猫に任せて
「えぇ~~っ!!」
「ちょっ、ルカ声大きい!」
「だってぇ~!」
登校してすぐ、私はルカに昨日の出来事を話した。雑貨屋でれいに会ったこと、荷物持ちの手伝いで家に行ったこと、お互いに自己紹介して…まあ、仲良くなれそうかなって思ったこと。改めて考えると自分でも驚きの展開だったと思う。…けど、不満げなのが目の前の一名。
「だって、だって!一緒に傘返しに行こうって!!」
「ごめんごめん、だから落ち着いて?それに無事返せたから私は良かったよ?」
「はーるは、でしょ!?あ~あ、私も二人が話してるとこ、見たかったのに~!」
ルカは頬をぷくっと膨らませ、私に猛抗議してくる。たぶん、一緒に傘を返しに行くのを(からかう気満々で)楽しみに登校してきたのだろう。ルカには申し訳ないが、私はれいに会った時、からかわれないで済むから運が良かったなと思ってしまった。しかし、絶対お似合いだよ、と連呼してくるルカを無視するわけにもいかない。
「じゃあ、今度ルカがれいに話す時、私も参加するのでどう?れいとはフツーに仲良くなれそうだし。」
「本当!?それ絶対ね!?絶対だからね!?」
「わかった、約束するから落ち着いて?」
自分で自分を追い詰めてしまったが仕方ない。こっそりため息をついたところで、チャイムが鳴る。それと同時に教室のドアが開き、担任の先生が入ってきた。朝のHRだ。普段通り挨拶をし、出欠をとってから先生が本題を切り出した。
「皆も分かっていると思うが、五月の中旬に体育祭がある。体育祭では毎年、生徒会が運営のために実行委員会を設けるんだが、今年も例にもれず、各クラスに実行委員の募集がきた。限定二名だが、誰か希望者はいるか?」
沈黙。高校生になって初めての行事だし、みんな面倒事は背負いたくないのだろう。友達と、ちらちらアイコンタクトをとっている。
「あー、誰もいないなら俺やりま…ぁ~ふ。」
手が挙がった方へクラスの視線が集まる。その先であくびをした…確か山岸賢斗という名前だった気がする。猫目で、雰囲気が少し怖い男子だ。ただ、ルカ曰く性格は明るくて絡みやすいイイ奴らしい。
「他にいないか?」
「せんせー、瑠花とかどーすか?」
「えっ、あたし!?」
猫(山岸)さんにいきなり指名されて焦るルカに対し、クラスメイトは表情が和らぐ。これは押し付けられそうだ。猫さんは…ルカと言い合っているのを見る感じ、確かに絡みやすい人かもしれない。
「じゃあ、折笠さんにしとく?」
「…え。」
いや、やっぱ怖い。それまで面白そうにルカと猫さんのやりとりを見ていた視線が、一気に私へと集まる。
「え、私は…。」
「だいじょーぶだよ、俺がいるし。」
「え、けど…。」
「確かに折笠なら大丈夫そうだな。山岸と比べてしっかり仕事してくれそうだ。」
「え、ひどくないすか、せんせー。さすがに俺傷ついちゃう。」
「あれ、あたしには大丈夫って言ってくれませんでしたよね、先生?」
クラスに笑いが起こる中、私は顔が引きつるのを感じた。せめてルカに話を戻して…
「じゃあ、二人で決定だな。」
だめだ、決まってしまった。
ルカが頑張れ!と口パクしたのを見て、私は再びため息をついた。今度は深々と。
体育祭編、開幕!
当初は予定になかった新キャラが、作者の都合で登場しました。猫さんは澪と同じで一人称が「俺」ですが、猫さんはちょっとオレオレ系で、かわいさ重視の澪とは違うタイプです。
猫さんはこれから、ちょこちょこ登場する予定なので、ぜひかわいがってあげてください(笑)!




