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場をまとめて

 顔合わせから一週間。私たち一年生はグラウンドで種目練習をしている。私の高校の体育祭は各学年のリレーの他に、軍対抗の応援合戦、学年・男女別団体競技、そして一番盛り上がる選抜リレーを行う。今日は団体競技、玉入れの練習で実行委員の種目部門である私と羽瀬さんが場をまとめている。…というか、ほぼ私が話していて、羽瀬さんは少し離れたところで俯いて黙っている。一人で何とかしようと焦る私に向けられた、指示を待つみんなの視線が痛い。


「えっと、競技開始の合図があったら自分の軍のゴールに玉を入れてください。そのとき、ゴールの周りに引いてある白線より内側に入らないでください。えー…、競技時間は30秒です。止めの合図で競技をやめてその場に着座してください。…何か質問はありますか。」


 沈黙。


「…ないみたいなので、次に進めます。とりあえず最初からやってみましょう。えっと…。」


 また沈黙。私が自信なく話すから仕方ないのだが、これだと空気が重たくてやりにくい。しかも、羽瀬さんは一言も話してくれる気配がない。誰か助けてほしい。私が言葉に詰まっていると、救世主が。


「もお~、みんなテンション低くない?」

「…ルカ?」


 急に声を上げたルカは立ち上がると、近くにあった赤玉の袋をつかんでゴール付近へ歩き出した。


「まずは、玉をばらまくとこからだよね~。えいっ!」

「ちょっと瑠花、そんなに勢いつけて投げたら…。」

「あぁ~っ!遠くに飛ばしすぎた!まって、あれ誰の水筒?倒しちゃった!」

「も~、瑠花なにやってんの。」

「あはは、ごめんごめん~。」


 場に笑いが起こる。ルカのおかげで空気が和み、みんなが話し始めた。私はルカにありがと、と口パクすると最上級にかわいいウインクで返ってきた。さすがルカだ。


「準備ができたところで、はーるにお返ししまーす!」

「…あ、では、競技をやってみます。それでは、よーい…。」

「あ、ちょっと待って。確かこっちも混ぜるよね?得点が違うとか聞いたけど。」

「え?」


 待ったをかけた同じクラスの人が持っているのは、俵型ではなくまん丸の玉が入った袋だ。私がルール確認した時にはそんなことは言われてないはずだ。


「あー、それ私も聞いた。」

「私も。」

「え?…ええっと、ちょっと待ってくださいね…。」


 私は持っていた競技の説明の紙を急いでめくる。焦る私につられ、みんなが不安そうに黙ってしまった。せっかくルカが作ってくれた空気が台無しだ。困っている私の少し離れたところから、小さいため息が聞こえた。そっちを振り向くと、羽瀬さんが冷たい目で私を見ていた。


「…みんなが言っているように、それは入れると得点が変わる玉です。…変更があったって、先輩が言っていたので知ってる人も多いと思います。」

「やっぱりね。じゃあ、これも混ぜようか。」


 ようやく話した羽瀬さんの言葉は、その目と同じように冷たかった。しかし、納得したクラスメイト達は冷たさには気付かなかったのか、各々動き出した。その様子を見て再び俯く羽瀬さんに、私は何も言えなかった。


 やっぱり、嫌われてるよね…?

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