宣戦布告
実行委員の仕事が終わり、体育祭も終盤になった頃。れいと猫さんは一年生の団体競技に出場中で、私と羽瀬さんはそれを観戦していた。クラスごとで軍が分かれているため、私は猫さん、羽瀬さんはれいを応援しながらだ。…けど、ちょっと気まずい。
「頑張れぇ〜〜〜!」
「頑張って!」
なんと今までほとんど声を発さなかった羽瀬さんが、満面の笑みで叫ぶように応援しているのだ。私も声を出してはいるが、タイミングがかぶるとなぜか睨まれてしまう。応援していることが意外だったのと、さすがに気まずいのとで、私は恐る恐る羽瀬さんに声をかけた。
「…羽瀬さんも大きい声で応援するんだね。」
「…。」
羽瀬さんは眉間にシワを寄せ、怪訝そうに私を見つめる。やっぱり私とは話してくれないか…。
「…くん。」
「え?」
「れいくんを応援してるの。」
小さくだがつぶやかれた言葉に、やっと話してくれたと嬉しくなり笑顔を返す。しかし、喜んだのも束の間、羽瀬さんはキッと目を細めた。
「勘違いしないで!来鳥の方がずっと前から好きだったんだから!」
「え…?」
「れいくんは来鳥のものなのっ!あんたなんかに渡さないっ!」
「えっと…?…あ、待って!」
羽瀬さんは周りに人がいるからか早口でささやくと、私に背を向け歩き始めた。慌てて袖を掴むと勢いよく振り払われてしまった。
「これは宣戦布告だから。」
低くうなるように言われ、私は驚きで固まった。その間に私から離れていった羽瀬さんは本部テントを挟んだ反対側、ちょうどれいがよく見える位置に行くと再び応援し始めた。
「羽瀬さんはれいのことが好きで…?宣戦布告…?」
驚きと困惑で私はただ呆然と羽瀬さんを見つめるしか出来なかった。
羽瀬さんはなんで私に言ったんだろう…?
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僕は一つ下のいとこの体育祭を見に来ていた。模試があったせいで、来た時にはほとんどの競技が終わっていたが、運よくいとこの競技はちょうど始まる前だった。グラウンドのひらけたところには生徒や保護者など人が多く、中には三脚のカメラを構える人もいたため、なるべく人がいない方に寄る。
「あ。」
いとこを見つけたと同時に本部テントで懐かしい姿も見つけた。
「実行委員かなぁ?意外だぁ…。」
いとこと同じ学校だったとは知らなかった。それにあれから三年経つのに、いい意味で変わっていない。
「頑張ってるな…。」
僕は口角が上がるのを感じた。
僕のこと覚えてるかな?また話せるといいな。
新キャラ登場の予感…!?お楽しみに(*^^*)




