テスト結果
「フリージア!」
「カレン! 会いたかったわ」
「こっちこそよ。最初に約束してたもの以外、全然会えないんだもの!」
カレンはフリージアを抱き締め、首筋にある跡を見つけると、ギロリとアーノルドを見る。
「す、すまん」
「ご、ごめん」
「いいわ。テスト前はたくさん一緒に勉強できたし。でも春休みに、一緒に買い物やお茶をしましょうね」
「ええ。もちろん!」
ぎゅっと手を握り、フリージアだけを視界に入れる。
誘っているのはフリージアだけだぞという意味を込めて。
「それで、カレン。試験結果は?」
「もちろん、バッチリよ」
「よかった。私達も進級できるわ」
他にも知った顔を見つけ、皆合格したようで嬉しくなる。
「フリージアさん、カレンさん」
後ろから名前を呼ばれた。
「こんにちは、ミシェルさん。打ち上げぶりね」
振り返ると、ミシェルが側に来た。
隣にはトーイも立っている。
相変わらず庇護欲をそそる可愛らしい雰囲気だ。
中身は肉食だけど…
「あの日は最後に寝ちゃって、挨拶できなくてごめんね。恥ずかしいわ」
ミシェルもトーイも無事に合格したらしく、皆で喜びを分かち合った。
「それでね、フリージアさん。私、今回の試験に合格したから、修了式をもって学園を辞めることにしたの」
「ええ! どうして? せっかく仲良くなったのに。上級クラスはいいの?」
「ええ。実は私がここに編入したのは、将来トーイのお店を手伝う為に、役に立ちたかったからなの」
そう言ってトーイの腕を組み微笑むミシェルは、幸せそうで今までで一番可愛い。
「契約に関する基本的な法律は学べたし、事案によっては弁護士もいるから。あとは早くお店に立って、実務を覚えていくことを優先したいなって」
「まぁ! ミシェルの相手はトーイ君だったのね!」
フリージアは心配していた相手ではなく、心からほっとする。
「い、いや。最初は僕はそんなつもりはなかったんですけどね。ミシェルにも学園生活を、もっと楽しんでもらってもよかったし。でもその、えっと、まぁなんというか…」
「もう!トーイったら。トーイも法律クラスは終了させて、もうひとつの経営クラスだけにしぼって、あとは一緒にお店に立つんでしょ。そしたらもっと一緒の時間が増えるって言ってくれたじゃない!」
「ミ、ミシェル。恥ずかしいから言わないで!」
すっかり赤くなってしまったトーイと、嬉しそうなミシェル。
急な展開の話に驚いたけど、周りも幸せそうな二人を見守ることにしたのだった。
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「金の目の王子が覗くのは令嬢の妄想」
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