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腕輪の機能

 待機時間のカウントダウンが終わると、クロスは目の前が真っ暗になり次に目にした光景はスタート地点の広場だった。


 「はぁ、死に戻ったのか。」


 クロスは落ち込んだ様子でボソリと呟くと、近くにあったベンチに肩を落として座る。

 その様子はまるで、リストラされたサラリーマンが公園のベンチで一日中座って時間を潰している様な哀愁漂う姿だった。


 「おーい、クロス殿ー!」


 先程まで一緒にいたプレーヤーの声がする。

 顔を上げて見ると、黒い毛並みの獣人がこっちに走ってくる。

 そして目の前まで来るといきなり頭を下げて謝る。


 「クロス殿、先程はまことに申し訳ないであります!」

 「いや、ミックが謝る事ないよ。俺の不注意だから。」

 「でもーー」

 「ハイハイ、この話はもう終わりな。それにしても、よく俺の居場所が分かったな?」


 クロスは、まだ謝ろうとするミックの言葉を遮って、強引に話題を変える。


 「それは、死んだ場合、最後に立ち寄ったポータルがある街に戻されるという事になっているからであります。」

 「なるほど、そうだったのか。そういやぁあの時、俺に話しがあるとか言ってなかったっけ?」

 「おぉ、そうであります。そのアバターの事について話しを聞きたかったであります。せっかくなので、食事をしながらでもいいでありますか?」

 「ああ、いいけど、あの時も言ったけど大した話しじゃ無いぞ?」

 「構わないであります。近くに酒場があるであります。そこに行くであります。」


 ミックに連れられクロスは酒場に行くのだった。



*****



ラッキーの酒場という店に案内され、その一角に座る二人。


 「じゃあとりあえず、カンパーイであります!」

 「乾杯。」


 二人はコップを軽く打ち合わせて飲む。

 クロスはビールを飲んでいるが、ミックは未成年だそうでジュースを飲んでいる。


 「ふー、ゲームの中といっても昼間から飲む酒は旨いな!」

 「そういうものでありますか?吾輩には分からないであります。それで、聞く前に改めて自己紹介するであります。吾輩は獣人族のミックであります。ちなみにジャガーの獣人であります。正確にはブラックジャガーでありますな。」

 「へ~ぇ、ジャガーだったのか。てっきり豹かと思ったよ。」

 「まぁ、ジャガーと豹は余り違いは無いでありますからムリも無いであります。それより、クロス殿は鬼人族で間違いないでありますか?」

 「ああ、鬼人族で間違いないぞ。」

 「そうでありますか・・・しかしでありますな吾輩、種族選択の時にすべての種族を見たでありますが、クロス殿のアバターは見付からなかったであります。」

 「そうなの?う~ん、俺が種族選択した時には鬼人族としか表示されてなかったから鬼人族であるのは間違いないと思うんだけどなぁ。」


 それから暫くミックは何か考えていたが、やがて何かを思い出したかの様に口を開いた。


 「クロス殿、吾輩、AFLOアフロの掲示板にあったある噂を思い出したでありますが、知っているでありますか?」

 「噂?そんなの聞いた事無いなぁ。で、その噂がどうした?」

 「噂をというのは、格がある種族で選べるのは上位まででありますが、さらに上の最上位が存在するという噂であります。鬼人族の場合、種族選択で選べる上位の格は、上級鬼までとなっているでありますが、さらにその上の存在という事であります。」

 「へ~ぇ、それで?」

 「その最上位というのが、一つとして同じモノが存在しないというレアなアバターなのであります。そして、鬼人族の最上位は格に個体名がついてるそうであります。公表はされて無いでありますが、噂がある以上、吾輩は存在すると思っているであります!」

 「まあ、火の無いところに煙りは立たないって言うしね。デマじゃない可能性もあるか。で、その最上位ってアバターの存在は確認されたの?」

 「いえ、まだであります。そこでクロス殿であります!吾輩、先程も言いましたが、種族選択の時にすべてのアバターを見たであります。その中にクロス殿のアバターは無かったであります!だからクロス殿のそのアバターが、もしかしたらと思っているであります‼」


 ミックはそこまで言うと、グイッとジュースを飲み干す。


 「そんな言われると、俺も気になるな。で、どうやって確認するんだ?」

 「え?普通にステータスウィンドウで確認出来るでありますが?」

 「そうなのか?そのステータスウィンドウはどうやって出したらいいんだ?」

 「は?もしかしてクロス殿は、VRゲームするのは初めてでありますか?」

 「いや、VRゲームはしてるよ。ただ、今までやってたのと仕様が違うから分からないんだ。」

 「因みに、今まではどんなのをしていたでありますか?」

 「今までは、格闘技系とかレース系だなぁ。」

 「そうでありましたか。ではRPG系は初めてでありますな?」

 「そうだな。」

 「そういう事なら説明するであります。」

 「ありがとう。助かるよ。」


 クロスは教えてもらうお礼にの代わりに、ミックにジュースのおかわりを注文する。

 ミックはそれを受けとると、説明を始める。


 「まず、吾輩たち冒険者、つまりプレーヤーは冒険者の腕輪というアイテムを装備しているであります。」


 ミックはそう言うと、自分の右腕をクロスに見える様に胸の前に持ってくる。

 そこには、水色の水晶が付いた腕輪があった。


 「それで、この腕輪に付いている水晶を触ると、システムメニューが現れるであります。そこのステータス欄を選択すると見れるであります。」


 そう説明を受けると、クロスは自分の右腕に付いている冒険者の腕輪の水晶を触る。

 すると目の前に、システムメニューが出てきた。

 そこには、


  ・ステータス

  ・装備

  ・スキル

  ・アイテム

  ・フレンド

  ・クエスト

  ・マップ

  ・各種設定

  ・ログアウト


 と、あった。

 そこでクロスは、ステータスの欄をタップしてステータスウィンドウを開く。


  名前 クロス  性別 男  職業 侍Lv1

  種族 鬼人族  格 酒呑童子


  スキル 格闘技Lv1(New) 気配察知Lv1(New) 索敵Lv1(New) 威圧Lv1(New)


 クロスは自分のステータスを見て種族を確認すると、驚きの余り硬直する。


 (おい、マジかこれ!)

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