惨劇前夜
━━私は霊能力者のことはよく分かりませんが、歩美ちゃんと総純君は、なんでも霊能力を高める特訓をしていたとのことです。日本に古来からある、柔術をやっていたんだとか・・・総純君はわけわからないながらも、仕方なく付き合っていたみたいです━━
「そうなんだ・・・」
一応納得した様子の理子。
「うん」
ホッと一安心した様子の総純。
「何で柔術練習することが、能力高めることに繋がるのか、よくわからないけど」
「とにかく帰って、理子ちゃんの料理食べるよ」
「えっ? 理子ちゃ・・・」
下を向いて赤面する理子。
「あっ、そうだ。迷ってて直前になっちゃったんだけど、明日の校内宿泊会、総純君も参加しない?」
「えっ?」
「やっぱり、このままじゃいけないと思うし・・・」
総純はしばらく考えた後、
「う、うん。参加してみようかな・・・」
「うん。参加しよ」
笑顔の理子。
総純の家。理子の料理を食べながら、総純と歩美が激論を交わしている。
「行く!」
「ダメ!」
「行く!」
「ダメ!」
「理子ちゃんの作る料理、いつもかぼちゃ入ってて、甘味あって美味いな」
無理に話題を反らそうとする総純。
「とにかくダメだから!」
「でもこのままじゃ僕の病気治らないと思うし」
「総純の病気は絶対治らない!」
「えっ?」
真顔になる総純。
「何で・・・?」
「あ〜とにかく寝よ寝よ」
そう言って布団に入る歩美。
呆然とする総純。
次の日の早朝、総純は歩美が寝ているのを確認し、荷物を持って外に出る。
ガタッと、引き戸が閉まる音がすると、目を開ける歩美。
「やっぱり出て行ったか・・・」
起き出し、風呂場に行って、桶に溜めてあった水で、バシャッと顔を洗う。
「よし!気合いを入れろ!歩美!」
バシッと、両手で自分の頬を張る。
━━校内宿泊会に、私と総純君は参加しました。予想通りというか、誰も何の反応も示しませんでした。総純君に殴られた生徒も、何とも思ってなかったのか、特に何の反応も示しませんでした。総純君の病気(?)も出てないようで安心しました。
私たちは、レクリエーション、バーベキューなど、楽しい一時を過ごしました。他の生徒たちとも、徐々に打ち解けた感もありました。父の死は悲しいけれど、これからは楽しい学校生活が送れそうだとの期待感もありました。
この時は、まさかこれが総純君との最後の楽しい思い出になるとは、思ってもみませんでした・・・。
まさかあのような血の惨劇が起きるなんて・・・
歩美ちゃんはその日の朝、かなり気合いを入れたみたいで、やはり何が起きるのか分かってたみたいです。
その日の夜は、満月だと━━




