打ち上げカフェで
「それじゃあ、体育祭が無事終わったことを祝して〜?」
『かんぱ〜い!』
放課後、私、ルカ、れい、猫さんの四人で近くのカフェに来ていた。実行委員の顔合わせの日にルカがたまたま見つけたお店で、体育祭の打ち上げは絶対にここだと決めていたらしい。
「山岸さんがストロベリーラテ飲んでるのちょっと意外かも。」
「あ〜、それよく言われるわ。俺実は結構甘党なんだよね。」
猫さんのイメージとは違い、クリームといちごが乗った薄いピンク色のラテはポップで可愛い。猫さんの向かいに座るルカはDXいちごカフェモカを飲んでいて、一緒に写真を撮ったらとても映えそうだ。
「そういうはーるこそ珍しくない?いつもはどこに行ってもクリーム系は飲まないのに。」
私とれいが飲んでいるのはアールグレイの紅茶ラテだ。ミルクティーなのかと思ったら別物らしく、落ち着くまろやかさだ。
「うん。なんかいつの間にか、れいが頼んでくれてて。」
「はるがぼーっとしてたからね〜。店員さんを困らせちゃうから咄嗟に同じやつ頼んじゃった。」
「ごめん、ありがとう。」
「いいよ。」
私がぼーっとしていたのは、まだ羽瀬さんの言葉が引っかかっていたからだ。言われた時は困惑したが、思い返してみたら納得したこともある。まず、初対面から厳しい視線を向けられていたり、いつもより鋭い視線を感じたりしたのは私がれいと話していたからだろう。それに、私となかなか話してくれなかったのも、宣戦布告するほどの敵対意識があったからだと思う。
「でも私、恋愛の好きってよく分からないからな…。」
「ん⁉︎急にどうしたの?」
「…え、何?」
「はるが恋愛の話とかイメージにないから驚いた〜。よければ話聞くよ?」
どうやら声に出ていたらしい。私が考え込んでいる間に猫さんとルカはデザートメニューで盛り上がっていた。せっかくだかられいに聞いてみるか。
「あのさ、前に仲良くなりたい人のこと話したでしょ?」
「うん、覚えてるよ。あんまり話してくれないっていう。」
「そう。さっきその子が――」
宣戦布告のこと、私の考察、自分と仲のいい人(れいとは言えなかった)を好きらしいということ、私には恋愛としての好きの経験がないからどうしたらいいか分からないということ。れいは静かに話を聞いてくれた後、困った顔をした。
「んー…。俺も恋愛は経験ないからな〜。」
「え、れいって優しいから好かれそうなのに?」
「俺から好きになったことがないんだよ。好かれてるかは分からん。」
れいが苦笑して言う。じゃあ、れいに聞いてもだめか…。
「でも、今のはるの話からすると、好きって他の子と仲良くしてると嫉妬したり、ずっと相手のこと見てても飽きなかったりするってことだよね。」
「そうなるね。」
「それって友達じゃだめなのかな…?普通に仲良くなればいいじゃん。」
「え?…いや、好きと仲良しは違うんだよ。多分。」
「ふ〜ん…。」
れいはそれっきり黙ってしまった。私から話を振ったのにれいが真剣に考えてくれている。れいはこういうところがいい人だなと思うけど…。
…「好き」って何?
「好き」ってなんだ?




