Function 020: [Segmentation fault] 例外が発生しました。
class Fear : public Emotion {
public:
unsigned int doubt(int i){
return i != 0 ? i += doubt(i) : 0 ;
}
bool _IsUnknown = true ;
bool _IsMe = true ; /* 本当に? */
};
int main(void){int i = 1; Fear* Suspicion = new Fear();i !=0 ? i += Suspicion->doubt(i):i=NULL; /*
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スタイリッシュで可愛らしい紙袋を下げた俺の右腕には、また別のイカした紙袋もぶら下がっている。
乗ってきた駅で買ってきた、反応に困るお土産と、滑ったとき用のお土産。
中身はもうバレているから、演出を考えておこう。
少しかさばるけれど、一緒の袋には纏めない。
それぞれの紙袋に入っているところまで含め、お店が考えた演出だ。
それを、無下には出来ない。
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周囲の声を、拾い過ぎている。
ネガティブなワードに、過剰反応している。
ドーパミンの濃度が過剰になっているためだろう。
関係ない会話の内容を俺に対するものだと、錯覚させようとしている。
これらが俺に向けられた言葉ではないことは、表情、視線、会話の前後を把握すれば、分かることだ。
脳の危険を感知する能力がバグって、過敏になっているだけだ。
けれど、これが続けば、この被害妄想が俺の思考を上書きし始めるだろう。
全てを、悪い方向に考え出してしまうだろう。
他人が、自分が、怖くなっていくだろう。
それを考えて、不安を感じる。
そのとき、俺は、俺であり続けているのだろうか。
『おっす。今、どんな感じ?』
「ネガティブなワードに過敏になっている。心が折れそうだ。」
『大丈夫かー?』
「俺のメンタルはカーボン繊維で出来ている。」
『衝撃加えたら折れるじゃん』
「折れちゃうんだよね」
『気休めを言ってあげよう。もうすぐモノが、できる。そのまま悶絶しながら待ってて。』
「心強いお言葉、ありがとう。」
他愛もない会話をするだけで、少し、気分が楽になる。
『他の接続者の反応は今のところなさそうだけど、物理的な襲撃にも注意しておいて。』
「殴られたら、殴り返してやるさ。」
『その筋肉量で、勝てると思う?』
「勝てなくても、殴り返してやるって気持ちさえあれば良い。リング上で、最後に立っていた方が勝ちだ。」
『TKOを食らわないようにね。』
「善処する。」
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気持ちの方向を、切り替える。
霞が関のビル群を見上げれば、目では捉えられない程の富と、人のつくり上げるものの力を、感じることができる。
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新宿には人の欲と、愛と、金と、熱気が交差する街並みがあって、大好きだ。
生々しくて、グロテスクな現実がそこにはあるけれど、人が生きている証がそのまま、見えるから。
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秋葉原の歩行者天国は6車線。
俺の大好きな怪しい機械は、まだ売られているのかな。
きっと、技適など無視していて、合法かどうかも怪しい品々と、なんだかフォントの怪しい、日本語風のラベルたち。
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今の俺には、この街をどう楽しんでやるかということしか、考えられない。
ワクワクが、止まらない。
先程まで俺を蝕んでいたドーパミンは、今、俺に生きるための力を生んでいる。
『生きてるー?』
「死んでないよ」
『ならいいよ。出来たよ。"ねこはっく"のアップデート、よろしく。』
「サンキュー。白鈴さん。」
アップデートのやり方は、よくわからない。
でも、白鈴が前にやってたのを真似してみれば、何とかなるだろう。
『大丈夫。いけるいける。』
***@Me:~$ sudo apt update
[sudo] *** のパスワード
***@Me:~$ sudo apt upgrade
Y
"ねこはっく" の画面を見る。
”テスト機能” のタブが増えている。
『真ん中のボタンで起動。起動すると、頭の中にスマホを含む、こちらから認識できるIoT機器の位置と、その名前、識別IDが浮かび上がる。』
『その中から、探りたいものを、思い浮かべてみて』
『ああ、見えたね』
『そのデバイスは、何処に繋がっているのかな』
N3k0H@ck: [detected] ”AgAt9Eat@Alt-Z”
N3k0H@ck: [detected] ”BrutalBag@Alt-Z”
N3k0H@ck: [detected] ”Drow1Seas@Alt-Z”
N3k0H@ck: [detected] ”Fukk4Goat@Alt-Z”
N3k0H@ck: [detected] ”K1llN1n3@Alt-Z”
N3k0H@ck: [detected] ”Love4Eva@Alt-Z”
『あー、結構居るね。』
N3k0H@ck: Function_D93 -force -all
実行しますか?(Y/n)
n
「ええと、白鈴。デフォルトの攻撃方法を変えてくれ」
『一番確実でしょ』
「先に殴りかかれば、こちらを殴るための大義名分を与えてしまう。何より、人を殺す覚悟が、まだ無いんだ。純粋に、辛い。」
『……私は、私達の目的を果たす必要があるから、そうしている。
敵が生きている限り、仲間に死の危険を残してしまうことになる。
私の知っている人達が消えてしまって、無駄になってしまうのが、嫌なんだ。』
『だから私は、躊躇なく、殺す。それが、私の責任のとり方だと思っている。』
実際に俺はその行動によって、助けられている。
否定はできない。
肯定もできない。
「……俺は、別の方法を試してみるよ。上手く行くかどうか知らないけれど、俺が責任の取れる範囲で、出来ることをやってみたい」
『……例えば?』
「言語になる前の思考に接続して、ずっと、話し掛け続ける」
『話が通じる相手だとは思わないけど』
[info] ”Love4Eva@Alt-Z”: 私は幸せです 私は幸せです 私は幸せです
『は?』
[info] ”Love4Eva@Alt-Z”: お願いです もう関わらないでください
『何やったの』
[info] ”Love4Eva@Alt-Z”: 私は幸せです 私は幸せです 私は幸せです
[info] ”Love4Eva@Alt-Z” が ログアウトしました。
『怖いんだけど』
「話し掛け続けただけだ。無限に引き伸ばされた、時間の中で」
*/
delete Suspicion;
i=NULL;