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形のない約束  作者: 紅月 遥香
3/4

はじまり、振り出し、、、、

ゴールデンウィークに投稿すると言っていましたが、無理でした。

おそらくいないと思いますが、待っている人がいたらごめんなさい。

さて今回は転移するまでを書きました。今の自分の生活が充実していてなかなか主人公に気持ちを寄せれず筆が進みませんでしたがなんとか書き上げました。

後々に響いてくる伏線も入れました。

ということで是非最後まで読んで欲しいです。 

最近、作品募集用のお話考えることに疲れてきました。




新しい2人の関係はどうなっていくのか、、、!


「ごちそうさまでしたー!夕食おいしかったでーす。」


今日は俺の家族と桃で夕食をともにした。俺が桃を誘った。


 「また来てね~」

母は笑顔で手を振っている。俺はエントランスまで見送ることにした。



「やっぱり大勢で食卓を囲むのっていいね。」

「そうだな。」

毎日1人で食事をする気持ちはわからないが、想像の中で寂しいだろうというのはわかる。

「また来ようかな~、妹さんともっとお話ししたいし!っていうか妹さんちょうだいよ~~!」

俺はかまわないよ、、、、。

「ライト、今日はありがとう!お母さんにも伝えといてね!バイバイ!」

「気をつけてな。」

 


桃は1人で帰る。暗い道、寂しさに包まれる。さっきまであんなに賑やかだったのに、、、、、。

また、ライトに誘ってもらえるといいな。

今が楽しい。

こんな日がずっと続いたら嬉しい。

私はそんな楽しい理想を思い浮かべながら夜道を歩く。


初めて桃は生きていて楽しいと思っていた。そう、、、、初めて。





 その頃、新井家ではーーーーーー


「ねぇ、斗真。どうやって桃ちゃんと知り合ったんだっけ?」

桃は初めての女の子の友達だった。なんだか恥ずかしいから曖昧に答える。

「前も言ったけど、地下鉄でいろいろあったんだけど、、。」

「そうだった、そうだった。前そういえば話してたわね!」

まだババアの頭ではなかった。母の記憶力の良さでもう一度詳しく説明しなくてすんだ。ありがとう。

「賢いっていうのは聞いてたけど、桃ちゃんすごいかわいい顔してるじゃない!スタイルもいいし。アイドルとか女優さんやれるレベルじゃない?」


「それにお兄ちゃんとは不釣り合いだよね。」

しれっと妹も口を挟む。一言余分である。


正直いままで外形なんて気にしたことがなかった。ずっと目を見て話してなかったから。顔なんて気にしてなかったから。

言われてみれば確かに、小さな顔、ぱっちりとした目、整った鼻、綺麗な桃色の長髪。美人な顔立ちが頭に浮かんだ。

そんな人と俺は友達なのだ。妹に不釣り合いだと言われてもおかしくない。それに出会いも普通じゃなかった。一般的に見たらこんな2人の組み合わせなんてない。


でも、桃といて楽しいことには変わりはない。

ずっと()()でいたいことに変わりはない。

ただ、このまま大人になって、桃と結婚して、2人共働いて、桃は大手の企業で働いて、俺は小さな会社で事務仕事でもしていて、子供ができて俺は家事と仕事をどちらも中途半端にやって、2人目の子供もできて、4人で楽しく過ごして、、、、、。

ずっと自分に“力”はないけれどもそんなんでもいいかなと思った。日々に小さな幸せがあれば。



このときはそんな夢を描いていた。



 ゴールデンウィークが終わる頃にクラスというものは形作られていく。目立つ子が定着したり、仲良しグループが決まったり、クラスの雰囲気が決まったり。俺は馴染めなかった。この時期に一度決まってしまった印象を変えるのは難しいし、怖かった。急に人に対して積極的に話しかけて「こいつ何なの」と思われるのが怖かった。

だから桃とだけうまくやっていけばいいと思っていた。

でも、下校中みんなで楽しそうに帰っている集団を見ると、友達を知ったからこそ憧れた。自分も仲間に入りたいと思った。でも、何もない。俺には何もない。その真理は変わらない。


