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10 サマーパーティー

サマーパーティー前日まで、信じられないくらいの忙しさに悲鳴をあげると、三年の侯爵令嬢レイラ様が

「慣れるわ」

とクールビューティーに言い、颯爽と周りを従え荷物を運び出していた。

「あの方達は?」

と言うと、サリバン様が

「あれは、レイラ嬢のファン?下僕?かな」

と言う。

「えぇ!そんな感じなんですか?」

「あぁ、レイラ嬢は、昔からあんな感じだ」


マジか。高位貴族とのお茶会はあまり参加してきてないから知らない。癖強い人多い。


「明日のサマーパーティーは、参加者が来る少し前に集合だよ、ルイーゼ嬢は、受付を覚えるようにって伝言」

とサリバン様から言われる。

「わかりました」


サマーパーティー当日


お母様が朝から張り切っておられる。

朝早く起きれば、風呂で磨かれる。香油を擦り込まれる。ウエストをキツく締められ胸の下に布を巻かれ、乳を少しでもボリューミーに見せようとする努力、メイド達、そして指示出しのお母様

「あっぱれです」

と言っていると、お母様に

「何、わけわからない事言っているんです」

とアクセサリーを見ながら言っている。お母様は、後ろに目や耳があるのかもしれない。

いつもきっちりな三つ編みに、嫌な顔をしていたお母様がここぞとばかりに押し付けるのは、まるで悪役令嬢スタイル、こちらもお見事ですお母様。

私は、油断していた。

お母様の言われるまま、受け入れるのは楽だから。

まさかの縦ロール、フラン◯革命ですか?と笑ってしまう。お母様も最初この髪型だったそうで、お父様が

「悪役令嬢ぽいの嫌だな」

の一声で変えたそう。

では、私はいいのかい?とお母様にツッコミたかったが、お母様のアレンジ、縦ロールからのポニーテールだ。お父様に好評の自信作と言う。

やっぱり、悪役令嬢からは離れられないお母様に笑ってしまう。

食事も通らないような身体にピッタリなドレスを纏い、階段を降りると、従兄弟のエバーソンが迎えに来ていた。

瞬き多い、とツッコミたくなるほど驚かれた。通常の三つ編み真面目スタイルを見ているので、ザ令嬢いやザ悪役令嬢は輝いているのか?実は私もまんざらではない。

「ふふ〜ん」

とこぼすと、お父様が、ゲラゲラ笑って

「カエルの子はカエルだなぁ」

と言う。お母様は、

「カエルって、何がおかしいんですか?」

とぷりぷり怒っていると、

「君にそっくりだよ。サラサ。とても美しいよ、ルイーゼ」

とお母様の肩を抱く。

「まぁ!」

と照れるお母様。こういうところ、凄く可愛い人だと思う。素直な人は、幸せになれるのだなとお母様を見て思う。

「では生徒会の準備もありますし、行ってまいります」


学園に着くと、騎士団の警備隊の人達に見られる。こんなに誰かに見られるなんて初めてで

「恥ずかしいわ」

と言うとエバーソンが、

「本当に美しいと思うよルイーゼ。制服よりもドレスが似合う」

と褒める。ひねくれて言い変えれば、可愛い制服は似合わず、悪役令嬢ぽいドレスが似合うと言うことだ。

しかし私は、嬉しい。調子にものっていた。


「驚いたなルイーゼ嬢」

フリップ王子様から声をかけられ、横を見るとそこには、ザ王子がいた。

「ご挨拶しませんで失礼しました」

と言うとザ王子は、するりと私の手を取る。

「とても美しいよ、ルイーゼ嬢」

と言う。この頃思う。

確か、あなた達私のことつまらないって言いましたよね。私、忘れていませんけど。

言わないけどね。

「ありがとうございます」

と言えば、スタスタ歩くサリバン様が来た。

「ルイーゼ嬢、受付の準備、フリップは挨拶の準備」

とバシバシ仕事を、割り振るサリバン様。私は、エバーソンにエスコートのお礼を言い、受付にまわる。レイラ様に従いながらチェックしていく。参加者リスト外の人達は、通さない事が原則。そして学園の生徒も知っているはずなのに、リスト外の人をエスコートとして連れてきたりする。

レイラ様の舌打ちが、連続舌打ちが怖い。

ファンだか下僕だかわからない男性達が、一礼しては、両腕を抱えて連れて行く。

「凄い、レイラ様が何も言わないのに、率先して動く人達、あの方達は、ボランティアですかね」

と何気なく言った。

「ボランティアって?」

「いえ、なんでもないんです」

と誤魔化した。

つい、出てしまう言葉は、明らかに油断だ。気をつけなければいけない。

対応をしていたら、音楽が鳴り出した。

始まる時刻だ。レイラ様は

「まだ来てない方達もいるが、護衛をしてくださる騎士様に任せましょう」

と言い会場の中に入る。私も後ろに着いて行く。

音楽が止まり、生徒会の挨拶や学園長の挨拶、いつもと同じ進行で進む。

飲み物を、運ぶメイドが盆をひっくり返す。

「ガシャーン」

と響き悲鳴が上がる。

「キャー」

と上がる悲鳴を見ると、どこから侵入したのかわからないが女性が小刀を持ってギロ、ギロと会場内を見まわしている。

そして私は、その女性と目が合った。

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