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37 ゲームの終わり

翌朝、朝食を食べたら、昨日の燻製の村に行く。薪代もあるだろうし、荷台付き馬車で薪を運んだ。半日以上燻製したので、中身の確認とお祖父様とソリオ様は、一つ先の村で猪が仕掛けに引っかかっているかの確認に行った。みんなで吊るされた猪を下ろし、外に運ぶ。

猪の丸焼きのようになって豪快だ。ゴザの上だが。外に並べられる。

村の男達は、交代で薪の見張りをして、朝から仕掛けにかかった猪を捌く。またバードは、落ちた肉を食べている。

お父様が燻製の中身の確認、味の確認をし、フリップ王子も確認して

「美味しいです」

と言っていた。半身を村人にあげて、また半身を領主館に、残りの4匹は、フリップ王子に渡す予定だ。お祖父様が戻られ、また捌き、燻製にしていくらしい。お父様に、私は村の外の柵補強に行ってきますと告げ、馬に乗る。早さは出ないが乗馬は出来るようになり、お供にバードが上から横には…フリップ王子様がいる。さっきからお互い何か言おうとしては、躊躇う事を繰り返している。

私は、クリスティーナ王女とは?と聞きたいのだ。岩を伸ばしながらそんな事ばかり考えて、フリップ王子は村人と一緒に補強壁を運んでいる。

そして次の村に向かう。

「ルイーゼ嬢は、よく働くなぁ」

と言われた。

「顔色悪くなるまで働いているのはフリップ王子様じゃないですか、どうせ癒し魔法があるから、大丈夫とかで無理なさっているんでしょう?」

と聞くと、頭を掻いていた。

「補強は、今だけですから。これで数年保てば、次は、もっといいものが作られているかもしれないですし、発展の足掛かりにして貰えれば、良いですから」

と言えば、

「それはわかる気がする。次に繋げる為に…母上がよく言う言葉だ」

「そうなんですか?」

「このデマルシア帝国の食糧支援を終えたら、茶会を開こうと思う。美味しいデザートを用意するよ。是非参加して欲しい」

と驚くほど真剣に私を見て話す。

「何故、そんな気合いが入っているんですか?美味しいデザートは、みんな好きですし、食糧支援だって協力してくれるところはありますよ。楽しい会になると良いですね」

と話し、新たな村に着いた。やはりここも芋が豊富で3籠ほど分けてくれた。柵の補強をしてまた領主館に帰れば、荷台に猪の燻製と芋の籠や、小麦が乗っており、御者とともにフリップ王子様達は、王都に戻られた。

私の冬季休暇は、新たに領地になった村など挨拶がてら柵を補強したり、自分の出来ることをした。元カトロ領は、葡萄もありマリノティス領とワインと芋や猪の燻製を物々交換をしたり随分交流が盛んになって盛り上がっていた。

山があるので、高い位置に鳥の面影を見つければ、あの人は、どうしているだろうか?頑張っているだろうな。また無理して顔色を悪くしているんでは無いかな、と考えてしまう。

その度に顔を振り、余計なことを考えるなと何度も自分を誤魔化す。憧れては良いと思う。令嬢が王子様と結婚、そんな夢みたいなふわふわの世界。誰しも小さい頃あるけど、年頃になり夢見る少女じゃなく大人の階段を登り始めた私は、そんな事言ってられない。


「現実を見なさい、ルイーゼ、格が違うわ、地位もオーラも令嬢としての質も、私は本当は、つまらない女なんだから。お父様に用があって王子様は会いに来た、生徒会やAクラスになれたのは、お母様の指導のもと、魔法を得たのだって過去の私が課金してくれたから、自分で手にしたのは、鳥使いだけ…」

と一人夜の静かな闇が、私に考えさせる。でもアイテムを手にしたら、みんな認めてくれる、なんて馬鹿なことまで考えた。

そんな事ばかり考えて、明日領地に戻る。

ライラさんのように宣言も出来ないし、ただやっぱりもう少しAクラスの仲間で生徒会メンバーでいて近くにいる関係でありたいと思った。


馬車の中、一人で勝手に結論を出していた。


学園に行くと、ライラさんは元気で本来の気質というか明るさで、また昔のように囲まれていた。さすがだなぁと思うのと同時に胸が痛かった。貴族の令嬢じゃなくたってあんな風に囲まれて輪の中心にいる。私は、上乗せが沢山あるのにこの有り様。

小さな声で

「おはようございます」

といって着席した。

今日もクリスティーナ様とフリップ王子様は来ない、きっとレガシー王子様もだろう。空は高い位置に雲があって、手を伸ばしても届かない。

「何しているの?手なんか伸ばして」

と言われて振り返って見ると、サリバン様が廊下にいた。

「えっ、サリバン様」

と言えば、笑って

「ルイーゼ嬢、何しているの?」

と聞く。だから普通に、

「空の雲を触りたいと思って」

と言うと、ますます笑って、サリバン様は

「相変わらず変わっているなぁ、これじゃ悪役令嬢も出来ないわけだ」

と言った。サリバン様に聞きたかった。

「サリバン様、私って悪役令嬢なんですか?」

と言えば、

「うーん、それは難しいね。だってヒロインが選べるゲームなんだし、ヒロインが変われば配役は変わる。君がヒロインなら、違う令嬢が、例えばレイラが悪役令嬢になったり、ライラ嬢がなったりするだけさ」

そうか、これは普通の恋愛と一緒だ。同じ人を好きになれば、選ばれる方がヒロインでもう一人はライバル令嬢。

言っている事は当たり前だ。

でもそれだと、私は、選ばれるヒロインになる…


「ねぇ、ルイーゼ嬢、僕はフリップから戻ってきて欲しいと言われた。フリップが頭を下げた。僕が悪いのに、だから隠し玉をプレゼントした。きっとそれは、僕から言う事じゃないけど、ゲームの終わりさ。エンディングの選択肢は、君にある」

とサリバン様は、清々しい笑顔で私に宣言した。

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