やっぱり“力”、“特技”が欲しい。人に必要とされる存在になりたい。



 6月に入って梅雨がやってきた。降り注ぐ雨。曇り空を見て俺の心は憂鬱になる。

桃といるときは楽しい。学校に行くとつらい。メリハリをつけていたはずだが、桃の前でもつらい様子を見せてしまう時があった。

「なあ、桃。」

「どうした?ライト?」

それは日曜日。晴れていたから塾での勉強休憩で外の公園ベンチに2人で座っていた。

「もし、もし自分を証明できなかったら、どうしたら自信が持てるんだろう?」

何もない自分に自信が持てれば他人に対して1歩前へ踏み出せると思う。でもそれができない。

「私にはわからないかな。自分で言うのもなんだけど、自信があるから。ごめんね、ライト。」

低いトーンで謝られる。

「でも、」

彼女は続けた。

「私がいるから大丈夫。自信なんかなくても。ライトはライトなんだから!!私が証明してあげるから!!」

そう言って笑顔で俺の手を握ってくれた。

「そうだね、、、、。ありがとう。」

励ましてくれてありがとう、でもそれじゃあ俺は、満足できないんだ。

 

 俺は「新井斗真」として生きたい。俺にしかないものがほしい。

できないだろうと思っていた友達ができたのにさらに「力」も求める。俺は欲張りなのだろうか?俺はせっせと働く地面のアリを眺めながらボーッとしていた。

桃は自分の答えに満足してなさそうなライトを見て声をかける。

「今日は勉強やめにして、私の家で映画でも見よっかー!」

「えっ」

「ほら、早く行くよ!」

そう言って俺の手を取って引っ張る。気をつかわせてしまっただろうか?


 自習室に戻って荷物をまとめる。わざと少し遅めに自習室から出た。

「遅い!!」

怒られた。ほおを膨らませて。

「ありがとう、桃。心配してくれて。」

これを言いやすくするために遅く出た。

「いや、、、その、、、ただ映画見たかっただけだからね。慰めとかじゃないから!」

桃は顔を赤らめそっぽを向く。そして先に行こうとする。少し前までは俺が桃をおいていっていたのに、、、。

「ありがとう、、、、。」

先に行ってしまう桃の背中を見ながら俺は小声で言った。あの時の腐っていた自分を変えてくれたことに対して。




 桃の提案した通り映画を見た。1枚しかない座布団に2人で仲良く座って、小さな机に2人分の足を通して、机にはお菓子とコップ2つが置かれていた。2人とも細身なので窮屈ではなかったがかなり密着していた。両者ともなんとも思わなかった。スペース的にしょうがないから。それにおそらく恋心なんてお互いにないから。

映画は前々から桃が薦めてきたヒーロー系のものだった。隣から

「ここかっこいいよね!」とか

「ここ重要な伏線だから。」とか

「この動物かわいい!!!」とか、、、、、

副音声ならぬ桃音声が耳に入ってきた。映画に集中できないと思う人もいるだろうが俺はこのほうが楽しめた。たまにこちらからも質問した。もちろん優しく答えてくれた。

キスシーンになると桃は静かになった。なんだか気まずいので

「桃ってキスしたことあるの?」

と聞くと

「ないわよ、バカ!」

と恥ずかしそうに言ってきた。その後もなんだかブツブツ言っていたが、なんだかんだ目線はしっかりと画面に向けていた。こういうのが桃の理想なのだろう。

感動シーンでは見入ってしまっているのだろうか?桃は黙って画面に集中していた。まばたきすら全然しないし、何か考えているように真剣な表情をしていた。

映画は終わった。面白いお話だった。時々桃を観察するのも面白かった。桃は映画が終わってスタッフロールが流れているのにも関わらず画面をボーッと見つめていた。何度か呼びかけると現実に戻ってきた。映画の世界に浸りすぎである。


