第3話《過去と委員長の仕事》
「ん?」
起きたら黒髪の美少女が、すぐ近くの椅子に座っている。
寝起きにすぐそこに美少女がいるなんて、全ての男子諸君の夢だろうが、今はそれどころじゃない。状況が理解できない。
どうやら雰囲気からして保健室のようだ。
気絶前のことも思い出してだいたい把握した。
「あの、大丈夫ですか?」
心配そうに聞いてくれる。
「うん。もう大丈夫だよ。」
まぁ打ち身やらなにやら痛いには痛いが骨折はしてないし問題は無いだろう。
そういえば見覚えがある。確かクラスメイトの、、、
「小清水さんだっけ?」
「はい!」
そこはかとなく違和感を感じた。
「小清水さんこそ大丈夫?」
「私はお蔭さまで、、、」
「良かった」
「あの!ほんとすみません!」
「いやいや、全然気にしてないって!」
コンパスやらチョークやら投げてくる奴らのせいで感覚が狂ったのかもしれないけど、女の子のミスを責めるつもりはないしね。
もう6時か。相当寝てたらしい。スーパーに寄ってから帰るか。
小清水さんがついてきてる
「あれ?小清水さんの家ってこっちの方なの?」
「はい!」
あ、イオ〇ンが見えてきた。
「じゃあ僕はここで。」
「もしかしてイオ〇ンに行くんですか?」
「そうだけど。」
「奇遇ですね!私も丁度イオ〇ンで夕食を買おうと思ってたんです!」
~イオンの中~
あれ?もしかしてあれって
「姉さん?」
「陽太か!なかなか帰ってこないから晩御飯がないから買い出しにきてたんだぞ」
え!?あの姉さんが買い出し?料理をしようなんて思うようになったの!?、
「姉さん、、、ついに料理を?」
「弁当をな」
ほら、姉さんを見直した僕が馬鹿だった。
というか弟の心配より自分の晩飯ですかい。
「それより陽太?隣の女の子は彼女か?入学早々やるねぇ」
「小清水さんとはそんなんじゃないよ。」
「知ってる知ってるみーちゃんは覚えてるよ」
なんで小清水さんのこと知ってるんだ?
てかみーちゃんって
そういえば小清水さん美奈って名前だっけ
「姉さんなんのことさ。みーちゃんって」
いや、どこかで確かに聞き覚えがある、、、?
みーちゃんって言ったら、、、、、
「...みーちゃん?」
「やっと思い出したんだね。陽くん」
小清水さん、いや、みーちゃんは幼馴染だ。
昔はよく遊んでいたけど6年前に転校した。
随分と昔のことだしよく向こうは分かったものだなぁ。
というかすごい成長している。主に胸元とかおっぱいとか。
それとも僕が成長してないのだろうか。
結局買い物を終え別れを告げた。
因みに姉さん本人がいたから茄子は買えなかった。
まぁ今はそんなのどうでもいいが。
~翌日~
昨晩はろくに眠れなかった。
まぁ、女子と仲良くなったり昔幼なじみだったのがわかったあとの男子高校生なんてそんなものだろう。
教室に入った途端光るナニカが飛んできた。映画のごとく躱した。あれ絶対顔狙ってたよね!後ろを見るとハサミが壁に突き刺さっていた。ねえ?ハサミって壁に簡単に突き刺さるものなの!?
因みに聖西院は名門進学校ではあるが、意外に入学試験自体は緩く上は全国模試上位レベル下は偏差値50程度と幅が広いのだ。
誰かが歩み寄ってきた。確か矢野君だっけ?矢野くんは爽やかな挨拶をしてきた。
「おはよう!成星君!」
「じゃないよ!さっきのハサミはなにさ!」
「挨拶さ!」
この高校の挨拶は怖い。
~放課後~
今僕のすぐ隣に学年1の美少女と入学初日から言われている清光院さんがいる。
こんなのバレたら男子共からのコンパス別にそんなんじゃない。
なんでも教科書を教室まで運べとのことらしい、、、
のだが他のクラスの分まで運べってどういう事だ!
うちの高校は合計10クラス×教科書類は15冊×1クラス30人
つまり4500冊だ。
僕は1度に両手に1束(30冊)ずつ清光院さんは1度に1束といったところだろう。
そう考えると
「はぁ...100往復か、、、」
「50往復よ」
僕の学力がバレた気がする。
自慢じゃないが僕の学力は小3程度と姉さんに言われている。
「あなた、主席でしょう?」
マズイ。これでは僕の知的なイメージが崩れ去ってしまう。
「当然!」
「まぁ誰でも計算ミスくらいはあるわよね」
「うんうん」
何とかなったがこの調子だとバレる。
~37往復目~
ドンッ
清光院さんがバナナで滑って教科書を落としてしまった。
バナナってほんとに滑るんだ。マ〇カーの中だけかと思ってた。というかそれ以前に学校でバナナを食べて捨てるやつっているんだ。
と僕の中の常識が覆された。
「大丈夫?清光院さん。」
「ぇ...えぇ大丈夫よ。」
ここでばらばらになった教科書を2人で拾うのは定番イベントだが教科書はまとめられていたのでそのイベントは起こらなかった。
幸いにも教科書に傷は入ってなかった。
正午になる頃ようやく運び終えた。
100往復じゃなくて50往復だったがどちらにしてもあの担任馬鹿だろう。いつか復讐してやるのを心に誓った。
「大変だったね。」
「えぇ。て仲良くなった覚えはありませんわ!」
怒られてしまった。