Function 005: [Error] 循環器モジュールは応答していません。
「もう一度、敵の攻撃を受ける。システムに侵入される前に、相手のBlueto◯thをハック仕返すことはできるかな。」
『何言ってるの?次は対処できないかもしれないんだよ!?逆ハックがうまく行かない可能性の方が高い。』
「ハックに失敗したとしても、俺の顔を覗き込みにきた奴が犯人だ。攻撃を受けて確実に死を迎えるまでの時間は30分。ここから次の駅に着くまでの時間とほぼ同じだ。他の乗客に気づかれる可能性を考えると、攻撃のタイミングとしては今がうってつけだろう。」
『他の乗客があなたの死に気づいて騒いでいるのを見て、間接的に確認するつもりかもしれない。』
「いや、俺がヤツだったら、俺の死んだ姿のスクショを撮る。ハッシュタグに” #死亡確認 #悪を成敗 #正義の執行者”とか付けて拡散するのが好きなタイプの人間だと俺は考える。普段、社会に何かしら不満を抱いている人間だろう。現実では自分が過小評価されていると思っていて、評価に飢えているはず。ならば、自分の属するコミュニティ内では自分の手柄をアピールして承認欲求を満たしたくなるはずだ。」
『気乗りしないけど、できないことはない。ハックツールも探せばある。それよりも、さっきのコマンド”RoTC”にはオプションがある。任意の時間、仮死状態になれる。視覚を残すこともできる。でも眼球の動きを自分でやらなきゃいけないから、バレる可能性が高い。それならいっそ仮死状態のまま次の駅まで過ごすって手もある。ハイレベルな死んだフリ。』
「いや、さっきは何も出来なくて辛かった。せめて、相手を出し抜いてやりたい。」
『そんな一時の感情で命を晒すつもり?』
「降りる駅が一緒だったら、降りた後、ホームで気づかれて尾行される恐れがある。それに確実性を考えると相手は東京までの切符を買っているはず。この場合、俺は東京に着くまで死に続けなければならない。京都-名古屋-新横浜間なら確実に死んでしまう。」
『はあー……。まあ理屈はわかった。さっきの攻撃はBlueTo○thの通信ヘッダの脆弱性を突いたものだった。こちらからも同じ方法でハックし返すことはできると思う。』
『一応、さっきの攻撃の後、緊急パッチを当てて、あなたのBlueto○thとWifiの機能を一時的に制限してる。応急処置だから、別の脆弱性を突かれたら対処は不可能。今の状態でも十分危険だけど、ハックし直すならこのパッチを無効化しなければならない。次の攻撃であなたが死ぬことも考えられる。それでも、やるつもり?』
「ここで死ぬような奴が、”フィルターバブル”なんて突破できるわけがないだろ。まだ死ぬつもりはない。」
『……オーケー。Blueto○thのハックツールが”Anoyo”のリポジトリにあるから、インストールして。』
User@Wataru:~$ sudo apt-get install GanmenBlueMan
[sudo] ************
Reading package lists...Done.