「まだ5時ね!まだ時間はあるでしょ!実はライトに見せたいものがあるの。」

机にあったコップやお菓子を片付けた後、桃は急にそう言ってきた。それにいつも土曜、日曜は7時に自習室を出て家へ帰る。まだ2時間もあった。

桃は自分の勉強部屋に行き、数十秒したら戻ってきた。彼女の手には赤い本が握られていた。

「これが見せたいものなんだけどー、この本、昔古本屋で見つけたんだけど、おかしいんだよね。」

本を机に置く。タイトルは俺の知らない文字で記されていた。なんとなくアラビア系の文字だと思う。たぶん違うのだろう、、、、。なんでこんな本を買ったのか理解できない。

桃は表紙をめくる。

俺は本の中身を見て、目が点になった。桃は言う。

「最初から文字が何もなかったの。」

めくっても、めくっても白紙のページ。ページ番号すらない。なぜこんなものが古本屋にあったのだろう。いや、どうして店主は買い取ったのだろう、、、、。疑問があふれる。

「ライトはどうして白紙だと思う?」

「う~ん、、、。」

うなりながら俺はページをめくる。どれだけめくってもやっぱり白紙。

と、ここで俺はスピン(本に挟まれているひものこと)が裏表紙に挟まれていることに気付いた。裏表紙を開く。

そこには魔方陣のようなものが右ページと左ページに1つずつあった。

「「何これ?」」

口をそろえて俺と桃は魔方陣に手を伸ばす。向かい合って座っていた。俺は右手で右ページに、桃は右手で俺から見て左ページに触れた。同時に、、。



“パッッッッッッッッッッッ!!”



 眩しい光が部屋を包む。光が消えた時、2人の姿はなかった。赤色の本もなかった。そしてその直後、地球の全ての時間は止まった。






◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆





 ずっと眩しかった。だから目をつぶっていた。どのくらい時間が過ぎたのだろうか、まぶしさを感じなくなる。俺は目を開けた。

「ここは、、、、。」

目の前には暗闇が広がっていた。地面には石畳が敷かれている。

立ち上がり周りを見回す。

俺のいる石畳は道だった。前後どこまでも続いているように思われる1本のまっすぐな道だった。等距離の間隔であんどんが置かれている。また、柵がないので気を緩めたら下に落ちてしまいそうだ。道は宙に浮いていて支える柱は見当たらない。道の下には暗黒が広がっている。底がある気がしない。

「進むしか、、、ないな、、。」

それしか考えることはなかった。本に触れた後にこうなってしまったのは覚えている。

それに隣に桃はいない。無事なのだろうか?そもそもここにいるのだろうか?今1番の心配。探さないといけない。

もしかしたらこの混沌とした世界に閉じ込められたかもしれないがきっとどこかに出口があるはず。探さないといけない。



 斗真はまっすぐ続く1本道を進む。彼に今、非現実的なここにいるという違和感はない。桃を見つけることでいっぱいだった。


 俺はずいぶんと道を進んだ。いまだ桃に会えない。不安になってくる。ただ、遠くに何か見えてきた。駆け足でさらに進むとそれはハッキリとした。円形の場所があった。そして人影が見えてくる。人の形をしたような人形ともう1人何か、、、、、。

「桃、、、、、。桃~~!!」

俺は大声を上げ桃の元へ駆け寄って行く。本当に良かった。無事で。

桃もこちらに気づいたのだろうか、こちらに振り向き

「ライト~!」

と大きく手を振っている。

俺は息を切らし円形の場所にたどり着いた。変な人形以外に特別なものは他にない。

「すまんのー。2人も入ってくるとは思わんかったから、ぬしを間違えて遠くに召喚してしまった。すまんの~。」

人形はペコペコと謝る。

、、、、、、。

しゃべったーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー。

よく見たら人だった。毛むくじゃらで小さくてわからなかったがまじまじ見たら仙人みたいなおじいさんだった。

「このじじいがここに呼んだらしいんだけど、ほんと最低よね、ライト。」

「ほ、、い。」

驚きを隠せず変な返事をしてしまう。仙人みたいなおじいさん、いや、仙人は話を続けた。

「ここは“還”。前へ進んでも後ろから戻ってくる。下に落ちても上から落ちてくる。まっすぐに見えても円のようにつながっている。そして、世界をつなぐ場所でもある。」

??

急に何を話しているの?ぼけたのかな?何を言っているかよくわからなかった。桃はこの話をすでに聞かされたのだろうか、つまらなそうな顔をしている。

「わしが生まれた世界、その世界で今、封印が解かれ滅亡の危機が迫っている。多くの敵が人々を懲らしめている。わしは故郷を守りたい。」

お年寄り特有の昔話であるのだろうか?

