第1話《入学式と主席合格の秘密》
「陽太~朝ごはん」
姉さんに朝ごはんを要求される。
いつもの事だ。
いつも通りの朝だ。
しかし、僕にとっては特別な日だ。
朝ごはんを食べ終え、新しい制服に身を包み鞄を背負う。
「いってきまーす!」
姉さんから返事はない。さては寝てるな?いつもの事だけどちょっと腹たったから、今日の晩ご飯は絶対に茄子尽くしにしてやろう。
そう決意をしつつ、僕は新しい学園生活への1歩を踏み出す。
入学初日は友達作りにおいて最も大事といえよう。最初のイメージがそれ以降の学園生活に繋がる。不安と緊張を胸に僕は1年3組のドアを開き教室に足を踏み入れる。
「えーっと席は、、、、ありゃ?」
何故か座席表に僕の名前がない。
ポケットからある紙を取り出し見てみると...
!!!!!
謎はすべて解けた!
どうやら僕は1年3組じゃなく2組だったようだ。
入学早々やらかしたことを後悔しつつ、忍びのごとく気配を隠し何事も無かったかのように1年3組の教室を去る。
次こそは間違っていないことを3度確認し、1年2組の教室に入る。
良かった今回は席があった。席は真ん中の一番後ろだ。
前の席のやつに話しかけてみようかな。
件の紙で名前を確認する。日比谷君か
「よろしく!日々谷君!」
「俺は日比谷だ!お前の手元の紙に読みくらい書いてただろ...」
またやらかしたらしい。こうなれば...
「細かいことは気にしないでさ。ね?」
開き直ろう!
「俺は気にするわ!俺は日比谷重人だ。よろしく頼む」
「じゃあしげっちで!」
「せめて重人にしてくれ...」
「じゃあしげぽん」
「どこのゆるキャラだ!」
「じゃあ何って呼べばいいのさ?」
「だから重人でいいって...」
丁度チャイムが鳴った。皆一斉に教室を出ていってる。
入学式のチャイムのようだ。
~入学式~
PTAの会長や校長、理事長の話が終わる。
「次は新入生代表挨拶。新入生代表、成星 陽太」
そう、僕は主席合格したのだ。
~一旦戻って入学試験~
僕はこの日自信満々に試験に望んだ
そう。僕はこの日のために平日ですら6時間も自主勉強をしてきたのだ。
そう、カワイイ子が多いのでも有名なこの高校に入るために!
血と汗の望むような努力を積み重ねた今の僕ならきっと、、、きっと、、、解け、、、、ない。
まったくもってわからないじゃないか!
さすがは自称進学校じゃない正真正銘の進学校なだけある。
がしかし!僕には最終兵器があるんだ!
そう!中学2年生の時に先輩から譲り受けた正答率30%を誇る鉛筆!これで赤点は免れるはずだ!
入試に赤点なんかあるのかしらないけど。
そしてその数日後全教科100点で主席合格したことを告げられた。
因みに次席は1教科だけ99点だったらしい。
どうやら鉛筆に対する愛の差が出たようだ。
~ここで入学式に戻る~
結果新入生代表挨拶をさせられることになったのだが、、、
僕は壇上で黙ってしまった。
何を隠そう。学校に渡された文章の漢字が読めないのだ!
数秒後裏側に同じ文章があるのに気付く。
ふりがながあるじゃないか!
助かった。
こうして僕は入学早々、大恥を書きそうになるピンチから免れたのだ。