青に沈んで
「ん~!やっぱり、ここの『よくばり三種のプリン』が一番おいし~!」
「…話、聞いてた?」
日曜日、午後三時。現在、私とルカは近所のカフェにいる。ほどよく混んだ店内では、怪しげなジャズが流れており、「昨日、傘を貸してくれた奴は誰だったのか?事件」を話すにはぴったりの雰囲気だ。
「あっはは、ごめんごめん。それで?その傘が例の?」
「うん。名字分かんないけど、たぶん『みお』だと思う。」
「んー。なるほどね。」
私は手に持っていた傘をルカに見せ、ネームターグを指で示した。身を乗り出したルカは、ネームタグを見て首をかしげる。
いつ見ても本当にかわいいこの人は、私の親友だ。中一の時、いつの間にか一緒にいるようになって以来、ずっと仲良しの中村瑠花は、カフェ好きな高校一年生。オシャレやメイクも大好きで、とにかく顔面偏差値が高い。しかも、話し上手で聞き上手。顔+明るい性格から、男女、年齢を問わず人気だ。そのため、他校でも話題にされることがあるほど、知り合いが多い。そんなルカだからこそ、奴のことも知っているのではないかと思い、今に至る。
私が見惚れていた間に、ルカは一通り考えを巡らせたのか、さっきとは反対側に改めて首を傾け…かけたところで、急にニヤリと笑う。
「…分かったの?」
「そ~れ~、三組の如月澪じゃない?あの人フレンドリーだもん。」
「えっ、『れい』なんだ。…フレンドリー通り越して、失礼な奴だったけど。」
「え~!はーるとお似合いだと思うよ?今フリーだし。」
「知ラナイカナ。」
「もう!せっかく教えてあげたんだから、もうちょっといい反応してよ!」
「はいはい。」
口をとがらせるルカに適当に応じ、奴のことを思い出す。確かに「みお」というより「れい」という感じだ。パッと見はクールだった…はず。
奴の傘をちらりとだけ見て、「マジックアワーソーダ」をストローでくるくるとかき混ぜる。日が落ちる頃に、わずかな時間だけ見ることができるマジックアワーをイメージしたこのソーダは、私のお気に入りだ。ゆっくり混ぜるときれいなグラデーションが歪み、深い青に沈んでいく。たったグラス一杯のブルーモーメント。
「傘、一緒に返しに行こうね!はーる!」
「あー…。教えてくれてありがとね、ルカ。」
「絶対ついてくからね?」
明日は月曜日だ。学校がある以上、傘を返しに行かなければならない。…からかうルカと一緒に。
私は深くため息をつくと、ストローに口をつけた。
キャラクターによって名前の表記が違うのは、ミスではなくわざとです。それも含めて、それぞれのキャラクターの個性をお楽しみください!