「ここからが本題じゃ。ぬしたちにわしの世界を救って欲しいのじゃ。この本に触ってここに来られるものは力のあるものだけじゃ。おぬしたちはここに来ることができた、すなわち力があるということ!頼む、手を貸してくれんか!この通りじゃ!」

仙人は土下座する。見るからに必死そうであった。


でも、力、、、、、?『力』なんて、そんなもの俺にはない。

「何かの間違いじゃないでしょうか?」

最初に自然に出た言葉だった。

「俺に『力』なんて微塵もありません。何もありません。普通の人間です。世界を救うことなんてできません、いや救う気もありません。いきなり言われたって。他の人が行った方がましです。」

桃は頭脳があるから何かできるかもしれない。でも俺は、何もできない。何も役に立たない。まだ今の生活のほうが何かできるかもしれない。


でも、もし、力を与えてくれるなら、、、、、

「なになに。心配せんでも大丈夫じゃ。わしの世界ではぬしの世界にはない“魔法”を発揮できる。ぬしからは特別な“魔法の力”をとても感じる。」

ここで桃が口を挟む。

「急に話を進めないでよ。私たちには地球に大事なものがたくさんある。将来の夢もある。なんでそんな世界に行って人助けしないといけないの?自分たちの世界は自分たちで守るのが普通でしょ?早く元に世界に戻してよ、じじい!」

正当な理由である。ただ、仙人は無視して斗真の近くへ寄っていく。そして耳元で、小さな声でささやく。

「ぬしは今の生活に不満を持ってるじゃろ?夢なんかないじゃろ?()()()()()()()()()()()、、、、、、。ならいいじゃないか、『力』のある自分を味わいたくはないか?人に必要とされる世界、誰よりも劣ることのない力、そして多くの人をぬしが救うことができる。それは英雄じゃ、どうじゃ、、?」



 「力」が手に入る。

    人のためになれる。


 地球ではそんな希望を見いだせないがその世界なら手に入れられる。より自分でいられる。きっと今とは違う楽しい生活を多くの人と送れる。俺の理想が叶えられる。


「ライト、こんなじじいの話なんて信じちゃだめだよ!こんなことあり得ない。今の状況も。それによくいるでしょ、嘘ついてその気にさせる人。」

私は仙人をライトの前からどけて、彼のそばでそう言う。

ライトは俯いていた。

ただすぐに顔を上げ私の肩に両手を置く。

「ありがとう。」

ライトはそう言って私に笑顔を見せた。そして無造作に手を引き仙人のそばへ向かっていく。

「ぬし、元の世界に戻りたいんじゃな。残念じゃがぬしの勝手、、、、、、」


「こんな俺が人のため、いや人を救えるのなら協力したい!」


ライトの口から出た言葉は私にとって意外なものだった。

「もう一つの世界に俺は行きたい!」

私はライトにそんな決心があるとは思わなかった。こんな2次元的な流れにのることに。

「桃、ごめんね。わかってる、こんなことおかしいってわかってる。でも、でも、少しでも()()()があるのなら、俺はこうしたいんだ!!」


『力』がある自分、人に必要とされる自分で俺はいたい。何もないのはもう嫌なんだ。桃がそばにいてくれるだけじゃ、満足できないんだ。自分で事をなしたいんだ。


「そうかそうか!なら、転送の準備じゃ!!そっちのぬしはどうするんじゃ?元の世界に戻るんか?」

数秒の沈黙の後桃は口を開いた。

「私も行きます。」

俺は驚いた。



***********************************



 私はずっと浮いていた。頭が他人より良すぎて。一緒に話をしていても、いつの間にか周りの人は空中に「?」を浮かべる。それにライトには隠していたけど私はかなり有名な社長の娘。私をたたえるようにみな接する。


みんなは優しくしてくれる。頭がいいというだけで。有名な社長の娘というだけで。

いつもなんだかんだ独り。楽しく勉強を教え合いたいのに。普通に会話をしたいのに。

私はずっとそう心で思っていた。特別扱いして欲しくなかった。


そんなとき、ライトと出会った。私が一方的に話してもどうしてかちゃんと聞いてくれた。きっと理解はしてないと思うけど。でも、いつも聞いてくれた。

だんだん私を毛嫌いしてるかなーと思ったけど、違った。お見舞いに来てくれて、なんだか急に愛想良くなって、夕食にも誘ってくれて、、、。描いていた、ずっと描いていたことが現実で起きた。

本当は、、、本当はこのまま一緒にいたいけれど、、、。2人で楽しい生活を送りたいけれども、君は、、そっちを選んだから、、。

私はーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー。だってそれが()()()()()()()()ーーーーーーー!




