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言葉を重ねるしかないんだ(一日一詩(あくまで目標)

かご

ビニール袋のお布団で身動き出来ずに眠る

洗面所の時計が止まっていることを家族の誰も気付かない

歩くだけで擦り傷だらけになるおうち

空っぽの棚はもうどうでもいい、寒気がするだけ

お気に入りだったはずの服を踏む以外足場がない


生ゴミに湧いていた小さい羽虫は

毎日の食事に丁寧に煮込まれている

ショウジョウバエっていうの、知ってるよ

残すと怒られるから味を殺して口に入れる


新しくお友達ができたのよ

その子は毎日コンビニでおにぎりを買っているの

それで私に「毎日お弁当つくってくれるなんていいお母さんだね」って笑う

私はお弁当箱の底から出てきたゴキブリのあかちゃんを隠しながら

そうかな、って笑う


誰かに慰めてほしいわけでもなくて

ただ幸せな家庭だと思われていることを

その幻想を壊すことはひどく面倒くさい気がしたから


時計の電池をお小遣いで買ってこよう

見つからないように替えればきっと怒られないはずだ

そんなことが小さな反抗に思えた



いま止まった時計だらけのおうちの中で

困ったな、誰も許せないままで

引きこもっているというより塞がれていて

元気に病院に通う母親を尻目に

病院に行く元気すらなくて横になっている


ラジオから流れてくるのは老人にまだまだ頑張ろうというエール

葬儀費用くらいは子供に残しませんかという呼びかけ

そして神々しいメロディーのお葬式のご案内


あの元気な人たちの楽しい人生のレールは

いかにも天国に続いていそうで眩しくて気が遠くなる


すごく眠いの

ねえ、すごく、眠いのよ





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