インストールログがシェルに表示される。
30秒後、インストールが完了したことを示すメッセージが表示される。
『その”顔面ブルーマン”は、さっきの敵の攻撃とほとんど同じ方法で動作するハックプログラム。ただし、こちらで把握している脆弱性は、敵の端末の方では塞がれてしまっているかもしれない。』
「普通のPCやスマホであれば、OSの開発時に仕込まれたバックドアはそのまま存在してる可能性が高いと思う。鉄砲玉に、世間で知られていない脆弱性の情報を与えるとは思えない。」
『いや、組織は計画を綿密に立てていると思う。ヒットマンに専用の端末を持たせているかもしれない。』
「昨日の晩から、俺がここに来るまでの時間は短かった。今回の攻撃は、俺の周辺に住んでいる協力者を急いで集めて実行したものだろう。何処かに計画の抜けがあると思う。とりあえず、やってみよう。いざとなったら仮死状態になってやり過ごす。」
『はあ。ここで死んだらもうほっとくよ。』
「死んだ後の事を考える程、頭は良くないから安心してくれ。」
『それで、何か策はあるの?敵が接続者でないならば、直接肉体を無力化することは出来ない。』
「ああ、良い方法を思いついた。」
目には目を。エロ画像にはエロ画像だ。
パケットを解析し、ヘッダを加工する。
Blueto○thには特定のヘッダを書き換えることで、
任意のメモリを書き換えることのできるバグが存在する。
これは対策済みと思われているが、実は隠れた脆弱性がある。
それが、先程の攻撃の正体であり、俺が奴にひと泡吹かせるチャンスでもある。
「白鈴、俺はこれからエロサイトに接続する。」
『へ……ああ、ええと、どうすればいいかな。』
「俺の目を盗まないでくれ。あと、これはあくまで作戦の内だ。」
『まあ……性癖でやってるわけじゃないのは分かるから良いけど。まあいいや。何処に繋ぐ?ブロックを解除しなきゃ。』
「P○rnHub」
『有名所だね……多分これで大丈夫。終わったら声を掛けてね。』
「なるべく早く済ます」
今の発言が違う意味に取られていなければいいが。
セクハラオヤジにはなりたくない。気をつけよう。
キャッシュされたストリーミングデータを探し出し、動画ファイルとして再生できるように書き換える。
我が脳の処理能力を持ってすれば、児戯に等しい行為である。
長年の経験が生きた。
「手近でいちばん恥ずかしくなりそうな奴を選んできた。」
『視聴履歴から選んだやつ?』
「……それは答えられない。これをヤツの端末に送りつける。」
『はいはい。送って。……ちょっとデータ重いから画質落とすね。』
「記号として、周囲から見てエロ動画だと思える範囲なら大丈夫だ。」
『中身を見るつもりはないけど、エンコードオプションをそれなりに高画質にしとく。』
「それと、相手端末のスピーカーとディスプレイを弄ることはできるか?」
『管理者権限を奪取できれば。Blueto○thの脆弱性がまだ生きていることを祈るしか無い。』
「できると仮定したいところだ。動画を流したままフリーズさせることもできるか?」
『できる。動画再生プロセスに割り当てるCPUの優先度を最優先にして、その他システムプロセスの優先度を最低にする。』
白鈴がGateBreakerのアップデートパッチを送ってくる。
機能を制限していた2.4Ghz帯通信を再有効化するパッチだ。
『攻撃で管理者権限を奪ったら、同時に、私がWi-fiのハックを試みる。相手が混乱している間にトロイの木馬をインストールしておく。』
「助かる。じゃあ、今からパッチを当てるよ。」
『死なないでね』
「当然だ」
パッチを有効化してから少し経ったとき、再び謎のBlueto○thデバイスからの通信が送られてきた。
<<どうやって攻撃を防いだかは知らないが、遊びはもう終わりだ。良かったな。お前はまもなく死を迎えることができる。>>
機械的な合成音声が読み上げられる。
視界に今度はショッキングなグロ画像。
聴覚には人間の叫び声。
だが、俺はもう動じない。
俺が何度ブラクラを踏んだことがあると思っている。
この手のショックサイトには慣れているんだ。
通信解析。MACアドレス 8D:55:76:9A:83:BC。
User@Wataru:~$ sudo GanmenBlueman -GetRoot -a "8D:55:76:9A:83:BC" -s "./DoEroDoga.tar.gz"
[sudo] ************
'''''''' GANMEN BLUE MAN ''''''''''''
v3.04 @SakimoriDriller
'''''''''''''''''''''''''''''''''''''''''''''''''''''''''''''
ヘッダを解析中…… Done.
脆弱性パターンを検証しています... Done.