***********************************



 私は決心して言葉を発する。

「家族とは離れっぱなし、仲のいい友達なんてあんまりいない。それに私の将来の夢は多くの生物の命を守ること。よく考えれば人々を救うからそっちの世界に行っても何も不満はない。それに、、、、、」

ライトを見る。

「、、、()()だから。いや、()()だから。もしこのじじいが嘘つきだったら、ライト独りじゃきっと生きていけないでしょ。誰が支えるの?」

私は遠回りに一緒に行きたいと伝えた。素直には言えない。


俺は嬉しかった。

桃に“親友”と言われて。“親友”だと思われていて。そして一緒に来てくれることも。

「わがまま言ってごめん。そして、わがままに付き合ってくれてありがとう。」

「わがままに付き合ってないから、私の意志だから!それに私はライトのお母さんじゃないんだから!」


「「ふふっ!!」」

2人で同時に笑った。嬉しいのか、照れくさいのか、桃のボケが面白かったのか(それはない)よくわからなかった。


「そうかそうか!2人とも来てくれるのか、ありがたいのー!なら、、、」

桃は割り込む。

「でもまだ100%行くとは言えないわ。疑問がたくさんある。例えば今から私たちがその世界に行って仮に魔法が使えたとしても、使い方がわからない。敵にやられて一瞬で死。そのあたりをしっかり説明して欲しい!」

俺は何もその辺のことを考えていなかった。ただ『力』を求めているだけだった。自分の軽率さを責めた。そして桃の頭のキレをうらやんだ。

「おーー、忘れておったのー。もちろんちゃんと説明するぞい。おそらく不便は何もないはずじゃ。」

仙人は詳しい説明をし始めた。



 まず地球について

 俺たちが世界を救う、または2人が死ぬまでは時間は止まっている。救い終わったら時間は動き始める。

 その時生きていれば地球に帰るか帰らないか、今までのもう一つの世界での記憶を消すか消さないか選べる。もし帰る場合、体の状態はこの本に入る前の状態、つまり高3の6月からまた始まる。


 死んだときについて

 死んだらおしまい。地球には帰れない。都合のいいように事故などで死んだことになる。


 向こうの世界について

 名前は「ランゲル」。

 魔法を体得してもらうために今から5年前のランゲルへ行ってもらう。そこの学校で魔法を学んでもらう。仙人が十分に力がついたと見なしたらいったんここ、“還”に戻される。連絡もなく急に。そのため1ヶ月程度で戻される可能性もあるし、5年経過してしまって力が不十分なまま滅亡の時を迎えることもある。

“還”に戻された場合はそれ相応の時を進め今の世界へ送る。つまり1年で“還”に戻されたら4年ほど時を進め今の時間帯にしてからランゲルへ送られると言うことである。

ランゲルで仙人と連絡を取ることはできない。


 その他のこと。

 「5年後に危機がやってくること」を5年前の世界で誰にも言ってはいけない。言ってしまったら死ぬようになっている。

 言語は地球と同じだが、英語がない。“アップル”という名前があったとしてもリンゴの意味はない。カタカナはある。

 途中で帰ることはできない。救うか死である。


 報酬について。

 願いを1つ叶えることができる。



「そんなもんかのー。向こうへ行けば、まあいろいろわかるじゃろ。」

若干適当な仙人だとは思うが、俺と桃は納得した。『救うか死か』、そうだとしても覚悟はあった。

俺は願いなんてどうでもいい。『力』によって自分という存在が証明できれば。

「それじゃあ、ぬしらを転送するぞ。その輪の中に入れ。」

仙人はすでに魔法陣?を描いていた。


「ねえ、、ライト、、」

桃が話しかけてくる。

「これからもよろしくね!」

手を差し伸べてくる。なんて声をかければいいかわからなかった。ただ、これは言いたかった。

「むこうでも、親友だから。」

手を握る。するとすぐに光に包まれる。桃が何か言った気がしたがよくわからなかった。俺は体が浮く感じを感じた、、、、。


新たな人生が始まるのだった。



次回、ランゲルでの変わった生活が始まる!?




本当に、ここまで読んでくださって、まじまじ感謝です。

ここからは面白くなっていくと自分では思います。愉快な仲間達を見届けて欲しいです。

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