表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/15

名前を知って

「では、今年の体育祭のスローガンは『獅子奮迅ししふんじん』に決定します!」


 黒板に大きく書かれた四字熟語。意味は、獅子が奮い立って猛進するような、激しい勢いで活動することらしい。よく耳にする言葉だし、体育祭にはぴったりだ。意味を説明してくれた実行委員長は、生徒会に所属する先輩で、体格が獅子っぽいのも相まって威圧感が強い。そんな印象とは裏腹に、笑顔を浮かべ穏やかなトーンで話すその人は、黒板に新たな項目を追加していく。


「続いて、担当する部門を決めていきます。準備期間中は、基本的に部門ごとで仕事をしてもらいます。今、黒板に部門名を書いたので、どこを担当したいか決めてください。少し時間をとりますね。」


 部門は種目部門、衣装部門、パネル部門、機材部門、備品部門の五つ。種目部門と備品部門は生徒会と、機材部門は先生と、衣装部門とパネル部門は制作担当の生徒達と一緒に準備をするそうだ。確かにこれだけ仕事があると、生徒会だけでは手が回らないのも納得だ。


「んー…、俺は機材部門にしよっかな。賢斗は?」

「んん~…。」


 説明を受けて早々に決まったらしいれいとは逆に、猫さんはまだ悩んでいるようだ。私は…、種目部門とかにしようかな。


「ん~、俺は種目部門かな~。」

「あ、私も種目部門がいいなって思った。」

「マジ?一緒よろ~。」

「…よろしくお願いします?」


 猫さんがいるなら、そこまで会話に困らなそうだ。安心したところで、実行委員長から声が上がる。


「それでは、担当を決めますね。一つずつ言うので、自分の希望する部門で手をあげてください。」


--------------------------


「今度は部門ごとで軽く自己紹介をしてください。仕事内容の確認まで終わった部門から、解散とします。」


 私と猫さんは希望通り、種目部門に決まった。種目部門は六人で、三年生の先輩が二人と私たち以外で、一年生らしき子が一人いる。


「じゃあ、私から自己紹介していくね。」


 先輩が順番に自己紹介をする。二人とも優しそうな先輩だ。


「一年二組の山岸賢斗です。こーゆー裏方作業は慣れてるんで、心置きなくこき使ってもらってだいじょーぶです。よろしくお願いしま~す。」

「同じく一年二組の折笠陽です。えっと、よろしくお願いします。」


 猫さんの後に続き、私も挨拶をする。先輩達が微笑ましいという目をしたので、なんだか恥ずかしくなってしまった。最後はもう一人の一年生らしき子だ。いくつか離れた席に座り、俯いていたその子が顔を上げる。気になって見ていたせいか、その子と目が合ってしまった。


「…ん?」


 なぜだろうか。知ってる子な気がする。思わず見つめる私から目を逸らし、その子は口を開いた。


「…一年三組の羽瀬来鳥はせことりです。…お願いします。」


 重めのボブに黒縁の眼鏡をかけた羽瀬さんがペコっと頭を下げる。その拍子に膝にのせていたカバンが落ちた。そこには見覚えのある車の絵が。


「あ!もしかして…。」


 突然声を上げた私に羽瀬さんが黙って頷いた。


「…入学式の時はぶつかってしまって、すみませんでした。」

「やっぱり、あの時の…!あ、えっと、私こそごめんなさい。前をよく見ていなくて。」

「…いえ。別に。」


 羽瀬さんの言葉は普通だが、鋭い目付きのせいで睨まれている気がする。私の不注意だし、怒らせてしまっただろうか。恨まれてないといいが…。


 …なんか、気まずい。

新キャラ登場!すこーしネタバレですが、来鳥ちゃんは今後の展開において重要な子です。これまでの子たち同様、たくさん愛してあげてください!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