春休み
春休みに入った。
冬休みとテスト明けの休みに、アーノルドの家に滞在しっぱなしだったことで、父が拗ねてしまったので、今はおとなしく自分の屋敷で過ごしている。
しばらくフリージアの元気がなかったこともあり、大目に見てくれていたが、学園生活が残り一年となり、嫁に行くカウントダウンが始まったと思ったら、寂しくなったらしい。
母からも、卒業前に子供ができたら、学園生活の思い出が作れないわよ。ま、孫の顔は見たいから私はどっちでもいいけど。
と、言われてしまった。
は、恥ずかしい。
アーノルドとの婚姻予定は、卒業後すぐ。
フリージアとて、アーノルドやカレン達との学園生活をもっと楽しみたいし、学ぶことが楽しくなってきた。両親との時間も大事なので、今のままで不満はないのだ。
さすがにテスト明けの暴走を反省したのか、アーノルドも、ほどほどの間隔をあけてデートの誘いやお茶に来てくれるので、前回のような寂しさもない。
そして今日はカレンと買い物に出かける日。
ショッピングを楽しんで、お洒落なカフェに入った。
もちろんお互いの護衛も離れた席で座っている。
フルーツのたくさんのったケーキを食べて、ご機嫌ニコニコのフリージア。
「フリージアが元気になってよかったわ。テスト前少し元気がなかったような気がしたから。アーノルド様とも順調なようだし」
「カレン私ね、一度聞いてみようと思ってるの」
「何を?」
「アーノルドはとても優しいし私のことを大切にしてくれてるのは分かってるんだけど、そもそもが親同士が仲が良くて決めた婚約でしょ。だから、結婚する前に、ほんとうにそれでいいのかって」
「え。」
カレンのコーヒーを持つ手が止まる。
「学園に入ってから新しい出会いも多かったでしょう?」
ミシェルのことはどうやら自分の勘違いだったけれど、二学期以降、極端に忙しくなって会う時間が減っていたのだ。
彼に何かあったのは確かだろう。
「…アーノルド様がフリージアを大好きなのは疑いようがないと思うけど?」
「でもそれは、長く一緒にいるから。もしかしたら家族のようなものかも」
「フリージアはどうなの?」
「私は最初からずっとお慕いしてるわ。初めてあったときに恋しちゃったんだもの」
「そう。なら、やめといた方がいいと思うけどなー(なんかまた暴走しそうだし…)」
「そ、そうかな。でもなにか言われても受け入れる覚悟もあるわ。悩んだけど、彼が幸せでいることが、私も幸せだと気づいたし」
「まぁ、そこまで言うなら。反対はしないけど。そうね、あと1週間春休みがあるけど、フリージアはほかに約束はあるの?」
「今のところ、うちでの夜会が明後日にあるだけよ」
「なら、それが終わってから伝えなさい。そして、その後3日は予定を入れないこと。これが私からの助言よ」
「? 告白するのに縁起のいい日にちとかあるの? でも分かった。心の準備も必要だし、夜会の次の日にちょうどアーノルドの屋敷で会うから。その時に伝えてみるわ」
「…健闘を祈るわ」
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「金の目の王子が覗くのは令嬢の妄想」
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