権限の昇格が可能です... ルートキットを送信します。
データを送信中... 5%
「よし、通った!」
『相手からの攻撃も続いている。システムを書き換えられていないか常に気を配って。』
データを送信中... 30%
悲鳴のボリュームが上がる。脳内で女性が叫ぶ声がこだまする。
画面上のグロ画像の数が増えていく。
損壊した人体の画像で、どれも直視に耐えないものだ。
<<これらは、作り物ではない。全て、お前のお仲間達が辿った結末だ。>>
そうか。だが俺はまだここに仲間入りするつもりはない。
データを送信中... 50%
<<もうすぐ、お前の管理者権限を奪うことができる。まだ大脳の一部しか操作できないが、これはどうかな>>
脳を直接弄られる感覚。凄まじい吐き気だ。
思わずえづいてしまいそうになったが、なんとか胃液を飲み込む。
『大丈夫。まだ制御は奪われていない。すぐに修復できる。』
データを送信中... 70%
<<今すぐ降伏すれば、ひと思いにシステムを停止してやろう。>>
しめた。俺をいたぶるのに必死で、こちらからの侵入には気づいていないようだ。
だが、身体に感じる不快感は相当のものだ。
カキにあたったときの数倍ひどい。
『頑張って。もう少し。間に合うはず。』
データを送信中... 90%
<<返事がないようだ。残念だ。三途の川を上手く渡れるといいな。>>
心臓が締め付けられる感覚が走る。
心不全って、こんな感覚なのか。
胸の筋肉がこわばる。
ひきつるような激痛。声が出ない。歯を食いしばる。
まだ、血流が残っている間は、大丈夫だ。
もうすぐ、転送が終わる。
耐えろ、俺。耐えろ、ワタル。
データを送信中... 100% Done.
ルートキット:インストール成功。
Wait....
管理者権限の奪取に成功しました。
『ワタル!今すぐ"RoTC.sh"を起動して!オプションは"5"と"c:vision"!後は私が引き受ける!』
User@Wataru :~$ sudo bash RoTC.sh 5 c:vision
[sudo] ************
^^^^^^ River of Three Crossings
@YandereHardcore ^^^^^^
"U r still alive. DON'T PANIC ! "
[info] Option: 5 minutes left.
[info] Option: Under your control [Visual cortex and Eyes and etc.]
[ERROR] Your System has been corrupted.
[info] Run Auto Repairing processes...
[info] Repair Completed. See Ya. System All Green.
[info] Well, Done... Have a nice trip!
まっくらだ
また ここにきてしまったか
でも こんどはだいじょうぶ
しらずが そばにいてくれてることを しってるから
5ふんか まえよりすこし ながくなりそうだ
まあ しらずなら うまくやってくれるだろう
ああ まぶたがあく すこしひかりがみえる
こんかいは め がうごかせるんだな
おとこが せきをたっている
おれの5つまえの せきだ
こちらに めをむけている
こわれて のうの きのうが おかしくなっているふうに
みえるように ごまかそう
がんきゅうを むちゃくちゃにうごかす
さゆうで べつのうごきをすることができる
これはそとからみたら そうとう きもちわるいだろう
こまおくりのような がめんだ
15えふぴーえすの どうがを じかんだけひきのばして みているようなかんじだ
おとこが すまほのかめらを こちらにむけている
あくまでさりげなく ほかのきゃくに きづかれないように
だめだ もうめが かすんできた
けつりゅうが とまっているのだろう
がんきゅうをうごかすのも たいへんだ
