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始まりの街

〓〓〓〓〓始まりの街ファース

 リレオ大陸の東に位置し、背後に霊峰ラスカを望む観光が主な産業の街。



*****



 ルネサンス様式の建築物が建ち並んだ石畳の道は、昨今のファンタジーの例に漏れず中世ヨーロッパをイメージした街並みになっている。

 そんな街の中心にあるオベリスクがそびえ立つ広場に、クロスは転送される。

 周りを見れば、クロスと同じ様に転送されて来た人が次々と現れている。


 (待ち合わせまで時間あるし、街の中見て回るか。)


 そう考えて適当な方向へ歩き出す。

 だがクロスは知らない。

 クロスの後を付ける二人組がいたことに。



*****



 クロスが暫く街を散策していると、妙な感覚がする事に気付く。


 (機械の不具合?いや、違うな。このモヤモヤ感はどこからか飛んで来てる感じがする。多分、見られてる?)


 そう考え、近くの露店を見る振りをしながら、その感覚を辿る。

 最初はボヤ~っとしか分からなかったが暫く集中して探ってのうちにハッキリと分かってくる。


 (右の屋台の影に二人か。)


 そう確認すると再び歩き出す。


 (付いてきてる。恥ずかしくて声かけられないのかな?)


 そんなずれたことを考えながら、人通りの少ない路地を見つけて入っていく。



*****



 そろそろ路地も終わり通りに出ようかという所でクロスは困惑していた。


 (中々話し掛けて来ないな~。こっちから話し掛けるべき?)


 そう思い振り返ろうとすると、背中に鋭い痛みが走り、続いて背中で爆発が起きる。


 ドカァァン


 「ぐぁっ!?」


 爆風に飛ばされて通りの反対にある屋台に吹っ飛ばされてしまう。

 その際に、吹っ飛ばされて来たクロスと壁にプレスされ気絶する店主。

 突然の爆発音と吹っ飛んできたクロスに驚き、騒ぎ出す周囲。

 そして、路地からクロスを襲撃した剣士の男と魔法使いの男が出てくる。


 「痛てててて。」


 クロスが振り向きながら起き上がろうとすると、そこへ剣士の男が斬りかかって来た。

 それを転がって避けると、魔法使いの男が放ったファイヤーボールが直撃し壁に叩きつけられる。


 「ぐうっ!」

 「へへへへへ、ヒットぉ~!」


 魔法使いの男が笑いながら再び魔法を使おうとすると、剣士の男がそれを止める。


 「待て待て。鬼人族には魔法の効果が薄いんだから無駄撃ちするんじゃねーよ!」

 「ッチ、しゃーねーなぁ。でもよ、コイツのカーソル青だぜ?プレーヤーじゃねーのか?」

 「バカ、お前こんなダンジョンボスみてーなのがプレーヤーなわけねーだろ!配信初日だからバグが残ってんだよ!」

 「なるほど。そういう事か!じゃあ、他の奴に殺られる前にさっさと殺っちまうか!」

 「おう!コイツを殺りゃあ、俺らは一気にトッププレーヤーだぜぇ!」


 そんな二人組がアタマの悪い会話をしているうちに起き上がったクロスは目の前の二人組を睨み付ける。


 (挟み撃ちされるとマズイな!なんとか正面から当たらないと。)


 そして二人組の会話を聞いていた周囲の反応は。


 「え?ダンジョンボス?いやいや、どう見てもプレーヤーでしょ。」

 「だよな。カーソルも青だし、なにより手首に『しるし』付いてるしな。」

 「これってPKじゃねーのか?」

 「マジでPKとか最っ低‼」


 といった感じである。

 周囲の様子も一切目に入っていない二人組は、クロスに攻撃を仕掛ける。


 「魔法がダメなら物理でどうだぁ‼」

 

 魔法使いの男が武器をナイフに替え斬りつけてくる。

 クロスはそれを見切って避ける。


 (この程度の早さなら、戦闘機やF1のスピードに比べると目じゃねーな。)


 クロスは普段、レースや格闘技のVRゲームをしている。

 落ち着けばこの程度の攻撃なら、レースで鍛えられた動体視力で見切る事が出来る。

 動きの方も格闘技のゲームのお陰で馴れているから、動体視力に付いていける反射神経を身に付けているのだ。


 「クソッ、当たらねぇ‼」


 魔法使いの攻撃を避けていると、いつの間にか近づいていた剣士の男の攻撃を太ももに受けて足が止まる。

 その隙をついて魔法使いの男が武技アーツを使って斬りかかってきたのを両腕でガードする。


 「ポイズンスラッシュ‼」

 「うぉっ!?」


 防具を着けずにガードしたのでそのままダメージが入り、しかも毒の状態異常にかかってしまう。

 斬られた部分は赤い線でダメージのエフェクトが残る。

 クロスは視界の隅にある自分のHPバーを確認すると、残りが四割を切っていた。


 (ヤバい!毒だ。風邪引いたみたいに体がダルい!)


 「やってやったぜ‼毒状態になりやがったぜぇ‼」

 「あぁ、チョロいな!このまま一気にトドメといこうぜ!」


 そのまま二人掛かりで攻撃をしようとしたところで、周囲で見ていたプレーヤーの中から注意する声が上がる。


 「止めるであります‼」

 「なんだテメーは?邪魔すんじゃねーよ!」

 「このボスは俺らの獲物なんだよ!手ぇ出すなよ!」


 周囲にいたプレーヤーの中から一人のプレーヤーが進み出てくる。

 そのプレーヤーは黒い毛並みの獣人だった。

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