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私は最近入った仕事で残業が長引き帰りの電車が午後11になる事が多くなっていた。


「終電一本前とか本当に疲れるな。」


疲れからなのか、独り言を呟き自販機で飲み物を買って一気飲みする。

ふと自販機脇にある木の枝に手作りの御守りが引っ掛かっているのに気付いた。


「投げて引っ掛かけた下がり方だな………。」


大方、落ちてた御守りを悪ガキが投げたのだろう。


正義感に駆られた私は折り畳み傘を伸ばしてジャンプし、枝を叩くと御守りは見事落ちて内心ガッツポーズする。


「問題は最寄りの交番が次の駅なんだよな~。マジの最終電車になるけどまぁ仕方ないか。」


改札を通り片手に御守りをぶら下げてホームに上がりスマホをいじり出した丁度そのとき人の気配を感じてそちらを見ると驚いてる女性と目があった。


「………?!」

「ええと………何か?」


女性は私が持つ御守りを指差しジェスチャーするが興奮してるせいかめちゃくちゃで解らないが言いたい事は何となく察した。


「これもしかして、貴女のですか?」

「…………♪」


何度も頷く女性は嬉しそうに笑う。


『見つかって、良かった、ですね。』

『手話出来るんですか、見つけくれて有り難うございます。』


職場で耳が聴こえない同僚の為に覚えた手話が役立つとは覚えて良かった。

先ほどの女性は興奮してめちゃくちゃな手話だったから理解するのが遅れたけどね。


聞けば通勤途中で引っ手繰りに合いカバンを盗まれたらしく、犯人は捕まったが財布以外はこの付近に捨てたと聞いて捜していたらしい。

御守りは亡き祖母から受け継いだ大切な御守りらしくとても喜んでくれた。


彼女の自宅の最寄りは私の一つ前らしくそれまでは他愛のない話しをしていたら彼女の下車する駅についた。


『あのまた良かったらお話しさせて下さい。』

『もちろん、しばらくはこの時間ですから。』



彼女に電車内から手を振ってさて座ろうと座席に目を向ける。


ドン!


「うぉ!」


「ゴミ……。」


フードを被った男がわざと肩をぶつけて、閉まりかけたドアから降りていった。


「何なんだ、酔っぱらいか?やっぱ深夜は変な奴がいるんだな……今度彼女にあったら言っておかな………あっ名前聞いてない。」






───


一ヶ月後


あれから彼女とは友人になり休みにはボーリングやボランティア活動で手話教室の先生をしたり私経由で知り合った職場の同僚とはもうすっかり親友になっていた。


『それは、本当ですか?』

『………はい、気味の悪い落書きが家の回りに書かれていて、警察には相談したんですが真剣には聞いて貰えずに……。』


最近やたらと肩が重く、疲れがたまっていたそれも家の外壁に不気味な魔方陣ぽい落書きや、聴こえる筈のない電車の走行音などが原因だ。

職場の同僚である佐々木さんに愚痴を溢すと彼女は真剣に考えてくれて、申し訳なくなってきた。


『あの大したことないからそんなに気にしなくても……』

『胡散臭いと思われるから本当は言いたくないけど、山上くんは呪われたかもしれないよ。』


呪いなんて佐々木さんはからかってるのか?


そんな思いで佐々木さんを見るも真剣な顔で、まさか本当に?とごくりとツバを飲んだ。


『普通は信じられないと思うけど、呪いは実在するの。

只本当の呪いは解くことが出来ないし呪った本人と相手双方とも最後は死んじゃうの。』


「……え?『死ぬって大袈裟な…………まさか佐々木さんは誰かに騙されてたり』」


死ぬ……………その言葉に何故かフードの男が思い浮かびその不気味さから佐々木さんを私は疑った。


『ある意味騙されていたわ最初だけ………彼は呪いを楽しむ変人だから。実は山上くんも知ってる人よ。』


「楽しむとは違うな、人は美味な味に笑うだろ?それと同じ事だ。さて〖善意〗よ、美味くて不味い君の料理を所望する。」


「まさかのシットさんですか……確かに少し変わった方だとは思っていたけど。」


シットさんは三週間に一度来る変わった方で必ず私の料理を注文してくる。

私が働いてる飲食店は二人のオーナーがいて朝6時~13時までと夜19時~22時までと昼は女性に人気のランチメニューが多く。


夜は落ちついた雰囲気のカクテルバーに変わる。


私は夜担当者が育児休暇の間の半年夜の担当になっている。



『あら?珍しく同伴ですか、シットさんにも春が来ましたか?』


「『今晩は、シットは私の師の様な方ですからそれに男性との恋なんて()()考えてないので。私はジェラ=ヘルと申しますよろしく。』」








カタン、カタンタタン…………





微かに電車の音が聴こえた気がした。




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