三話
更新切れていてすみませんでした。これからまたがんばりたいです。
「おやおやおや?そこのお嬢さんは私のショーがお好みではないのかな?」
ギラリと光った目がルリを射抜いた。恐怖で足がすくんで動くことができない。
パチン
仮面の男が指を鳴らすと彼の右側にあった家々が吹き飛んだ。
パチン
左側の家や店が勢いよく燃えた。
パチン
いつの間にかルリと男の距離はほんの五歩程度になっていた。
ーー逃げなくちゃ。殺される。動け、動け私の足っ!
「どうしました、私のショーはすばらしいでしょう?拍手くらいくれてもいいものですが、その恐怖に満ちた顔を拝めたけどましたからよしとしてあげましょう。私は優しいですからね。」
ーー動くの、私っ!しっかりしなさいっ……。
「しかし、本当のショーはここからです。そう、ショーはお客様が共に楽しめてこそですからねぇ!」
仮面の男が笑う。ルリから視線をずらさずにささやいた。
「お嬢さん、最期がすばらしいショーの観客席だなんて素敵ですねぇ。それでは、さようなら。」
パチン
終わった。そう思ってギュッと目を瞑った。
しかし、いつまで経っても衝撃はこない。恐る恐る目を開ける。すると、ルリの周りを覆うように緑がかった透明の薄い結界が展開されていた。仮面の男の放った火は結界に見事に跳ね返されたらしい。男は眉を潜めていた。
「まったく美しくない……。このようなパフォーマンスは期待していないのですがねぇ……。まぁしかし、あの男の言っていたことが正しいとわかりましたからよしとしましょう。それでは」
状況がうまく理解できていないルリをチラリと見て、地面を蹴って後方へ跳んだ。「こちらが有利のようですからさっさと進めてしまいましょう。」と呟いて男は消えた。
「なに、これ……。」
男が消えたところを見つめたまま、ルリは呆然としていた。ルリの命を救った結界は、すでになくなっていた。左で音を立てて燃えている家々。消火のために徐々に町兵が集まってきている。
ルリはなにが起きたのかいまいちよくわかっていなかった。死ぬかもしれない恐怖。これまでに何度も感じたはずだった。しかし、穏やかに過ごしたこの数年でそれに対する抵抗力と、死を受け入れる穏やかさを綺麗に失ってしまっていたらしい。
そこからどうやって宿まで帰ってきたのかルリはよく覚えていなかった。気がつくとベッドの上にいて、夜を越えていた。夢だったと言えればどんなにいいだろうと天井を見つめて思った。