三学期-3
「ふう。やっと終わりましたわね」
「えぇ。これが来年もあるなんて。飛び級制度もあるって聞くけれど、挑戦する人の気が知れないわ」
淑女クラスの試験も終わり、カレンと筆記具を片付けながら話をする。
今日で一年度の全ての過程が終わった。
このあと一週間の休みがあり、試験結果が出れば修了式がある。
そして今からは…
「フリージアさーん!」
「あ、ミシェルさん。こんにちは」
「今から法律クラスの打ち上げよ。あー、やっと自由よー」
このテスト期間ですっかり仲良くなったミシェルさんが、誘いに来てくれた。
ミシェルさんの好きな人が誰かは『想いが通じるまでは』と、結局はっきり聞けていないが、話せば話すほど正々堂々として、いい子だと思う。
「じゃあカレン、淑女クラスの打ち上げのお茶会で会いましょう」
「あら、今日はアーノルド様のお迎えを待たないのね」
「彼は午後は教務部に用があるって言っていたのよ」
「そう。でもあまり遅くなると心配されると思うから、ほどほどにね」
「えぇ。ではまた」
「だーかーらー! あの時の討論会での敵チームの指摘に言い返せなかったことが悔しくて」
「確かに。特にトーイくんの指摘したことろは、私たちの対策不足だったわね」
「まぁまぁ。結局勝ち負けじゃなくて、発言内容のポイント制ではミシェル達も試験結果はいいはずだよ。よく調べてたじゃないか」
カジュアルなお酒も出すカフェを貸しきっての打ち上げ。
元気に乾杯したあとは、試験の話で盛り上がる。
15を過ぎた私たちは度数の低いお酒なら飲めるんだけど。
ミシェルさん、お酒飲むと絡むタイプなのね…
私はほんのり熱くなって、ふわふわしているくらいだ。
その後はみんなの将来の夢の話になる。
「私は弁護士になる!」
「俺は文官になる!」
「僕は家の商売を継ぐ!」
「私はその商売をそばでささえるー!」
皆が口々に決意を言うなか、ミシェルが大きな声でトーイのあとに続いた。
え…??今なんて??
フリージアの思考が止まる。
しかし、酔っているのかミシェルの言葉はあとに続くクラスメイトにかき消された。
フリージアがミシェルに聞こうとそちらを見ると、ミシェルはうとうとと、隣のトーイに持たれたまま眠りそうになっていた。
そして肩に寄り添うミシェルを、とても優しい顔でトーイが見ていた。
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「金の目の王子が覗くのは令嬢の妄想」
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