しらず あとは まかせた
長い空白のあと、電気ショックを受けたような刺激を感じた。
脳に血流が戻る感覚。
言語機能を司る前頭葉、ブローカ野に電気刺激が伝わる。
思考が戻る。
聴覚が戻る。
視界が戻る。
身体中に血が流れているのを感じる。
そして、心臓の痛みを少し感じる。
痛みを感じるってことは、まだ、生きているってことだ。
『おかえり。うまくいったよ。』
「ああ、うまくやってくれると思ってたよ。さあ、作戦に取り掛かろう。」
目線の先にはもう誰も居ない。
男の座っていた席はまだ空いている。
トイレか、デッキにまだ居るはず。
「よし、白鈴、例の動画を再生してくれ。」
『任せて』
前方の座席から大音量の喘ぎ声が鳴り響く。
乗客がざわめく。後部デッキの扉が開く。
さっきの男の姿。
男は自分が座っていた席の方向を振り向くと、
音の正体が自分のPCであることに気づき、慌てて席に戻る。
周りの乗客が男の席にあるPCと、その持ち主の姿を見る。
『今、ヤツのPCにはトロイを仕込んである。何をするのも思い通り。』
「P○rnHubの視聴履歴を順に再生してやれ。」
『えげつな。できるけどさ。』
動画が切り替わり、新たなエロ動画が再生される。
彼のお気に入りだったのだろう。少しフェティッシュな内容だ。
再び乗客の目が彼に注がれる。
トラウマものだ。これで奴は一生お気に入りのエロ動画を見ることは出来なくなっただろう。
男が席につく。奴は動画を消すために悪戦苦闘している。
しかし、パニック状態の男は、画面上の閉じるボタンを連打しているだけだ。
電源を切るという初歩的な手段すら忘れている。
しばらくすると、事態を察知した乗務員が男の元へ駆けていく。
「他のお客様の御迷惑となりますので、やめていただけますか。」
「違う!ハッキングされたんだ!俺じゃない!」
周囲の顔は、疑念に溢れている。何を喚いても、白々しい嘘にしか聞こえない。
共感性羞恥で顔を真赤にしている人もいる。
「今すぐ、再生を止めてください。」
「止められないんだ!フリーズしてしまって!」
「とりあえず、デッキに出ましょう。PCを持ってきて。画面は閉じてください。」
画面が閉じてもエロ動画の音声は鳴り続けている。
乗務員が「ご迷惑をお掛けして申し訳ありません」と言いながら、後ろの車両のデッキに男を連れて行く。
ドアが閉まっても、デッキからまだ喘ぎ声が漏れ聞こえてくる。
画面はフリーズして、何も操作出来ない状態になっているはず。
ドアの向こうから、乗務員の声が聞こえる。
「とりあえず、電源ボタンを長押しして、電源を切ってください」
「あ、え、ああ、はい」
やっと喘ぎ声が止む。
「次、同じことをした場合、車両を降りて頂くことになりますので、二度とこの様なことのないようにしてください。」
「わざとじゃない!ハメられたんだ!」
「故意かどうか、私共にはわかりかねます。とにかく、やめてください。」
「……クソッ!」
デッキから男が帰ってくる。
周囲から、好奇の目を寄せられている。
大学生風の女の子二人組が、顔をあわせてクスクスと笑っている。
俺の横を通り過ぎたとき、憤怒の表情をこちらに向けているのが見えた。
PCを使った再攻撃は不可能だろうが、次は物理的な攻撃に対処しなければならないかもしれない。
「次はBlueto○thの電波じゃなくて、ナイフの刃が飛んできそうだ。」
『今のヤツの精神状態なら、周囲の目なんて気にせず、あなたを殺しにかかってくるだろうね。』
『でも、いいニュースがある。あのPCはスマホのテザリングを使って通信を行っていた。』
「ということは」
『スマホもハックできた。』
「まだまだ楽しめそうだな。」
席についた男はそわそわしながら、PCを鞄にしまい込む。
何も無かったフリをしながら、鞄を持って前の車両に移ろうとしていた。
周囲にいた客の視線が男の後ろ姿に注がれる。
前のデッキへ向かうドアが閉まる。
そろそろ3号車で席を探している頃だろう。
「今だ」
スマホに仕込んだトロイが、管理者権限を奪取する。
