二学期
「編入生のミシェル・パーカーです! 皆様よろしくお願いいたします」
そう言って笑顔で微笑むミシェルさん。
夏休みが終わった新学期、先生に紹介され挨拶するのは、愛らしい顔立ちに守ってあげたくなるような小柄な編入生。
普段は真面目な人が多いこの法律クラスの男性陣も、目尻が下がっている。
そういえば、編入生との出会いなんて、正に彼の好きな運命的シチュエーションじゃないかしら。
そう思い、今日は聴講生として隣に座っているアーノルドを横目で見ると、彼はとてもキラキラと嬉しそうな瞳で編入生のミシェルさんを見つめていた。
チクリ
なんだか胸が痛い気がする。
綺麗とは言われるが、可愛らしいとは程遠いタイプの私。
そういえばアーノルドの好みってあるのかしらと、初めて気になったが、なんとなく聞くのが怖くなってしまった。
『結婚しよう』とはよく言われるんだけど、ちょっと違うわよね。
ずっと一緒にいて、それこそトキメキも今さらだと思っていたけど…
もう少し彼の好みに近づく努力をしようかしら。
と、思っていたのに
その日からアーノルドとは、学園内で顔を会わせることはほとんどなくなった。
行きと帰りは同じ馬車に乗り、月に何度かは今まで通りどちらかの家でお茶をする。
ただ、一日に何度もあった学園内での偶然の出会いや、街での偶然の出会いは無くなってしまった。
あいかわらず、顔を会わせればトロリとした優しい瞳で見つめられ、優しい言葉をかけてくれるし、定期的に私の好きな花やお菓子などメッセージ付きで贈られてくるが…。
彼の考えていることが分からない。
そんな時、それは本当に偶然見てしまったのだ。
アーノルドが王立図書館で編入生のミシェルさんに本を手渡し、奥の部屋に消えていくところを…
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「金の目の王子が覗くのは令嬢の妄想」
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