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後輩とぼく ―あるいはどうして美少女にぼくは振り回されているのか―  作者: 軽井広@北欧美少女コミカライズ連載開始!
第一章

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14/16

監視役は従妹?

 昼休みの時間。

 教室にいたぼくは、クラスメイトの白川灯里に話しかけれられた。


「あんたにお客さん」

「ぼくに? だれ?」

「下級生の女の子。モテる男はつらいね」


 灯里は長身のすらりとした身体を震わせて笑い、ぼくの肩をぽんと叩いた。

 ぼくは灯里に礼を言い、教室の扉に向かった。

きっと桜井さんかな、と思ったぼくは、期待を裏切られた。


「兄さん?」


 そこにいたのは従妹の夕だった。

 夕がぼくの教室に来たのなんて、はじめてだ。


「どうしたの、夕?」

「ちょっと話がしたくて」

「珍しいね」

「来ないほうがよかった?」


 ちょっと不安そうに夕が言う。

 ぼくは両手を広げて微笑んだ。


「まさか! 大歓迎だよ」

「大歓迎されるってのもなんか変だけど」


 と、夕が言う。

 いつのまにか、灯里が背後に来ていた。


「へえ、あんたの妹?」

「従妹だよ。夕って言うんだ。そうそう、こっちはクラスメイトの白川灯里」

 

 といって、夕に灯里を紹介すると、灯里は珍しいものを見たという感じで夕を質問攻めにしていた。

 そして、


「ねえ、夕ちゃんから見て、こいつってどんな人?」

「えっと、だらしない人ですね」

「あらら、ひどい言われよう」


 灯里が面白そうに言うと、夕が慌てて付け加えた。


「でも、頼りになる優しい人です。……っといまのは聞かなかったことにしてください!」


 夕は顔を赤くして言った。

 最近、夕が冷たかったので、こんなに率直に褒められると、なんとなく慣れない。

ぼくは早口で言った。


「それで、話って?」

「桜井さんのことです」

「桜井さん?」

「あの子、毎日のようにこの教室に来ているんでしょう?」

「そうだけど」

「兄さん、あの子とは付き合ってないんですよね?」

「まあ、うん」

「だったら、あの子がここに来るのをやめさせるべきです」


 夕はきっぱりとそう言った。

ぼくは穏やかに聞き返した。


「どうして?」

「だって、兄さん、迷惑じゃないんですか? 好きでもないのに、毎日あの子につきまとわれて」

「迷惑だって思ったことは一度もないよ」

「そうだとしても、おかしいですよ。桜井さん、今日も来るんでしょう」


 なんだか夕はすごく強い口調だった。横を見ると、灯里が面白そうにぼくらを眺めている。

 ぼくが口を開く前に、後ろから軽やかな明るい声がした。


「せ、ん、ぱ、い! なにしてるんですか?」

「夕と話してる」


 ぼくがそう言うと、桜井さんが「あれ」という顔をした。

 

「これは珍しいですね」

「あたし、あなたに文句を言いに来たの」


 と夕が冷たい声で言う。


「わたしに文句、ですか?」

「学校の教室でまで、兄さんにつきまとうのはやめてくれる? 兄さん、迷惑してる」


 桜井さんはくすりと笑った


「わたしに嫉妬しているんですか?」

「嫉妬? なんであたしが、あんたに嫉妬しなきゃいけないの」

「あなたの大好きなお兄さんをとらないでほしいってことでしょう?」

「そ、そんなこと言ってない」

「こんな文句を言いに来ても、逆効果ですよ。だって、先輩がわたしに迷惑してるなんてありえないんですから」


 桜井さんは一瞬の迷いもなく言い切った。ぼくも思わずうなずく。

 夕はたじろぎ、なんだか泣きそうな感じになった。

 ぼくがフォローの言葉を言う前に、桜井さんは優しく言い聞かせるように夕に言った。


「羨ましいんだったら、夕さんもわたしと同じようにすればいいんです」

「同じように、ってどういうこと?」

「昼休みにこの教室に来ればいいじゃないですか」


 さらっと桜井さんは言う。

 どうしてそんなことを言うのか、とぼくが驚いているうちに、灯里が割り込んできた。


「それ、いいね。桜井ちゃんとこいつの従妹、一緒にいると面白そう」


 ただ面白がっているだけなのが明らかな無責任な発言だったが、桜井さんはうなずいた。


「灯里先輩もそう言ってますし」


 以前会ったときは相性が悪そうな二人だったが、いまは意見が一致している。

 桜井さんはくすくすっと笑った。


「ね、夕さん。このまま、わたしと先輩が仲良くしているのをほうっておいていいんですか?」


 夕はむっとした顔になった。つまり、あっさりと桜井さんに誘導されたのだ。


「そ、そうですね。あたしが、兄さんと桜井さんを見張ればいいんですものね」

「どうしてそうなる?」


 というぼくの言葉は無視された。


「明日からお昼ご飯持ってここに来ますから!」


 というと、夕は一瞬でいなくなった。

桜井さんは終始、笑顔だった。

ぼくはため息をついた。


「桜井さん。なんであんなことを言ったの?」

「だって、わたし、夕さんのこと好きですもの」「

「どうして?」


 と聞くと、桜井さんは唇に人差し指を当てた。


「だって、先輩の従妹ですし」

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