落ち着いて!」
神様に従う。もう余計な事は言いたくない。
「まだ状況把握があやふやなのにこっちの都合に付き合わさせて本当に申し訳ないんだけど、本来君はもっと生きる予定だったから、別の世界に行ってもらわないと駄目なんだ」
「……つまり異世界転移ですか?」
「そうそう。君の世界のラノベみたいな物だよ。チート能力だって授ける。魔王討伐もやってもらわないとだけど、良いかい?」
「……わかりました。従います」
変な事を言ってまた怒らせる事は絶対に避けたい。
しかし、異世界転移か、ちっとも嬉しくないな。前に異世界転移物のラノベを読んだときに憧れた事はあったが、そのときのは元の世界に戻れるものだった。しかし、これは違う、戻れない。
「とりあえず、チート能力について話し合いたいから、この椅子に座ってくれるかい?」
「わかりました」
俺は今回の事を反省しつつ、チート能力について考え始めた。
次回はチート能力決めをメインに世界観について説明する予定です。