意外に思って
「それでは次の競技を行います。出場する選手は集合してください。」
召集のアナウンスがかかる。それに合わせて審判をする実行委員も動き始めた。
体育祭は今のところ順調に進み、私の審判としての仕事も次で終わりだ。段取りを確認していると、生徒会の先輩たちが慌て始めた。
「ごめん、誰か手空いてない?さっきのリレーで実行委員の子が怪我しちゃって。」
どうやら人手不足のようだ。私は元から担当なのでどうすることもできない。他の人も各自の持ち場にいるため、審判になるのは難しいみたいだ。
「あ、じゃあ俺やりますよ。」
「ほんと⁉︎えっと、如月さんだよね。いいの?」
「大丈夫ですよ。放送委員の子が機材いじれるらしいので。」
手を挙げたのはれいだった。機材部門のれいは先程まで放送機材につきっきりで調整をしていたが、放送委員でも出来たため暇を持て余していたらしい。
「ごめん、助かるよ。じゃあこれ、競技の説明と審判の仕方だけど…。」
安堵の表情を見せた先輩は、早速審判の説明を始める。真剣に聞いているれいを見て、なぜか意外と真面目なんだなと思った。
…そうか、そういえば。ほぼ初対面の人に荷物持ちを手伝わせたじゃんこの人。
「…はる?どした?」
「…え、いや、別に?」
椅子に座って審判の説明書を読むれいを微妙な顔のまま見つめていたら、急に顔を上げたそいつと目が合ってしまった。驚いて視線を外すと、今度は鋭い目つきの羽瀬さんと目が合ってしまった。なんだかいつもより睨まれているように感じる。気まずくなって、目を逸らした結果元の位置に戻ってきた。
「はるって結構顔に出るよね。」
「多分気のせいかな。」
くすくす笑うれいに笑顔で誤魔化す。
競技開始のピストルが響いた。




