修了式
学園に入学して1年目の修了式。
全員が講堂に集まり、試験に受かった者はクラスの先生から修了証をもらう。
フリージアは淑女クラスと、法律クラスの基礎修了証を貰うことができた。これで上級クラスが受けられるようになる。
いろいろな人が通う学園なので、結婚や就職、家を継ぐなどで2年間通わずに修了する者も珍しくない。
なので、修了式の後はそんな学園を去る者達への卒業パーティーが行われる。
「おめでとう! ミシェル、トーイ君!」
パーティー会場の一角に集まった法律クラスのみんなで、二人の門出を祝う。
「「ありがとう!」」
みんなからのプレゼントと花のティアラをもらって、見つめあう二人はとても幸せそうだ。
最初は身分差に反対していたミシェルの両親も、ミシェルがこれまでトーイ君にしてきたあれこれを聞いて、諦めたらしい。
ミシェルは貴族ではなくなるが、トーイ君のご実家はかなり大きな商会なので、暮らしに困ることはないだろう。
すっかり仲良くなったミシェルが幸せになれるよう、フリージアは心を込めてお祝いした。
それから淑女クラスでも何人かが結婚や婚活のために一年で修了とし、学園を離れるということで挨拶に来た。
淑女クラスでは、一年目の基礎クラスは貴族としてのマナーや、嫁いだ先での女主人としての家の管理の基礎、ダンスなどを学ぶが、上級になると、王宮の女官や王族付きの侍女、他国の貴族とも交流できるようになるための勉強等、いきなりレベルが上がるのだ。
フリージアもカレンもそれぞれ目的があり、学ぶことが好きなので、迷いなく進級するが、早い子では次の春に結婚する予定だと聞き、それぞれの進路に話が盛り上がる。
パーティー会場には他に騎士クラス、経営クラス、経済クラスの人たちもいて、一年の思い出とこれからの未来について語り合っているようだ。
今日ばかりは、アーノルドとも別行動である。
といっても、会場まではエスコートされ、今フリージアが付けているアクセサリーもすべて水色で、アーノルドから贈られたものだ。
そんなアーノルドも桜色のクラバットに、同色でフリージアとお揃いの形のピアスを付けていた。
卒業の思い出とともに、ダメもとで告白しようと思っていたフリージア狙い、アーノルド狙いの子息令嬢を無意識に戦意喪失させているのである。
さて明日からは春休み。
18の成人と結婚までは、まだまだあると思っていたけど、アーノルドとのことをはっきりさせて、新しい気持ちで新学期を迎えるわ。
遠くからフリージアの様子をチラチラと見ているアーノルドに気づかず、一人決意するのだった。
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「金の目の王子が覗くのは令嬢の妄想」
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