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19/20

Function 020: [Segmentation fault] 例外が発生しました。

class Fear : public Emotion {

 public:

  unsigned int doubt(int i){

   return i != 0 ? i += doubt(i) : 0 ;

  }

  bool _IsUnknown = true ;

  bool _IsMe = true ; /* 本当に? */

};


int main(void){int i = 1; Fear* Suspicion = new Fear();i !=0 ? i += Suspicion->doubt(i):i=NULL; /*

<< [EXPLOIT] 「見て、あの人、ウケる」 [EXPLOIT] >>



スタイリッシュで可愛らしい紙袋を下げた俺の右腕には、また別のイカした紙袋もぶら下がっている。


乗ってきた駅で買ってきた、反応に困るお土産と、滑ったとき用のお土産。

中身はもうバレているから、演出を考えておこう。



少しかさばるけれど、一緒の袋には纏めない。

それぞれの紙袋に入っているところまで含め、お店が考えた演出だ。


それを、無下には出来ない。




<< [EXPLOIT] 「あいつ、死ねばいいのに」 [EXPLOIT] >>




周囲の声を、拾い過ぎている。

ネガティブなワードに、過剰反応している。


ドーパミンの濃度が過剰になっているためだろう。

関係ない会話の内容を俺に対するものだと、錯覚させようとしている。


これらが俺に向けられた言葉ではないことは、表情、視線、会話の前後を把握すれば、分かることだ。


脳の危険を感知する能力がバグって、過敏になっているだけだ。




けれど、これが続けば、この被害妄想が俺の思考を上書きし始めるだろう。




全てを、悪い方向に考え出してしまうだろう。

他人が、自分が、怖くなっていくだろう。




それを考えて、不安を感じる。


そのとき、俺は、俺であり続けているのだろうか。






『おっす。今、どんな感じ?』



「ネガティブなワードに過敏になっている。心が折れそうだ。」


『大丈夫かー?』



「俺のメンタルはカーボン繊維で出来ている。」


『衝撃加えたら折れるじゃん』



「折れちゃうんだよね」


『気休めを言ってあげよう。もうすぐモノが、できる。そのまま悶絶しながら待ってて。』



「心強いお言葉、ありがとう。」




他愛もない会話をするだけで、少し、気分が楽になる。




『他の接続者の反応は今のところなさそうだけど、物理的な襲撃にも注意しておいて。』


「殴られたら、殴り返してやるさ。」



『その筋肉量で、勝てると思う?』


「勝てなくても、殴り返してやるって気持ちさえあれば良い。リング上で、最後に立っていた方が勝ちだ。」



『TKOを食らわないようにね。』


「善処する。」






<< [EXPLOIT]「見て、あの人。信じられない」[EXPLOIT] >>




気持ちの方向を、切り替える。




霞が関のビル群を見上げれば、目では捉えられない程の富と、人のつくり上げるものの力を、感じることができる。




<< [EXPLOIT] [Noise] [EXPLOIT] >>




新宿には人の欲と、愛と、金と、熱気が交差する街並みがあって、大好きだ。


生々しくて、グロテスクな現実がそこにはあるけれど、人が生きている証がそのまま、見えるから。



<< [EXPLOIT] [Noise] [EXPLOIT] >>




秋葉原の歩行者天国は6車線。

俺の大好きな怪しい機械は、まだ売られているのかな。


きっと、技適など無視していて、合法かどうかも怪しい品々と、なんだかフォントの怪しい、日本語風のラベルたち。



<< [EXPLOIT] [Noise] [EXPLOIT] >>





今の俺には、この街をどう楽しんでやるかということしか、考えられない。


ワクワクが、止まらない。


先程まで俺を蝕んでいたドーパミンは、今、俺に生きるための力を生んでいる。




『生きてるー?』


「死んでないよ」


『ならいいよ。出来たよ。"ねこはっく"のアップデート、よろしく。』


「サンキュー。白鈴さん。」




アップデートのやり方は、よくわからない。

でも、白鈴が前にやってたのを真似してみれば、何とかなるだろう。



『大丈夫。いけるいける。』




***@Me:~$ sudo apt update

[sudo] *** のパスワード



***@Me:~$ sudo apt upgrade


Y




"ねこはっく" の画面を見る。


”テスト機能” のタブが増えている。






『真ん中のボタンで起動。起動すると、頭の中にスマホを含む、こちらから認識できるIoT機器の位置と、その名前、識別IDが浮かび上がる。』






『その中から、探りたいものを、思い浮かべてみて』






『ああ、見えたね』






『そのデバイスは、何処に繋がっているのかな』






N3k0H@ck: [detected] ”AgAt9Eat@Alt-Z”

N3k0H@ck: [detected] ”BrutalBag@Alt-Z”

N3k0H@ck: [detected] ”Drow1Seas@Alt-Z”

N3k0H@ck: [detected] ”Fukk4Goat@Alt-Z”

N3k0H@ck: [detected] ”K1llN1n3@Alt-Z”

N3k0H@ck: [detected] ”Love4Eva@Alt-Z”






『あー、結構居るね。』






N3k0H@ck: Function_D93 -force -all


実行しますか?(Y/n)


n






「ええと、白鈴。デフォルトの攻撃方法を変えてくれ」


『一番確実でしょ』




「先に殴りかかれば、こちらを殴るための大義名分を与えてしまう。何より、人を殺す覚悟が、まだ無いんだ。純粋に、辛い。」




『……私は、私達の目的を果たす必要があるから、そうしている。


敵が生きている限り、仲間に死の危険を残してしまうことになる。


私の知っている人達が消えてしまって、無駄になってしまうのが、嫌なんだ。』


『だから私は、躊躇なく、殺す。それが、私の責任のとり方だと思っている。』






実際に俺はその行動によって、助けられている。




否定はできない。


肯定もできない。






「……俺は、別の方法を試してみるよ。上手く行くかどうか知らないけれど、俺が責任の取れる範囲で、出来ることをやってみたい」


『……例えば?』




「言語になる前の思考に接続して、ずっと、話し掛け続ける」


『話が通じる相手だとは思わないけど』






[info] ”Love4Eva@Alt-Z”: 私は幸せです 私は幸せです 私は幸せです


『は?』




[info] ”Love4Eva@Alt-Z”: お願いです もう関わらないでください 


『何やったの』




[info] ”Love4Eva@Alt-Z”: 私は幸せです 私は幸せです 私は幸せです

[info] ”Love4Eva@Alt-Z” が ログアウトしました。


『怖いんだけど』






「話し掛け続けただけだ。無限に引き伸ばされた、時間の中で」







*/


delete Suspicion;


i=NULL;

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