Episode-4 初めての昼食・初めての雑用 2
一人ひっそり昼食をとっていると、またもや見知った顔の人が俺の前の席に座った……知っている、とは言っても一方的にだが。
「相席、しても構わないか?」
甲高い声で俺に話しかけてきたのは、この大和高校の全生徒の頂点立つ生徒会長の、雫先輩だった。
「いいですよ。」
歳のわりには少し背丈は小さく、肩幅もない。
姿だけを見れば、高校生だとは普通考えないだろうが、なんと言っても常時着けていると言われている『生徒会長』の腕章が、彼女の象徴になっているため、間違えることは……ないだろう。
「生徒会長が、学食に居るとなんだか不自然に思いますね」
何を思ったか、俺はそんな言葉を口にしていた。
「一、二年からすれば、だけどな。私自身、こういう賑やかな所は嫌いではない」
「へえ……」
雫先輩と喋ったのはこれが初めてだが、なぜか緊張をすることなく話せている。
姿が、茜に似ているからか……これ以上の『緊張』を、朝から味わってきたから感覚が麻痺しているのか……。
「二年、名前は?」
「~~純一です。」
急にあたりが騒々しくなり、俺の声も雫先輩の声も聞き取りにくくなっていた。
「~~純一か、覚えた。私は……って、言わなくても分かってるか」
「はい、雫先輩は何度も集会の時に見てますから」
「よろしい。では、またな純一」
そう言って、雫先輩は席を立ちグリーンピースだけを綺麗によけた皿を返しに行った。
「……意外と、好き嫌いがあるのか」
この世に完璧な人間など居ない。そういうことだ。
俺もしばらくして、皿を返却口に返して教室へと戻った。
まだ昼休みは終わっていないが、ほとんどのヤツらは既に席に着いて隣と喋っていたり、寝ていたり……まあ、新クラスともなれば周りは知らないやつばっかで知らんうちに緊張してたりするもんだしな……仕方ないんだろう。
「(……俺が一番緊張するんだけど、な)」
そしてその『五月病』は、俺の隣の席──佳織も同じだった。
俺が自分の席に座ると、すかさず佳織は伏せていた顔を上げ、こちらを見た。
「純一くん、普段は学食なの?」
「……今日は特別だ。いつもは弁当」
「そうなんだ、私も前の学校では弁当だったんだよ」
「へえ……」
なんだか嬉しそうに話す佳織。
その笑顔が、俺に向けられる度俺の背中には『嫉妬』の槍が突き刺さる。
もちろんそんな事を知らない佳織は、「あのね、あのね」と話を続ける。
その話に俺がテキトーに相槌を打てば、佳織はなお喜んだ表情になり、かえって話が長引いてしまう。
そして結局、昼休み終了のチャイムが鳴る頃には俺も佳織もグッタリしていた。
「(よくあんだけ喋り続けたなあ……)」
かくいう俺も、テキトーに相槌を打ってた割には全部聞いてたけど……。
そんなことがあった後、午後の授業は、午前と比べて少し気が楽になっていた。