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紅頭巾Ⅱ ~彷徨の館~  作者: サッソウ
6/14

第六篇 Nothing venture nothing have.

 タイトルは、Nothing(ナッシング) venture(ベンチャー) nothing(ナッシング) have(ハブ).と読み、虎穴に入らずんば虎児を得ずという諺です。

 紅達は、未だに館で彷徨(さまよ)っていました。

紅の母親の魔法によって、館から出ることができないのです。雨がやんでも暗い雰囲気は変わらず、不気味です。なんか出そうです。

 館内1階。ドアを開けては閉めてを繰り返しますが、一向に脱出口は見当たらないです。

「クレナイマジックでどうにかなりませんか?」

 熊沢は紅にそう言いました。

「……やってみようか?」

 紅は、人差し指で中空に何かを描きます。そして

「したよ」

 しかし、変化は見当たりません。

 そのまま、時間だけが過ぎていきます。

 熊沢は、黙ってドアノブに手をかけると、

「あっ、ドアが普通にオープンするようになりましたね」

 次の部屋の中へ。すると、

(よう)(かん)?」

 羊羹がその部屋の中央で宙に浮いていた。

「もしや、無重力? ここは宇宙だったのか!?」

 熊沢のボケにツッコミを入れる者はいなかった……ので、

「ハンドパワー!」

 熊沢が(とっ)()に(?)叫びました。

「言ってる場合か!?」

 と、飛蝗くん。

(よう)(かん)が浮かんでる!?」

 紅達の目の前に、空飛ぶ羊羹が。

「美味しいのかなぁ~?」

 と、熊沢さん。

「あの羊羹を見て、よくそんなこと思えるよな……。普通は不気味がって、食おうなんて気はしないだろ」

 と、飛蝗くんが言ったが熊沢さんは無視です。

「羊羹が動き出したよ!」

 紅が叫んだとおり、羊羹は左へと移動する。しかも、どんどん速くなり、部屋の壁を破壊した。って、えぇ!?

「そんなバカな……」

 そんな飛蝗をよそに、紅と熊沢は羊羹の行方を探ります。

 熊沢さんは急に、

「うさぎは、我々を欺くように、館を50Gal(ガル)で逃げ回っている。がさ入れして、洗うぞ。そうしたら、ガラトリだ。ヤツは(たん)(ぱん)の可能性が高い。ブリッジを封鎖しろ!」

「……ツッコミ、いる? かろうじて、最後のボケが分かるかもしれないぐらいだけど……」

 同時に、飛蝗はため息をつきました。

「警察用語で、うさぎは逃走犯。がさ入れは家宅捜索。洗うは身元調査。ガラトリは逮捕。単犯は単独犯って意味です」

 熊沢が笑顔で答えました。説明が必要なボケって何でしょ……。

「ガルって何?」

 紅が聞くと、熊沢は

「Galは、1秒間に1センチメートル毎秒の加速度の大きさです」

 ちなみに、国際単位はメートル毎秒毎秒。

  1Gal = 1cm/s2 = 0.01m/s2 。

「分かんない」

 と、紅。

「大丈夫。私も分かんない」

 といい、熊沢はすぐに切り替え、

()(ぐら)の水羊羹は何処(いずこ)へ!?」

「何か、勝手に決めてないか? 小倉や水羊羹って確証あるのか?」

 完全に呆れた飛蝗の重いツッコミ。

「あっ、イヨカン!?」

 紅、(きょう)(がく)しすぎて、羊羹が何故か伊予柑に!? 舞台設定がもはや、滅茶苦茶なんですが……。

「こっちに来る!!」

 紅は伏せ、飛蝗は壁の方へ避けます。

 羊羹は熊沢の目の前に!! 熊沢は口を大きく開ける!

 羊羹、急ブレーキ! 車じゃないけど、羊羹も急には止まれない。羊羹は熊沢のおなかの中へホールイン。

「まいう~」

 熊沢のボケにツッコミを入れる者はいなかった。


To be continued…


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