画面のコントロール、音声のコントロール、ネット接続。全ては俺達の手中にある。
『コントロール、あなたに任せる。』
俺のOS上にリモート接続された相手のスマホ画面が表示される。
ブラウザを開き、P○rnHubに接続。視聴履歴。
ああ、業の深い性癖を持っているな。
自らの性癖によって焼かれ尽くされるが良い。
男のスマホから、大音量でハードコアポルノの映像と音声が流れ始める。
3号車の方から、怒声と悲鳴が聞こえてくる。
先程の乗務員が1号車の方向から2号車を抜けて、再び走ってくる。
「あんた!そういうことはするなって言ったでしょう!」
「俺のせいじゃない!俺を抹殺するために、組織が仕組んだ陰謀だ!」
「組織……?少し落ち着いて頂く必要があると思いますので、乗務員室までお越し頂いてよろしいですか。」
「やめろ!触るな!お前も悪魔共の手先だな!?貴様、絶対に殺してやる!」
何かが激しくぶつかる音。動画の喘ぎ声、客の悲鳴が重なって、車内は騒然としている。
乗務員が無線連絡と同時に、周囲の客への説明をはじめる。
「乗務員各位、乗務員各位、現在、男性一名が車内で暴れており、応援を要します。至急、係員は3号車に向かってください。」
今は乗務員が男を取り押さえているのであろう。
誰か他の乗客も加勢しているのかもしれない。
物音は小さくなったが、まだ男の罵声が聞こえてくる。
それから少しして、何人かが走ってくる音がした。
喚く男の声と、喘ぎ声が小さくなっていく。
車内アナウンスが入る。
「業務連絡です。3号車内で暴れていた男は確保されました。乗客、乗員に被害はありません。次に停車する新神戸駅で身柄を引き渡します。そのため、5分程度の遅延が予想されます。乗客の皆様方にご迷惑をおかけいたしますことを心よりお詫び申し上げます。次に、乗り換え列車の接続について、今後の運行状況によって、変更がある可能性がございます。詳しい運行予定が決まり次第、再度放送いたしますので、予めご了承ください。また、乗務員は念の為、車内に不審物がないか、確認を行ってください。」
『完全勝利だね。』
「ああ、ここまでうまくいくとは思わなかった。相手がパニックを起こしてくれて助かった。」
さらばだ。AirDr○p痴漢。
法のもとで裁かれるが良い。
新神戸駅に到着。事件が起こった車内には混乱が少し残っている。
ここから物音は聞こえないが、既に警察が待機しているようだ。
何事も無かったかのように、定刻を少し過ぎてから、車両が動き出す。
ホームに面した窓から、男と警官3名の姿が見えた。
男の背中が、この扱いに納得していないことを表していたが、今となってはどうでもいいことだ。
少し時間が経ってから、乗務員が客席をチェックし始めた。
この席にも乗務員がやってきたので、一旦席を開ける。
俺のシートに何もないことを確認し終わると、お辞儀をして、次の客席の確認に向かっていった。
それからは、平和な時間が続いた。
列車の遅れも、運転途中で取り戻すことができたらしい。
次の駅には定刻通り到着するようだ。
視界に、少し都会の町並みが見える。
曇り空は薄く、晴れ間が顔を出している。
このままこうして晴れていてくれれば、富士山も見ることができるだろう。
そうであるといいな。
少し不安げな、かぼそい声で、白鈴が話しかけてくる。
『私のせいで、命を危険に晒してしまってごめんなさい。短距離無線通信のこと、全く考えてなかった。』
「いや、白鈴のおかげで助かった。早かれ遅かれ、どの道俺は攻撃を受けることになっていただろうし、敵は常に俺たちの想像を超える方法で攻撃してくるはずだ。」
「何より、最初に手を貸すと言ったときから危険は承知の上だ。ありがとう、白鈴。君が居てくれて心強かった。君の的確な分析と指示がなかったら、俺はとっくに死んでいた。」
『ワタル……ごめん……』
「でも寿命は確実に縮まった。心停止したって聞いたときは本気で倒れそうになった。だから、東京についたら飯をおごれ」
『……やだ』
喰えないヤツだ。